LAW DE SHOW [83] 『レスラー』 |
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新聞記事 大阪日日新聞2009年6月掲載分
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ここにプロレス映画の金字塔が!
シルヴェスター・スタローンの『ロッキー』シリーズや石原裕次郎の『嵐を呼ぶ男』(57年)をはじめボクシング映画の名作は多い。それは肉弾相打つ真剣勝負の迫力と男の生きザマに観客が共感を覚えるため。しかし流血ショーの色彩が強いプロレスでは同じ感動はムリ? 否。それは惜しくも米アカデミー主演男優賞は逸したものの、自らの人生をなぞるような本作におけるミッキー・ロークの熱演を見れば明白だ。
K―1中量級の華、魔裟斗(まさと)は全盛期の中で華麗なる引退を発表したが、1人トレーラーハウスに住む落ち目の中年レスラー、ランディ(R)は今日も身体を痛めつけながらリングの上。栄光は過去のもので、長年のステロイド使用がたたり、今や心臓発作で生死の境を。
そこで登場するのが、ミッキーと同じく身体を張った裸の演技が評価され(?)3度目のアカデミー助演女優賞候補(受賞は1回、今回は落選)となったマリサ・トメイ演ずる子持ちのストリッパー、キャシディ(C)。Rからの求婚に心はときめくが、女は現実的。簡単に一筋縄では?
『ロッキー』も、『シンデレラマン』(05年、ラッセル・クロウ主演)も愛妻の支えが力の源泉だったが、Cにフラれた上彼女の助言で突然連絡を取った愛娘からも「何を今更!」と拒絶された中年男は惨めなもの。さあ、行き場を失ったRの人生の決断とは? それは全盛期の宿敵との再度の対決だ。
固唾を呑んで注視した76年のアントニオ猪木VSモハメッド・アリの対決は期待はずれだったが、Rの20年ぶりの宿敵との対決は、出来レースながら圧巻! 「Rとの結婚こそ私の幸せ!」と気付いたCに対し、「ここが俺の居場所だ」と宣言したRが、最後に見舞った得意技とは? その威力は?
人生は成功することがすべてではない。こんな生き方だって立派な男の美学! そんな実感を噛みしめたい。
通常版の評論もぜひどうぞ!! ⇒ 『レスラー』