LAW DE SHOW [89] 『セントアンナの奇跡』 |
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新聞記事 大阪日日新聞2009年7月掲載分
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この奇跡「グリーンマイル」越え?
島国のためか、何かと閉鎖的な日本人は外国の歴史に疎い。その上、今ドキの若者は「先の大戦」すら知らないから、三国同盟の友国イタリアで起きたセントアンナの大虐殺も不知?
第2次世界大戦でいち早く1943年7月に降伏したムッソリーニ率いるイタリアには、ヒトラーのドイツ軍が進駐し連合軍と対峙。米国黒人兵で構成するバッファロー部隊を含む連合軍がフィレンツェを占領した44年8月12日に起きたのが、パルチザン掃討作戦展開中の独軍による伊市民560名の大虐殺だ。
実話に基づく奇跡を感動的に描くのは、『マルコムX』(92年)や『インサイド・マン』(06年)で鋭い問題提起を続けるスパイク・リー監督。少し愚鈍だが信心深い巨体の黒人兵と不思議な力を持った村の少年との心の交流の中で起きる奇跡は、大男の黒人死刑囚が見せた、『グリーンマイル』(99年)の奇跡越え?
冒頭は83年のニューヨーク。年老いた郵便局員が、切手を買いにきた男を突然射殺。動機不明の殺人犯の家宅捜索で貴重な彫像を発見。こりゃ一体ナニ? その鍵は、彫像が消えた44年のフィレンツェに。そこで場面は一転し戦闘最前線に。この戦闘シーンは『プライベート・ライアン』(98年)の冒頭20分を彷彿とさせる迫力だが、バカな司令部将校の誤判断で味方の銃弾を浴び本隊から取り残された最前線兵士は悲劇だ。
ここから始まる個性豊かな4人の黒人兵士と村人との交流は? パルチザンとの遭遇は? そして「少年を守りたい」との熱い思いの原動力は? その展開と感動をじっくり味わいたい。
個々のエピソードの連続によるアピール性が集中力を高め、全体構成の見事さが160分の長さを忘れさせる。英語を操る紅一点の美女をめぐる妖しげな挿話もリアルで効果的。何よりも少年のつぶらな瞳に注目だ。そして、あの少年は今どこに?
通常版の評論もぜひどうぞ!! ⇒ 『セントアンナの奇跡』