STAR WARS エピソード1/ファントム・メナス 3D(アメリカ映画・2012年) |
<東映試写室>
2012年2月21日鑑賞
2012年2月23日記
あの人気の『スター・ウォーズ』シリーズ全6部作が、3D化されて再シリーズに!しかし振り返って考えてみれば、1977年の第1作から既に35年。時代は大きく変わっているから、当時は斬新なアイデア、美しい映像だったとしても、今では・・・?3Dの魅力は認めるものの、それだけではやはり・・・。
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監督・脚本:ジョージ・ルーカス
クワイ=ガン・ジン(ジェダイの騎士、ジェダイ・マスター)/リーアム・ニーソン
オビ=ワン・ケノービ(ジェダイの騎士、クワイ=ガン・ジンの弟子)/ユアン・マクレガー
クイーン・アミダラ(ナブーのクイーン)/ナタリー・ポートマン
アナキン・スカイウォーカー(ジャンク屋の奴隷少年)/ジェイク・ロイド
パルパティーン(ナブー選出の議員、銀河共和国元老院最高議長)/イアン・マクダーミド
シミ・スカイウォーカー(アナキンの母)/ペルニラ・アウグスト
シオ・ビブル/オリバー・フォード・デイヴィス
パナカ隊長/ヒュー・クォーシー
ジャー・ジャー・ビンクス(グンガン族)/アーメド・ベスト
C-3PO(ドロイド)/アンソニー・ダニエルス
メイス・ウインドゥ(ジェダイ評議会の重鎮、ジェダイ・マスター)/サミュエル・L.ジャクソン
ヨーダ(ジェダイ評議会の最古参メンバー、賢者のジェダイ・マスター)/フランク・オズ
ダース・モール(シスの暗黒卿)/レイ・パーク
R2-D2(ドロイド)/ケニー・ベイカー
2012年・アメリカ映画・136分
配給/20世紀フォックス映画
<『スター・ウォーズ』概史をひとしきり>
「遠い昔、はるかかなたの銀河系で・・・」というモノローグで始まった『スター・ウォーズ』シリーズは、1977年の『スター・ウォーズ』(エピソード4)から始まり、1980年の『スター・ウォーズ 帝国の逆襲』(エピソード5)、1983年の『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』(エピソード6)と続いた。その後、CG技術による「化粧直し」とシーンの追加をした特別篇が1997年に、『スター・ウォーズ 特別篇』(エピソード4)、『スター・ウォーズ 帝国の逆襲 特別篇』(エピソード5)、『スター・ウォーズ ジェダイの復讐 特別編』(エピソード6)として公開された後、新たにエピソード1・2・3の製作が開始された。
そして、1999年に『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が、2002年に『スター・ウォーズ エピソード2/クローンの攻撃』が、2005年に『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』(『シネマルーム8』121頁参照)がそれぞれ公開されて、「全6作」が完成した。
<3D化で「夢をもう1度!」だが・・・>
1977年から35年経った2012年の今、新たにスタートすることになった3Dによる『スター・ウォーズ』シリーズ6部作の第1弾『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』が公開された。よく「10年ひと昔」と言うが、この言葉は時の流れが速まる中あまり実感にマッチせず、現実の感覚は「10年あっという間」という感じ・・・。
クワイ=ガン・ジン(リーアム・ニーソン)をマスターと慕う若きジェダイの騎士オビ=ワン・ケノービを演ずるユアン・マクレガーは今や押しも押されぬ大スターだし、クイーン・アミダラを演ずるナタリー・ポートマンも『ブラック・スワン』(10年)(『シネマルーム26』22頁参照)で念願のアカデミー賞主演女優賞を獲得した大スター。若者たちの圧倒的支持を得た『スター・ウォーズ』シリーズの3D化で「夢をもう1度!」だが、さてその思惑は・・・。
<その特徴は?そのポイントは?>
『スター・ウォーズ』シリーズのうち、私が観たのは『スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐』だけ。その試写会では、久しぶりに映画のはじまりと終わりに盛大な拍手が鳴り響くという体験もしたが、「そんなに大騒ぎするほどのもの・・・?」というのが私の正直な感想だった(『シネマルーム8』121頁参照)。
『スター・ウォーズ』シリーズは「サーガ」と名付けられただけあって、壮大な叙事詩として構成されていることが最大の特徴。そして、そのポイントを私なりに挙げれば、第1に銀河系という壮大なスケール感、第2に斬新で美しい映像、第3にジェダイの騎士という中世的なイメージのヒーローを設定したこと、第4に日本のチャンバラを元にしたライトセーバーという武器を考案したこと、などだ。
<当時は、斬新なアイデア、斬新な映像だったが・・・>
今から35年前の1977年といえば、私が弁護士登録してから3年目の年。1970年代に入ると邦画界ではそれまでの「撮影所システム」が崩壊し、日活は「ロマンポルノ路線」に切り替わり、松竹では『男はつらいよ』シリーズが屋台骨を支える時代に入った。同時に『日本沈没』(73年)や『砂の器』(74年)などの大作・傑作も生まれたが、そんな時代状況の中でジョージ・ルーカス監督が発表した『スター・ウォーズ』シリーズのアイデアと映像美は飛び抜けて斬新なものだった。これによって『スター・ウォーズ』は若者たちの圧倒的な支持を受け、1969年から1995年まで全48部作、26年間も続いた『男はつらいよ』シリーズと同じように、1977年から2005年まで28年間も若者たちの目をひきつけたわけだ。
本作はたしかに、いろいろ手を変え品を変えて「サーガ」風に仕立てられてはいるが、1度観てしまえばネタがバレているから、いくら3Dにしたからといって、それだけで大興奮・大感激することにはならない。そう考えると、35年も経った今では、いくら当時斬新なアイデア、斬新な映像だったとしても・・・。
<この「ポッドレース」より、あの「戦車対決」の方が>
ウィリアム・ワイラー監督の超大作『ベン・ハー』(59年)はラスト約15分間における、ベン・ハーとメッサラとの「戦車対決」が見モノだったが、本作中盤には砂漠の惑星タトゥイーンで、クワイ=ガン・ジンたちが発見した奴隷少年アナキン・スカイウォーカー(ジェイク・ロイド)が、惑星恒例の「ポッドレース」で見事優勝する姿が描かれる。このアナキンはクワイ=ガン・ジン亡き後、オビ=ワン・ケノービをマスターにジェダイの騎士になる注目のキャラクターだが、本作に見るアナキンは、機械いじりが大好きな少年。クワイ=ガン・ジンが、なぜこの少年に「運命」を感じ取ったのかは、あなた自身の目でしっかり復習してほしい。
また、このポッドレースのシーンは3Dに最適の素材だから、ジョージ・ルーカス監督は、ここに「あるシーン」を追加しているらしいのでそれにも注目!もっとも、還暦を過ぎた私はこのあまりのスピードについていけず、かえって疲れるばかり。やっぱり私には、この「ポッドレース」より『ベン・ハー』の「戦車対決」の方が・・・。
2012(平成24)年2月23日記