LAW DE SHOW [90] 『不灯港』 |
本文はネタバレを含みます!!
それでも大阪日日新聞に掲載された記事を読む方は下の「新聞記事」をクリック!!
(他の映画を取り上げた回のコラムを含みます)
↓↓↓
新聞記事 大阪日日新聞2009年8月掲載分
本文はネタバレを含みます!!
それでも読む方は下の「More」をクリック!!
↓↓↓
ここからはネタバレを含みます!!
読まれる方はご注意ください!!
↓↓↓
こりゃ、婚カツ男性必見作!
かつてロシア帝国は不凍港を求めて南下政策を進めたが、嫁募集中の38歳の漁師万造(小手伸也)の不灯港とは? 肯定と否定は紙一重。チャプリンの名作『街の灯』(1931年)や堺正章の同名の名曲(73年)と対比しながらその意味を考えたい。
セリフなしで続く万造の意外に真面目な一人暮らしと、真紅のバラを武器にナンパを仕掛ける様子が笑いを誘う。転機は、集団見合い用の自己PRビデオに映る子連れ女美津子(宮本裕子)との出会い。放り出したら母子心中? そんな同情からまさお(広岡和樹)を含む奇妙な同居生活が始まるが、美津子は見た目も性格も意外にいい女? 万造にもやっと至福の時が到来? しかし好事魔多しだ。若い男にホレた美津子はまさおを巻き込んで一芝居。万造から金を巻き上げ、プイと家を出ていったから大変。経済不況が襲う中、万造はいかなる生活再建を?
面白い小道具は、その発見で留守中の母子の侵入を確信できた、美津子が使う魚形の髪留め。あれから半年。今や息子同然のまさおと仲良く魚をつついている万造の箸にひっかかったものは? この印象的なラストシーンをあなたはどう解釈?
橋口亮輔、矢口史靖らに続いてPFFスカラシップの権利によって監督デビューし、ロッテルダム映画祭に殴り込みをかけたのは内藤隆嗣。東京都立大理学部数学科卒の28歳がなぜこれほど深く女の性(さが)を、またユーモラスに男のカッコ良さを演出? それは、無口で無骨、野暮でモテないのにどこか魅力的でブレない男万造のキャラが監督自身の投影だから? 草食系男子が増殖している昨今、婚カツ中の男性は健さんこと高倉健の不器用さとは異質な、万造の生きザマを参考にしたい。そうすれば、どんな港にも灯がともるはずだ。
通常版の評論もぜひどうぞ!! ⇒ 『不灯港』