ウルヴァリン:X-MEN ZERO(アメリカ映画・2009年) |
<角川映画試写室>
2009年8月3日鑑賞
2009年8月4日記
『X-MEN』シリーズ第4作は、臓器移植ならぬ超合金アダマンチウム移植手術を終えて誕生した『ウルヴァリン』シリーズの第1作!150年以上も前からミュータントが存在していたとは驚きだが、それ以上に人間と同じようなミュータント兄弟の確執に注目!『X-MEN』シリーズの特徴は爪の長さだが、本作ではその質にも注目!ところで、ミュータントたちがくり広げるさまざまなアクションと『チョコレート・ファイター』における美少女アクションを対比してみれば・・・?
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監督:ギャヴィン・フッド
ローガン、ウルヴァリン/ヒュー・ジャックマン
ビクター・クリード(ローガンの兄)/リーヴ・シュレイバー
ウィリアム・ストライカー(謎の軍人、チームXのリーダー)/ダニー・ヒューストン
ライス(チームXの一員)/ウィル・アイ・アム
ケイラ(ローガンの恋人)/リン・コリンズ
フレッド・ドゥークス、ブロブ(チームXの一員)/ケヴィン・デュランド
ブラッドリー(元チームXの一員)/ドミニク・モナハン
レミー・ルボー、ガンビット(キザなギャンブラー)/テイラー・キッチュ
エージェント・ゼロ(チームXの一員、ストライカーのボディーガード)/ダニエル・ヘニー
ウェイド・ウィルソン、デッドプール(チームXの一員)、ウェポンXI/ライアン・レイノルズ
エマ・フロスト(ケイラの妹)/ターニャ・トッティ
2009年・アメリカ映画・108分
配給/20世紀フォックス映画
<予想どおり、第4作が登場!>
『X-MEN』のファイナルであったはずのシリーズ第3作『X-MEN:ファイナル ディシジョン』(06年)の評論で、私は「今回の成功の具合によっては、ひょっとして第4作があるのかも……?」と書いた(『シネマルーム11』404頁参照)が、案の定第4作が登場!
主人公は第3作と同じミュータントのローガン(ヒュー・ジャックマン)だが、第4作ではローガンの兄ビクター・クリード(リーヴ・シュレイバー)が登場し、1845年以降続く兄弟の確執(?)がメインの物語として描かれる。他方、第4作のキーマンは、この兄弟の他エージェント・ゼロ(ダニエル・ヘニー)、ウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)、ブラッドリー(ドミニク・モナハン)、フレッド・ドゥークス(ケヴィン・デュランド)、ライス(ウィル・アイ・アム)などが参加する特殊部隊である「チームX」を率いる謎の軍人ウィリアム・ストライカー(ダニー・ヒューストン)。彼の口からは「国のため」という言葉が再三登場するが、彼は国のために一体ナニを?
ここではいちいちその役割を紹介しないしストーリー展開にも触れないが、ローガンとビクターの対立を軸とした何とも個性豊かな(バカバカしい?)キャラたちの縦横無尽の活躍に注目!
<超金属アダマンチウム移植とは?>
日本では2009年7月21日の衆議院解散直前にやっと臓器移植法が成立したが、8月30日投開票の総選挙の結果如何によっては、その修正を含め行方はまだまだ不透明だ。『X-MEN』シリーズ第4作でありながら、本作に『X-MEN:ZERO』というサブタイトルがついたのは、新たに始まる(?)『ウルヴァリン』シリーズの第1作だから?もちろん過去の3作にもウルヴァリンという名前は登場するが、ローガンという名前からウルヴァリンという名前に変わったのは一体どういうキッカケから?それは、まるでフランケンシュタイン博士のような役割を果たすストライカーが超金属アダマンチウムの移植手術を施すことによって、ローガンが新たに最強の戦士ウルヴァリンに生まれ変わったため。
もちろん、そんな移植手術には本人の同意が不可欠だから、本作でもストライカーはローガンの同意をきっちり取りつけているが、手術の最中にストライカーがある良からぬ提案をしたため、それを耳にした手術中のローガンは激怒することに。それによってストライカーの計画が大きく狂うことになるのが、本作のストーリー構成のミソだから、そこらあたりはあなた自身の目でしっかりと。
<こんなに爪を伸ばして大丈夫?>
映画の冒頭、怒りに震えた時の強力な武器になる金属製の爪がなぜローガンの手に生えてくるのかについて、かなり説得力ある(?)説明シーンが展開される。この爪だけを見ていると、兄のビクターよりも弟のローガンの方が強そうにみえる。しかし実は、同じミュータントのビクターは爪以外にも強力な牙を持っているうえ、獣のような身のこなしがローガンより数段上だから、総合格闘技のレベルとしてはローガンよりもビクターの方が上らしい。「チームX」の非人間性に嫌気がさして離脱し、愛する女性ケイラ(リン・コリンズ)と共にひっそり過ごしていたローガンの前に現れたのが、かつてのチームリーダーだったストライカー。これはチームXにある異変が起きたためだが、その内紛騒動(?)のあおりを受けてケイラがビクターの手によって殺されてしまったから大変。ローガンが怒りにまかせてビクターに挑戦したのは当然だが、彼我の実力差をみればあえなく返り討ちにあってしまったのは仕方のないところ。そこに目をつけたのがストライカーだ。「何が何でもビクターを倒したい」という一念によって、ローガンはストライカーによる超金属アダマンチウム移植手術に同意したわけだ。
ローガン時代の長く伸びた爪をみて「そんなに爪を伸ばして大丈夫?」と心配していたが、超金属アダマンチウム手術完了のローガンの爪は?もちろん私には超金属アダマンチウム移植手術の科学的な効用はチンプンカンプンだが、ローガンからウルヴァリンに変身した後の彼の爪をみれば、同じ長さでもその性能は大違い・・・?
<『チョコレート・ファイター』のアクションと比べると?>
プレスシートを読むと、「現場はリアルアクション志向!本当のガチンコ・バトルだったファイト・シーン!」とある、つまり「ワイヤーやCGに頼らず、人間として可能なファイトを考え、そこから本当にパワフルなファイト・シークエンスを構築してくれた」わけだ。
本作には、ローガンとビクターの対決シーンをはじめ、クライマックスのアクションシーンではストライカーの手術によってウェポンXIとなったウェイドが登場し、ローガンとビクター2人を相手に究極のミュータント・キラーとしての能力を見せつけてくれる。その他本作には、チームXの戦士のみならず、ケイラの妹エマ・フロスト(ターニャ・トッティ)までも、個性的な能力(アクション?)を見せてくれるが、さてその楽しさは?
本作は2009年5月28日現在、2009年上半期最大の週末オープニング記録を樹立したというから人気は上々だが、本作にみるそれらのアクションと『チョコレート・ファイター』(08年)でみた美少女戦士ゼン(“ジージャー”ヤーニン・ウィサミタナン)のアクションを比べると、さて?
<次は日本?するとチャンバラ?日本人女優は?>
『007』シリーズの第5作『007は二度死ぬ』(67年)では、ボンドガールとして日本人女優の浜美枝が登場した。本作で当初「チームX」の一員として活躍するのが、こよなく日本刀を愛し、二本の刀を操る超人的な戦士ウェイドだが、その姿をみていると、ギャヴィン・フッド監督はクエンティン・タランティーノ監督と同じように日本のチャンバラ映画への造詣が深いようだ。
他方、プレスシートによると『X-MEN』シリーズ第4作、『ウルヴァリン』シリーズ第1作となる本作(?)は早くも「続編GO!」のサインが出されたらしい。さらになんと原作では「ウルヴァリンが日本に来てヤシダ・マリコという日本女性と結婚、しかし彼女は巨大な組織に関係する人物で・・・」というストーリーがあるらしい。この3つの要素から合理的に推測すれば、『ウルヴァリン2』の舞台は日本!そうすると『007』シリーズの浜美枝、『ラストサムライ』(03年)の小雪に続いて、『ウルヴァリン2』に登場する日本人女優はダレ?そんな将来の楽しみを胸に抱きながら、とりあえず本作を楽しんでみては・・・。
2009(平成21)年8月4日記