ミス・ギャングスター(韓国映画・2010年) |
<GAGA試写室>
2011年3月3日鑑賞
2011年3月5日記
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監督・脚本:カン・ヒョジン
ジョンジャ/ナ・ムニ
ヨンヒ/キム・スミ
シンジャ/キム・ヘオク
銀行強盗/イム・チャンジョン
2010年・韓国映画・109分
配給/エスピーオー
◆ 『ハーモニー 心をつなぐ歌』(10年)で非の打ちどころがない模範囚(?)を演じて観客の涙を誘った老女優(?)ナ・ムニが、本作では冒頭から日本では厳罰化が進む飲酒運転を堂々と見せ、挙げ句の果ては銀行強盗から、おばちゃん(おばあちゃん?)3人乗りのバイクによるカーチェイスまで、やりたい放題のアウトローぶりを見せてくれる。もっとも、それだけでは「並み居るハリウッド大作を押しのけ大ヒット!」という宣伝文句も、120万人以上の観客動員という快挙もなかったはずで、ジョンジャがハワイ旅行に憧れるについては涙を誘うある伏線も・・・。それはそれで認めるものの、映画の主役がおばちゃん3人組で、しかもその平均年齢が65歳ということの魅力は?
◆ 本作におけるおばちゃん3人組のリーダー格は、「大阪のおばちゃん」そのもののパワーでコンビニでの万引き、その戦果品のオークション(?)を牽引するヨンヒ(キム・スミ)。他方3人の中では1番年が若く、まだ男にもてたいという欲求を捨てきれず、スタイルの維持に気を使っているのがシンジャ(キム・ヘオク)。本作を観ていても、ジョンジャを含むそんな3人がなぜ3人ともハワイのワイキキ旅行に憧れて貯金しているのか、また3人の女たちの団結が何を基盤として生まれたのかはよくわからない。しかし、何せ本作はエンタメ巨編だから、そんな面倒臭いことはどうでもよし!とにかく、本作前半ではハワイへ行き、ワイキキの砂浜を裸足で歩くことの魅力にとりつかれたおばちゃん3人組のパワーに注目!
◆ 本作を観ながら私が思い出したのは、東京郊外にある老人ホーム「らくらく長寿園」に集う青島幸男、谷啓、宇津井健の3人が演じた70歳を超えた老人たちが17億円の銀行強盗に挑み、それを見事に成功させるという面白い映画『死に花』(04年)(『シネマルーム4』338頁参照)。『死に花』は年金問題が噴出し、「未納三兄弟」という流行語が生まれ、福田康夫官房長官の辞任や民主党代表だった菅直人が代表の地位を辞任するという激動の時期に公開されたが、『死に花』の主人公たちはみんなリッチだから、そんな年金問題とは無関係?
しかし、本作にみるおばちゃん3人組は、8年間も努力して(万引きを続けてって?)やっと貯めたワイキキ行きの旅行資金が、こともあろうに銀行強盗によって強奪されたのだから大変。それによって一時は完全に落ち込んでいた3人組だが、さてそこで見せるおばちゃん3人組の底力とは?
◆ 銀行強盗を実行したものの、周囲を警察官に囲まれたおばちゃん3人が「あの時」の銀行の対応の悪さを訴え、人質にとった銀行員たちの同情と共感を買う姿は面白い。その結果、おばちゃん3人組は人質たちの協力を得て、3人乗りバイクでの脱出にまんまと成功するのだが、警察が全力を挙げて追っかけてくる中、それを振り切って空港に向かい、他のツアー客と共に飛行機に乗り込み、ワイキキまで飛ぶことができるの?そりゃどう考えても難しいと思うのだが、案の定・・・。
しかして、そこから浮かび上がるおばちゃん3人組を中心とする、さまざまな登場人物たちの人間像とは?エンタメ巨編をうたう(?)本作ながら、そんな細部にわたる人間分析もしっかりと・・・。
2011(平成23)年3月5日記