ヤング≒アダルト(アメリカ映画・2011年) |
<TOHOシネマズ梅田>
2012年2月25日鑑賞
2012年2月27日記
ハイスクール時代は1番の美人で人気者でも、37歳の今は?同級生たちは次々と結婚し子供を産んでいるのに自分はバツイチのままで、作家業(?)も下降気味。そんな時、元カレとその妻から赤ちゃんの写真が・・・。私はやはり彼と結ばれるべきなのだ。そう確信し行動するヘンな女(?)を、ハリウッド・ビューティーのシャーリーズ・セロンが熱演!しかし、こんな女ってホントにいるの?また、この経験は彼女の「自己変革」に結びつくの・・・?
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監督:ジェイソン・ライトマン
脚本:ディアブロ・コディ
メイヴィス・グレイ(自称作家のゴーストライター)/シャーリーズ・セロン
マット・フリーハーフ(メイヴィスの高校時代の同級生)/パットン・オズワルト
バディ・スレード(メイヴィスの元カレ)/パトリック・ウィルソン
ベス・スレード(バディの妻)/エリザベス・リーサー
編集長/J.K.シモンズ
サンドラ・フリーハーフ(マットの妹)/コレット・ウォルフ
ヴィッキー・ロベク/ヘティエンヌ・パーク
ヘッダ・ゲイリー(メイヴィスの母)/ジル・アイケンベリー
デヴィッド・ゲイリー(メイヴィスの父)/リチャード・ベキンス
ジャン/メアリー・ベス・ハート
2011年・アメリカ映画・94分
配給/パラマウント ピクチャーズ ジャパン
<今ならまだ間に合う?>
ハリウッド・ビューティーのシャーリーズ・セロンが大人でもなく子供でもない、37歳バツイチの出来損ない女(?)メイヴィス・グレイを、『モンスター』(03年)での熱演(『シネマルーム6』238頁参照)とは全く違うスタイルで熱演!メイヴィスは作家と称しているが、実はゴーストライター。かつて人気だったヤングアダルトシリーズも今は下火で、近く絶版になるらしい。故郷のミネソタ州マーキュリーを飛び出し、ミネアポリスで独身生活を送っているメイヴィスのもとに、今日はハイスクール時代の元カレだったバディ・スレード(パトリック・ウィルソン)とその妻ベス・スレード(エリザベス・リーサー)から生まれたばかりの赤ちゃんの写真が送られてきた。こりゃ一体ナニ?私とバディは本来結ばれるべき運命にあったのに、なぜそうならなかったの?ハイスクール時代最高の人気者だった私は今なおこんなに美人で能力があるのに、なぜ1人でくすぶっていなければならないの?バディからの手紙は、私たちにヨリを戻しなさいという合図では?いやそうに違いない!そう確信したメイヴィスはちょっとした不動産取引のためという口実をもうけ、愛犬と共に愛車に乗って一路故郷へ。
今ならまだ間に合う!プライドだけ高い孤独な37歳のバツイチ女ならそんな思い込みも仕方ないかもしれないが、それを実行に移すところ、それを映画にしたところがすごい。しかして、その後の展開は?
<相方のメインは、バディではなくマット>
ラブコメディでは通常美男と美女の2人が主役だが、本作はラブコメではなくスレ違いラブコメだから、メイヴィスの相方となる主役はバディではなく、たまたま故郷のバーで出会ったハイスクール時代の同級生マット・フリーハーフ(パットン・オズワルト)。マットは全然冴えない男だったからメイヴィスの記憶には全くなかったが、酒を飲んでいるうちにこの男はゲイだと錯覚した運動部の選手たちから下半身をボコボコにされたことが話題になった男だったことを思い出すことに。
メイヴィスがバディとヨリを戻すために故郷に戻ってきたと知ったマットは、「そんなバカげたことはやめろ」と諭したが、メイヴィスはこんな男のアドバイスなどどこ吹く風。見事に女を磨き上げ変身しながらバディへのアタックを強めていったが、それがベスはもとよりハイスクール時代の同級生たちから見ると浮き上がっていることは明らか。観客の私たちが観ていても、このバカさ加減は一体ナニ?と思うのだが、当の本人はわからないらしい。本当はバディは自分のことが忘れられず内心ではベスと離婚し自分と一緒になりたいと願っているはず。それなら自分からその運命を切り開かなければ、と本気で思っているメイヴィスのバカさ加減にビックリ!本当にこんな女っているの?
<当然の結末だが、そこから何を学ぶ?>
本作では女を磨き上げドレスアップしたメイヴィスの姿と、ぐでんぐでんに酔っ払ってベッドで目を覚ますメイヴィスの痛々しい姿の落差が面白い。きわどい言葉がポンポン飛び出すメイヴィスの話しぶりや、朝ベッドで目を覚ますと隣に裸の男が寝ていた風の生活ぶりを見ていると、最悪状態に陥ったメイヴィスがマットとベッドインするストーリーもわからないではないが、いくら何でもそこまでは・・・というのが正直な印象。マットの前で素っ裸になっていく(?)シャーリーズ・セロンの姿を見ていると、ハリウッドを代表する美人女優がそこまでやらなくても・・・と思えてくる。
本作は『JUNO/ジュノ』(07年)(『シネマルーム19』294頁参照)のジェイソン・ライトマン監督作品だが、論点が1つだけだから結末も途中から大体見えてくる。時間的にも94分だから、まあここでこんな最悪の事態になれば、その後のエンディングはきっとこうだろうというのも思えてくる。現に結末はその予想どおりになるのだが、メイヴィスはこの故郷での最悪の経験を今後いかに自分の糧にするの?映画ではそれなりの「総括と反省」がなされているようだが、私の見るところではメイヴィスは実は何も変わっておらず、これからも変わらないのでは?そう思えてならないが、さてあなたの見立ては?
2012(平成24)年2月27日記