素晴らしい一日(韓国映画・2008年) |
<GAGA試写室>
2011年3月3日鑑賞
2011年3月5日記
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監督:イ・ユンギ
原作:平安寿子『素晴らしい一日』(文春文庫刊)
ヒス/チョン・ドヨン
ビョンウン/ハ・ジョンウ
2008年・韓国映画・124分
配給/エスピーオー
◆ 本作は、その表情からしていわく因縁のありそうな30代の女性ヒス(チョン・ドヨン)が1年前に別れた男ビョンウン(ハ・ジョンウ)に対し、350万ウォン(日本円にして約25万円)の返済を求めて競馬場にいるビョンウンのもとへ押しかけたところから始まる1日を描いた映画で、原作は平安寿子の『素晴らしい一日』(文春文庫刊)。しっかり者の女にちょっと頼りない男がくっつくケースはよくあるが、弁護士の私の目から見れば1年も経ってから貸金の返済を迫ってもそりゃ無理と思えるのだが、作家の目で見るとそんなシチュエーションは結構面白いらしい。
ヒスから今日中に返済することを迫られたビョンウンはその迫力に負け、お目付役(?)として一緒について回るヒスの車に乗って、友人知人たちを次々と訪れ何とか350万ウォンの返済に成功する(その実質は「借金のつけかえ」)のだが、そこから見えてくるさまざまな人間像とは・・・?
◆ 本作での私の注目点は、何よりも『スキャンダル』(03年)で木村佳乃に似た美貌が私の目に止まり(『シネマルーム4』192頁参照)、『ユア・マイ・サンシャイン』(05年)(『シネマルーム11』257頁参照)と『シークレット・サンシャイン(密陽)』(07年)(『シネマルーム19』66頁参照)の演技で私が星5つをつけて絶賛した女優チョン・ドヨンがどんな演技を見せるかということ。何の甲斐性もないのに女にはもて、いつもノー天気に生きているビョンウンがおしゃべりなのは当然。ハ・ジョンウは、『チェイサー』(08年)(『シネマルーム22』242頁参照)で見せた残忍な犯人役とは正反対の、そんなビョンウン役を巧みに演じている。
◆ ハ・ジョンウが「動の演技」とすれば、本作でチョン・ドヨンが見せる演技は静の演技。ヒスにしてみれば、とにかく貸した金を返してもらえればいいだけで、あれこれとしゃべりたがるビョンウンの能書きなど聞きたくないのは当然。まして、借金を返すために借金のつけかえを依頼して回るごとに、ビョンウンの女性関係がチラチラと垣間見えたのではかなわない。したがって、それでなくてもムスッとした表情のヒスの登場で始まった本作は、ストーリーが展開していくにつれてますますヒスのイライラがエスカレート。これでは美人女優本来の魅力を発揮できないのは当然だが、女優としてはたまにはこんな役も必要?それにしても、ヒスのあのケバい化粧は一体ナニ?韓国人は化粧が濃いらしいが、いくら何でもあのパンダのような目の周りの化粧は?
◆ 映画でも小説でも起承転結をつけるのが基本だが、本作は一貫してビョンウンがヒスへの借金を返済するため共同して(?)借金のつけかえに回るだけのストーリー。したがってそのストーリーだけで2時間4分をもたせるのはしんどく、さすがに中盤から後半にかけてのストーリー展開は少しダレてくる。しかしその反面、ビョンウンという男の言動を通じた人間性の追求という面での面白さは増してくる。
◆ 何はともあれ、ヒスの要求どおりビョンウンが350万ウォンをすべて返済(?)したのは立派だが、丸1日ビョンウンと行動を共にしてきた中でのヒスの感情の変化とは?ストーリーの最後の展開にみる40万ウォンのやりとり、そしてビョンウンと別れた後にヒスが偶然見ることになったビョンウンの行動とは?そして、ストーリー終了後、字幕が流れる中で見る2年後のビョンウンの姿とは?
2011(平成23)年3月5日記