アデル ファラオと復活の秘薬(フランス映画・2010年) |
<アスミック・エースDVD試写>
2010年6月2日鑑賞
2010年6月3日記
ナタリー・ポートマン、ミラ・ジョヴォヴィッチに続くリュック・ベッソンが発掘した新ミューズは?時代は1911年だが、新ヒロインの行動力は女インディー・ジョーンズばり!美術館で卵から怪鳥プテロダクティルスが孵化し、ミイラが蘇るアイディアは面白いが、こりゃ『ナイト ミュージアム』(06年)の二番煎じ?遊び心満載の本作の登場人物は顔もキャラも個性的だが、日本人的好みからはイマイチ?また、あれこれの演出もちょっとマンガ的?
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監督・脚本:リュック・ベッソン
アデル・ブラン=セック(美人ジャーナリスト)/ルイーズ・ブルゴワン
デュールヴー(アデルの宿敵のマッドサイエンティスト)/マチュー・アマルリック
エスペランデュー教授(天才科学者)/ジャッキー・ネルセシアン
メナール教授(科学者)/フィリップ・ナオン
カポニ警部(プテロダクティルス事件を担当する警部)/ジル・ルルーシュ
ジュスタン・ド・サン=ユベール(ハンター)/ジャン=ポール・ルーヴ
アガット・ブラン=セック(アデルの双子の妹)/ロール・ド・クレルモン
2010年・フランス映画・107分
配給/アスミック・エース
<リュック・ベッソンの新ミューズは?>
『レオン』(94年)でナタリー・ポートマンを、『フィフス・エレメント』(97年)、『ジャンヌダルク』(99年)でミラ・ジョヴォヴィッチを世に送り出したリュック・ベッソンが、女性版『インディ・ジョーンズ』ともいうべき本作のヒロインとして抜擢したのは、「ミス天気予報」としてTVで活躍していたルイーズ・ブルゴワン。彼女が演ずる新ヒロイン、アデル・ブラン=セックは美人ジャーナリストで、近作「氷の怪物」はベストセラーになったらしい。アデルは、次にペルーでインカ帝国での生き残りの謎を解明する予定だったが、テニスをしていた際の自分の過失による事故によって、今は生きる屍となってしまった双子の妹アガット・ブラン=セック(ロール・ド・クレルモン)を治すための秘薬を探し求めてエジプトに旅立つことに。
本作の時代設定は現代ではなく1911年。つまり、第一次世界大戦の前だから女性の社会進出はまだまだの時代。そんな時代の新ヒロイン、アデルは強い好奇心と何者をも恐れない冒険心と実行力をあわせ持った、21世紀の今でもめったにお目にかかれない女性だ。もっとも、その頭上にはバカでかい羽飾りの帽子が載っているうえ、ミイラにヌードを見られたと知ると急に恥じらう羞恥心も持ちあわせているから、やっぱりあの時代の女性?まずはそんなリュック・ベッソンの新ミューズ像に注目!
<登場人物は個性派ばかりだが・・・>
一刻も早く「復活の秘薬」を手に入れるべくエジプトに向かったアデルは、古代エジプトの王ラムセス2世に仕えた医師のミイラを発見するが、そんなアデルを妨害したのはいつも彼女の行く手に立ちはだかる宿敵デュールヴー(マチュー・アマルリック)。
ところで、あなたはパリ中心部にある国立自然史博物館、植物園をご存知?パリのルーブル美術館は知っていても、多分これは知らないのでは?本作はここに展示されている卵の化石が割れてジュラ期に絶滅したプテロダクティルスが復活するのがストーリーのポイント。そんな1億3500万年前の時代に対応して、本作にはメナール教授(フィリップ・ナオン)、エスペランデュー教授(ジャッキー・ネルセシアン)などの天才科学者が登場するが、リュック・ベッソン監督が描く彼らの顔はもちろん、そのキャラはかなり個性的。さらに、パリの上空を飛び回り、パリ市民を恐怖に陥れた怪鳥の事件を担当するカポニ警部(ジル・ルルーシュ)も、政府が怪鳥を退治するためアフリカから呼び戻した著名なハンター、サン=ユベール(ジャン=ポール・ルーヴ)も顔はもちろんそのキャラはかなり個性的。
リュック・ベッソン監督は本作を徹底した遊び心で撮ったのだろうが、さて、なんでも標準型が好きな日本人の反応は?
<『ナイトミュージアム』のフランス版は遊び心満載だが・・・>
ショーン・レヴィ監督の『ナイトミュージアム』(06年)はニューヨークの自然史博物館内の展示物(人間)が夜になると動き出すという、奇想天外、荒唐無稽なアイディアから生まれた映画。したがって、バカバカしいと思いつつ、ティラノサウルス(T-REX)との戦いや、エジプトのファラオやローマ帝国のオクタヴィウスなど多種多様な歴史上の人物の「合従連衡」のサマが面白かったから、星5つ(『シネマルーム13』262頁参照)。しかしその続編となる『ナイトミュージアム2』(09年)になると、たちまち飽きてきたから星3つに(ホームページ掲載)。
そんな経験があるだけに、国立自然史博物館、植物園内のプテロダクティルスの卵が孵化して怪鳥になり、パリ市民を恐怖に陥れるというストーリー、アデルの奮闘によってルーブル美術館のミイラを生き返らせて双子の妹アガットの病を治すというストーリーもあまり新鮮味がない。『ナイトミュージアム』がなければ、ルーブル美術館に眠るミイラが動き始めるというアイディアや、このミイラが医師ではなかったため、ラムセス2世の医師をさらに捜し求めるというアイディアも興味深いのだが・・・。
本作は、リュック・ベッソンらしい遊び心満載の作品だが、一方では『ナイトミュージアム』の二番煎じ気味だし、他方ではちょっとマンガ的になりすぎかも?
2010(平成22)年6月3日記