キラー・エリート(オーストラリア映画・2011年) |
<角川映画試写室>
2012年4月5日鑑賞
2012年4月6日記
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監督:ゲイリー・マッケンドリー
原作:ラヌルフ・ファインズ『キラー・エリート』(ハヤカワ文庫刊)
ダニー(元殺し屋)/ジェイソン・ステイサム
スパイク(元SASの隊員、極秘組織「フェザー・メン」所属)/クライヴ・オーウェン
ハンター(ベテランの殺し屋、ダニーの師匠)/ロバート・デ・ニーロ
デイヴィス(ダニーのかつての仲間)/ドミニク・パーセル
マイヤー(ダニーのかつての仲間)/エイデン・ヤング
アン(ダニーの恋人)/イヴォンヌ・ストラホフスキー
マーティン(元SASの隊員)/ベン・メンデルソーン
エージェント/アドウェール・アキノエ=アグバエ
バクハイト(オマーンの族長の四男)/フィラス・ディラーニ
2011年・オーストラリア映画・117分
配給/ショウゲート
◆ イギリスには第2次世界大戦中に対ドイツ戦における後方攪乱部隊として組織されたSAS(Special Air Service)という世界最強の陸軍特殊部隊が存在していたことを、はじめてお勉強。1971年から76年に起きたオマーン内戦にこのSASが投入されたことはネット情報でも明らかだが、そもそもオマーン国やオマーン内戦自体を日本人はほとんど知らない。イギリスが1982年にフォークランド紛争に突入した事情は、メリル・ストリープが第84回アカデミー賞主演女優賞を受賞した『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』(11年)でよくわかったが、さてオマーン内戦とは?
本作をきっかけにその勉強を深めるもよし、逆にそんな難しい話は抜きにアクションを楽しむもよし!
◆ もっとも、本作はSASによって4人の息子のうち3人までを殺されたオマーンの族長の依頼によって、いったんは殺し屋稼業から足を洗っていたダニー(ジェイソン・ステイサム)が「キラー・エリート」としての凄腕を発揮する物語。ジェイソン・ステイサムは相変わらず切れのいいアクションを見せつけてくれるし、老齢の域に達した(ほぼ70歳!)ロバート・デ・ニーロも、ダニーの引き立て役ながら、カッコいい存在感を見せつけてくれる。
他方、本作の憎まれ役は元SASのメンバーでつくられている極秘組織「フェザー・メン」をバックにした元SASのスパイク(クライヴ・オーウェン)だが、クライヴ・オーウェンもアクションはもちろん、プロの誇りを失わない人間味をしっかり見せつけてくれる。正当派アクションスターによる知恵と知恵、肉体と肉体のぶつかり合いは、さていかに・・・。
◆ 族長からのダニーに対する依頼は、自分の息子たちを殺害したSASの精鋭3人を事故に見せかけて殺し、その映像を証拠として持ってこい、というかなりハードルの高いもの。殺し屋稼業の虚しさを知り、今は恋人のアン(イヴォンヌ・ストラホフスキー)と静かに暮らしているダニーは当初それを断っていたが、自分の師匠であったハンター(ロバート・デ・ニーロ)が人質にされているためやむなくそれを承諾し、昔の仲間であるデイヴィス(ドミニク・パーセル)とマイヤー(エイデン・ヤング)を招集。「報酬は2人が山分けすればいい。自分の取り分はいらない」というシーンはカッコいいが、目的を達成した場合口約束だけの族長からの報酬はホントに支払われるの?本作本来の売りであるアクションを楽しみつつ、少しはそんな裏事情の展開にも注目!
◆ 組織から抜けることの難しさは、古くは『カムイ外伝』(09年)(『シネマルーム23』187頁参照)、新しくは3月13日に観た『捜査官X(武侠)』(11年)を見ても明らかだが、本作が追及する人間的なテーマ(?)はダニーが殺し屋稼業からホントに足を洗うことができるのか否かというもの。ダニーが族長の依頼を引き受けたのは、あくまでハンターを救い出すためだから、その目的が達成できればスンナリ殺し屋稼業をやめてアンと仲良く静かな生活を送るの?この手の映画では普通そういうハッピーエンドはなく、かなしい結末が待ち受けていることが多いが、さて本作では?
2012(平成24)年4月6日記