トワイライト~初恋~(アメリカ映画・2008年) |
<試写会・梅田ピカデリー>
2009年2月3日鑑賞
2009年2月16日記
『ハリー・ポッター』シリーズに次ぐ全世界第2位の売上を誇る小説が、3人の息子を持つ専業主婦の手によって誕生。それが、全13巻となる予定の小説『トワイライト』!テーマは人間の女性とヴァンパイアの美青年との恋だが、恋の成就を妨げるハードルの高さは『ロミオとジュリエット』以上・・・?登場人物は多種多様、ヴァンパイアの種族も多種多様。すると本作は、『ハリー・ポッター』と同じように、シリーズ第1作に過ぎないの?魔法使いに飽きた方、悲恋モノが大好きな女性は、ここで乗り換えるのも一興かも・・・。
本文はネタバレを含みます!!
それでも読む方は下の「More」をクリック!!
↓↓↓
ここからはネタバレを含みます!!
読まれる方はご注意ください!!
↓↓↓
監督:キャサリン・ハードウィック
原作:ステファニー・メイヤー『トワイライト』
ベラ・スワン(転校してきた女子高生)/クリステン・スチュワート
エドワード・カレン(ヴァンパイア、ベラの恋人)/ロバート・パティンソン
チャーリー・スワン(ベラの父親、フォークス警察署長)/ビリー・バーク
アリス・カレン(エドワードの義姉、ヴァンパイア)/アシュリー・グリーン
ロザリー・ヘイル(エドワードの義姉、ヴァンパイア)/ニッキー・リード
ジャスパー・ヘイル(エドワードの義兄、ヴァンパイア)/ジャクソン・ラスボーン
エメット・カレン(エドワードの義兄、ヴァンパイア)/ケラン・ラッツ
ドクター・カーライル・カレン(エドワードの義父)/ピーター・ファシネリ
ジェームズ(放浪ヴァンパイア)/キャム・ギガンデット
ジェイコブ・ブラック(人狼)/テイラー・ロートナー
ジェシカ・スタンレー(ベラの女友達)/アナ・ケンドリック
アンジェラ・ウェーバー(ベラの女友達)/クリスチャン・セラトス
マイク・ニュートン(ベラの男友達)/マイケル・ウェルチ
エリック・ヨーキー(ベラの男友達)/ジャスティン・チョン
ビリー・ブラック(ジェイコブの父親)/ジル・バーミンガム
エズミ・カレン(エドワードの義母、ヴァンパイア)/エリザベス・リーサー
ヴィクトリア(放浪ヴァンパイア、ジェームズのパートナー)/レイチェル・レフィブレ
ローラン(ジェームズに従う放浪ヴァンパイア)/エディ・ガテギ
レネ・ドワイヤー(ベラの母親)/サラ・クラーク
タイラー・クローリー(ベラを車でひきそうになった同級生)/グレゴリー・タイリー・ボイス
ウェイロン・フォージ/ネッド・ベラミー
フィル・ドワイヤー(レネの再婚相手)/マット・ブシェル
ミスター・モリーナ/ホセ・ズニーガ
2008年・アメリカ映画・122分
配給/アスミック・エース、角川エンタテインメント
<「ヴァンパイア」が「魔法使い」に勝った?>
『トワイライト~初恋~』を観て、私がそれまで全然知らなかったことが明らかになった。それは、3人の息子を持つ専業主婦だったステファニー・メイヤーが書いた『トワイライト』は、2005年に出版されるや若い女性を中心に大きな支持を受けたちまちベストセラーになっただけではなく、その続編が続く中、全米ベストセラーランキング1位、シリーズ累計2500万部を突破したこと。これは『ハリー・ポッター』シリーズに次ぎ、全世界第2位の売上を誇る数字らしく、ステファニー・メイヤーは一躍『ハリー・ポッター』シリーズの女流作家J・K・ローリングと比肩されるほどになったわけだ。
さらに、そんな原作が女性監督キャサリン・ハードウィックの手によって映画化され、その対抗馬とされていた『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の公開が延期される中、08年11月21日全米3419館(約6000スクリーン)で公開されるや、『007/慰めの報酬』を抜き、6963万ドルで全米初登場第1位の大ヒットになったこと。
この映画が描くテーマは、人間とヴァンパイアとの禁断の恋。そうするとつまり、「ヴァンパイア」が「魔法使い」に勝ったということ・・・?
<牙のないヴァンパイアなんて、クリープを入れないコーヒーみたい?>
ヴァンパイアを主人公にした映画はこれまでにもたくさんあったが、ステファニー・メイヤーが描くカレン家のヴァンパイアは美男美女揃いであるうえ、牙がない。
この映画の主人公は、人間の女性ベラ・スワン(クリステン・スチュワート)、そして彼女と恋に落ちるヴァンパイアの美青年エドワード・カレン(ロバート・パティンソン)だから、牙によって一見してヴァンパイアだとわかったのではストーリーが成り立たない。また、映画の中では恋人同士となった2人のキスシーンが登場すると、プレスシートにもそんな写真が載っているが、ここでエドワードの口に牙が見えたのでは全然絵にならないことは明らか。しかし、牙のないヴァンパイアなんて、クリープを入れないコーヒーみたい・・・?
<ハードルの高さは『ロミオとジュリエット』以上>
悲恋モノは難病や交通事故などによる一方の突然の死亡の他、人種や身分の違い、親の因果など恋の成就を邪魔するハードルが高ければ高いほど悲恋性を増していく。『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年)や韓国映画の『私の頭の中の消しゴム』(04年)は難病モノの代表、香港映画の『忘れえぬ想い』(03年)は交通事故モノの代表。そしてシェイクスピアの『ロミオとジュリエット』は親同士が敵というのが大きなハードルだった。
もし、そのハードルが高ければ高いほど悲劇性と面白みが増すというのであれば、この映画のハードルの高さは多分最高。だってそのハードルは単なる人種の違いを超えた、人間とヴァンパイアの恋なのだから。
<ヴァンパイアにもいろいろな種族が?なぜベラはエドワードに?>
闇の世界の女処刑人セリーンが活躍するヴァンパイア映画『アンダーワールド』シリーズは、吸血鬼族のヴァンパイアと狼男族のライカンの対決を描いたものだが、そこではヴァンパイアの種族はひとつ。しかし、ステファニー・メイヤーが描くヴァンパイア物語の大作は登場人物が多いうえ、ヴァンパイアの種族もいろいろあるらしい。
この映画のヒロインである転校生のベラが父親のチャーリー・スワン(ビリー・バーク)と共に太陽あふれるフロリダ州アリゾナから、ワシントン州にある雨と霧の小さな町フォークスに引っ越してきたのは、離婚した母親レネ・ドワイヤー(サラ・クラーク)がフィル・ドワイヤー(マット・ブシェル)と再婚したため。転校してきた高校でベラはジェシカ・スタンレー(アナ・ケンドリック)やアンジェラ・ウェーバー(クリスチャン・セラトス)などの女友達と仲良くなる一方、マイク・ニュートン(マイケル・ウェルチ)やエリック・ヨーキー(ジャスティン・チョン)など、ベラにモーションをかけてくる男たちとの距離も適当にとっていた。
そんなある日、食堂でベラが「彼らは特別よ」と教えられたのが、一種独特な雰囲気を持ったカレン家の面々。実は彼らは現代に生きるヴァンパイアなのだが、冷人族の中の血を吸わない菜食主義者。つまり、他のヴァンパイアと違い彼らは人間の血を飲まず、動物の血で生きているらしい。また、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』によると吸血鬼については「冷人族、血を飲む者たち、とも。空腹時は暗赤色で、満たされた時は鮮やかな赤い目をしている。これは本来の人間を食したときの変化である。また、肌は一様に白く、目の下にはクマがある。人間だったときの能力が強化される。その存在はヴォルトゥーリ一族によってはるか昔から守られてきた」とも書かれている。
ベラがその中の1人エドワードに注目したのは彼の完璧な美しさ。友人からは「頑張るだけムダよ」と言われたが、さてベラは・・・?
<カレン家の一族は?>
エドワード・カレンはフォークスの町で医者をしている父親カーライル・カレン(ピーター・ファシネリ)と母親エズミ・カレン(エリザベス・リーサー)の子供だが、実子ではないらしい。つまり、カーライルがある日寂しさから人間だったエドワードの血を吸ったため、エドワードは吸血鬼に仲間入りすることになったわけだ。従って、エドワードにとってカーライルは義理の父親。そして、エドワードの義兄がエメット・カレン(ケラン・ラッツ)、義姉がアリス・カレン(アシュリー・グリーン)。また義理の姉がロザリー・ヘイル(ニッキー・リード)で、ロザリーの双子の兄弟がジャスパー・ヘイル(ジャクソン・ラスボーン)。
『ウィキペディア』では彼らの年齢や顔の特徴そして得意技などが詳しく説明されているから、深く知りたい人はぜひそれを。
<ベラとエドワードの恋の進展ぶりは?>
ロミオとジュリエットは一目会ってすぐに恋に落ち、有名なバルコニーのシーンに至る。しかし、高校に通っているエドワードとアリス、ジャスパー、ロザリー、エメットたちは同級生たちと全然接触せず、自分たち独自の世界を形成していたから、ベラが彼らと接点を持つのは不可能だった。そのうえ、授業で隣に座ったベラがエドワードに話しかけようとしても、明らかにエドワードはベラを避けたからベラは大ショック。
しかし、エドワードが常にベラを見守っていたことが明らかになったのは、ベラがタイラー・クローリー(グレゴリー・タイリー・ボイス)の運転する車によってあやうくひき殺されそうになった時、突然エドが目の前に現れ、車を止めてくれたため。エドワードの運動能力は一体ナニ?ベラのエドへの感謝の気持が深まると共に、エドワードは一体何者?という興味が深まったのは当然だ。そうすると、エドワードが牙のないヴァンパイアであり、人間の血を吸わないヴァンパイアであることをベラが知る日は近い・・・?
<公認の恋人となるには、両親への紹介が必要?>
アメリカはFreedomの国だが、信仰心が厚いため家族を大切にするのは日本以上。また子供のしつけは厳格で、両親は夜遅くまで遊んでいても子供がベッドに入る時間はきっちりと決められている。そんなアメリカでは、日本のように勝手に恋人同士になりラブホテルに入ってエッチをするなどというのは厳禁で、公認の恋人となるには互いの両親に紹介することが必要。この映画を観ていると、それがよくわかる。
ベラの父親はフォークスの警察署長という重責を担っているから忙しそう。しかし離婚した妻が再婚したため、17歳の娘と2人暮らしができる幸せをかみしめている分、娘に車を買ってやるなどかなり甘いうえ、干渉しすぎて嫌われるのはイヤだと思っているようだ。したがって、ベラがエドワードを紹介するべく家に連れてきた時も、ホントは気に入らないようだが、それなりの対応をしたのは立派。
他方、エドワードがベラを家に連れてきたことに、カレン家では賛否両論が出たのは当然。だって自分たちがヴァンパイアであることは絶対の秘密だから、いくらベラがエドワードの恋人だとしても、それをバラすのはまずいと考えたのは当然だから。しかし、ベラにエドワードが冷人族のヴァンパイアだと知られてしまった以上、家族としてもそれを受け入れざるをえない。そんな中、エドワードはヴァンパイア特有の能力を見せつけながらベラと楽しい時間を過ごしたが、そんな2人の初エッチはいつ?そしてそれは、どんな形で可能なの?
<ジェームズ一行は?>
他方、同じヴァンパイアでありながら、カレン家と対立しているジェームズ一行の生活ぶりは全然違うようだ。戦いが好きで追跡者(トラッカー)と呼ばれているのがジェームズ(キャム・ギガンデット)。そしてジェームズのパートナーの女性がヴィクトリア(レイチェル・レフィブレ)、いつもジェームズに付き添っている男がローラン(エディ・ガテギ)だ。
カレン一家とジェームズ一家は接触を断っていたのだが、カレン一家がベラを交えてベースボールを楽しんでいたところで偶然ジェームズ一行と出くわしたところから、俄然この映画はスリルとサスペンス性が増してくる。それは、挨拶を交わしている間にベラの匂いを感じ取ったジェームズが、その血を欲しがることになったからだ。
そこから生まれてくるのが、ベラの身を守ろうとするカレン家の面々とジェームズ一行との間における血で血を洗う抗争劇。映画後半はそんな戦いが描かれるが、その様子はあなた自身の目で。
<続編の製作がミエミエ・・・?>
ステファニー・メイヤーが書いた小説『トワイライト』は全13巻となる予定の超大河ドラマだから登場人物は多いし、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』をモチーフとした部分や、エミリー・ブロンテの『嵐が丘』をモチーフにした部分があるらしい。2008年の邦画VS洋画の興行収入は59.5%VS40.5%と「邦高洋低」となったが、その1つの理由がハリウッド映画が人気シリーズものに頼ってきたためであることは明らかだ。その1つの『ハリーポッター』シリーズは『ハリー・ポッターと謎のプリンス』で6作目だが、主人公のハリー・ポッターをはじめみんなが大人になってくれば、少年少女を主人公としたファンタジー物語が成り立たなくなるのは当然。
そんな中、彗星の如く現れたのがステファニー・メイヤーの人気小説。そうすると、『トワイライト』は当然シリーズ化して稼がなくっちゃ。ハリウッドの映画製作者たちがそう考えたのは当然。『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズ(01、02、03年)でも『ナルニア国物語』シリーズ(06、08年)でも続編の発表が明らかになるシーンで終わったが、この映画における続編の製作ミエミエのシーンは・・・?
ちなみに本作では具体的に何の役割も与えられないが、ベラが引っ越してきた時に面会するジェイコブ・ブラック(テイラー・ロートナー)は人狼。したがって、続編以降で彼は大きな役割を・・・?
2009(平成21)年2月16日記