きみがくれた未来(アメリカ映画・2010年) |
<東宝東和試写室>
2010年10月28日鑑賞
2010年10月29日記
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監督:バー・スティアーズ
原作:ベン・シャーウッド
チャーリー(ヨット選手)/ザック・エフロン
サム(チャーリーの弟)/チャーリー・ターハン
テス(高校の同級生・ヨット選手)/アマンダ・クルー
フロリオ(救命救急士)/レイ・リオッタ
クレア(チャーリーとサムの母親)/キム・ベイシンガー
2010年・アメリカ映画・99分
配給/東宝東和
◆ 女手1つで、2人の男の子を育てあげるのは大変だが、息子がヨットレースで優勝するわ、スタンフォード大学へのスポーツ奨学金をゲットするわとなれば、母親のクレア(キム・ベイシンガー)はうれしい限り。しかし、幸事魔多し。ある日、長男チャーリー(ザック・エフロン)の運転する車が交通事故に。チャーリーは救命救急士フロリオ(レイ・リオッタ)のおかげで奇跡的に死の淵から呼び戻されたが、同乗していた11才の弟サム(チャーリー・ターハン)は死亡。以降チャーリーはすべての希望と未来を捨て、野球の大好きだったサムと約束の時間に約束の場所でキャッチボールをしながら共に生きていた・・・。あれ、サムは既に死亡しているのでは・・・?
◆ 古くは、M・ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』(99年)、近時は『今度は愛妻家』(09年)(『シネマルーム24』100頁)など、現世と来世の境目があいまいとなり、主人公が死者と話をする映画には名作が多いが、本作もその1つ。ベン・シャーウッド原作の本作が面白いのは、それを「兄弟愛」だけではなく、チャーリーの同級生でヨットレースのライバルでもあった女の子テス(アマンダ・クルー)との恋愛劇を絡めたこと。もちろん、テスは現実に生きている女の子。したがって、チャーリーがテスに惹かれていけばいくほど、サムは「チャーリーが自分のことを忘れてしまうのでは?」と心配したが、さてチャーリーの心の中におけるその葛藤は?
◆ しかし、単独で世界一周ヨットレースに挑戦していたテスは、テスト走行で嵐の中に突っ込んでいったため、捜索は難航。こりゃ遭難死したにちがいない。すべての人はそう考えたが、なぜか死者と話ができる(?)チャーリーであれば、ひょっとしてテスの居場所を捜しあてることができるのでは?
◆ 10月5日に観た4時間38分の大作『ヘヴンズストーリー』(10年)も、10月26日に観た村上春樹原作の『ノルウェイの森』(10年)も「喪失」をテーマとした映画だったが、サムを失ったことの心の痛手=「喪失」から立ち直ることができなかったチャーリーは、今テスの救助に向かうことによって再生できるのだろうか?
「死者との対話」をテーマとしたストーリー展開に多少の違和感がつきまとうのはやむをえないが、心温まる兄弟愛を軸とした喪失と再生の物語をじっくり味わいたい。
2010(平成22)年10月29日記