ウルトラミラクルラブストーリー(日本映画・2009年) |
<GAGA試写室>
2009年4月27日鑑賞
2009年4月28日記
全編津軽弁のウルトラミラクルなストーリーを脚本・監督した、30歳の新星横浜聡子監督の才能に注目!テーマは脳ミソ。いやそうではない。脳ミソのぶつかりあい?しかし、それって一体ナニ?農薬を浴びるシーン、熊が脳ミソを食べるシーンなどゾッとするシーンが私には目立つが、若い女性監督はそんなのへっちゃら?
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監督・脚本:横浜聡子
プロデューサー:中野朝子、土井智生
水木陽人(ヘンテコな農業青年)/松山ケンイチ
神泉町子(東京から来た保育士)/麻生久美子
田中太(陽人の幼なじみ)/ノゾエ征爾
島田要(町子の恋人)/ARATA
柴田もつ(陽人の祖母)/渡辺美佐子
三沢(老医者)/原田芳雄
三上のカミサマ(占い師)/藤田弓子
2009年・日本映画・120分
配給/リトルモア
<新星、横浜聡子監督に注目したが>
CO2(シネアスト・オーガニゼーション・大阪エキシビション)からの助成金を受けて自主製作した長編第1弾『ジャーマン+雨』(06年)で第3回CO2シネアスト大阪市長賞を受賞し、一挙に映画界の注目を集めたのが1978年生まれの横浜聡子監督。若干30歳にして松山ケンイチ、麻生久美子らの芸達者陣をそろえて待望の商業映画デビュー作を完成させたが、さてその出来は?
タイトルも奇妙だが、内容はもっと奇妙で奇想天外。主人公の水木陽人(松山ケンイチ)が心臓が止まったまま生きていたり、祖母柴田もつ(渡辺美佐子)の目の前で三沢医師(原田芳雄)から「ご臨終です」と宣告を受け、死亡診断書まで発行されたのに、奇跡の生還を果たしたり、スッチャカ・メッチャカのストーリー展開はまさに聡子流?こんなつくりが好きな人はいいのだろうが、私にはどうも違和感が・・・。
<津軽弁、さっぱりわかんねえ・・・>
横浜聡子監督も松山ケンイチも青森県出身らしい。また天才的な(?)漫才の冴えを見せる2人の園児を含めて、かねしろ幼稚園の園児たちは全員地元青森のオーディションで選ばれたから、当然津軽弁は大得意。ところが、子供たちの津軽弁はもちろん、ハイテンション状態にいる時の陽人の津軽弁が、松山出身、大阪在住の私にはさっぱりわかんねえから、ついイライラ。
町子先生役の麻生久美子のセリフはわかるが、この町子先生も交通事故で死亡した恋人島田要(ARATA)を忘れられず、インチキめいた白装束のカミサマ(藤田弓子)にまともに相談しているようだから、どこかヘン。つまり、ウルトラミラクルラブストーリーらしく、本作に登場する人物はみんなどこかヘン。
<思わずゾッ! その1ー農薬を浴びる姿>
映画中盤からは町子先生に惚れて結婚したいと願う、陽人から町子先生に対する強烈なアプローチのサマが描かれるが、その焦点はダーウィンの進化論ならぬ町子先生独自の進化論の展開?その論旨はあなた自身の目で確認してもらいたいが、その議論(?)をきっかけとして、陽人が幼なじみの田中太(ノゾエ征爾)から売ってもらった農薬をシャワーのように浴び始めたから大変。その結果、陽人はある日心臓が停止し死んでしまうのだが、なぜか奇跡の生還を!
そこらあたりのストーリー構成が、脚本を書いた聡子ワールドの最たるものだが、怖がりの私には、自ら農薬のシャワーを浴びている陽人の姿に思わずゾッ!
<思わずゾッ! その2ー首のない要の登場>
町子先生の恋人だった要は交通事故で死亡したが、その時に飛んでしまった首がまだ見つからないらしい。なるほど、話としてはそれはよくわかる。ところが、本作では実際に首から上がない要(ARATA)がなぜか陽人の前に登場する。そして2人は、しばしの会話を交わしたうえ、陽人は要から靴をもらい受けることになるから、その映像にビックリするとともに、思わずゾッ!
ひょっとして私は、この手のショッキングな映像(?)に弱いのかも?
<思わずゾッ! その3ー瓶詰めの脳みそ>
プレスシートの監督インタビューの冒頭には、「脳と脳がくっつくっていう話にしようと思ったんです。理解できない他人同士の脳みそがくっついて、考えてることがわかる、というような。抒情的なものを排して、肉体と肉体の運動みたいなものを撮りたいなと」という横浜聡子監督の言葉がある。これを読んで「なるほど」と納得し具体的なイメージを共有できる人は、きっと聡子監督と同じような脳の構造をしている人?
陽人の説明によれば、自分は脳がヘンなのではなく脳の構造が人と少し変わっており、織田信長と同じ構造をしているらしいが、さて、それはどんな脳みそ?そう思っていると、なぜか森の中で熊にまちがえられ鉄砲に撃たれて死んでしまった陽人の脳みそがホントに瓶詰め状態で登場してくるからビックリ。さらに、本作のラストシーンはショッキング。瓶詰めの脳みそを持って3人の園児たちと森の中へハイキングに出かけた町子先生たちは、ひと休みしようと車座に座ったが、そこで町子先生は瓶を手に一体何を・・・?その後に登場する思わずゾッとするショッキングな映像はあなた自身の目で・・・。
小学生の頃、私は理科の教室に展示してある人体図を見て気味悪く思った記憶があるが、還暦を迎えた年に同じような体験をするとは・・・。
2009(平成21)年4月28日記