エターナル 奇蹟の出会い(ロシア映画・2011年) |
<テアトル梅田>
2012年5月22日鑑賞
2012年5月24日記
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監督:レベン・ガブリアーゼ
原題:LUCKY TROUBLE
ナージャ/ミラ・ジョヴォヴィッチ
スラヴァ(教師)/コンスタンチン・ハベンスキー
ナージャの婚約者/イヴァン・アーガント
/ニコライ・アリパ
/ウラジミール・メニショフ
校長先生/セルゲイ・ガルマッシュ
2011年・ロシア映画・97分
配給/ファインフィルムズ
◆ 2012年6月9日から7月13日まで「シネ・ヌーヴォ」で「ロシア・ソビエト映画大特集2012」が開催されるが、そこでは1925年の名作『戦艦ポチョムキン』や、3時間55分の超大作『戦争と平和(総集編)』(65~67年)、143分の『アンナ・カレーニナ』(67年)をはじめ「これぞロシア文学!」「これぞロシア映画!」という重厚なものがずらりとラインナップ。
ところが、『バイオハザード』シリーズ等で今やすっかりハリウッドのアクション女優として認知されたミラ・ジョヴォヴィッチが婚約者を待ち続ける女ナージャを演ずる本作は、ハリウッドのB級ラブコメ風の恋愛劇と、CGをふんだんに活用した香港映画『小林サッカー』(02)のダイナミズムを混ぜ合わせたようなロシア版コメディー。さて、その出来は?
◆ ハリウッドで「強い女」ばかりを演じてきたミラ・ジョヴォヴィッチが、それとは180度違うイメージの役をやりたくなったのは当然かもしれないし、ウクライナ出身の彼女がロシア映画に出演できたことは大いなる喜びかもしれないが、本作における彼女の役は?
本作を観れば、日本での宣伝はともかく、本作の主役はナージャの運転する車によってはねられた被害者であるにもかかわらず、ナージャに一目惚れしてしまった高校教師のスラヴァ(コンスタンチン・ハベンスキー)であることは明らかだ。また、ストーリーの軸も中盤からクライマックスにかけては、スラヴァとスラヴァが寄せ集めた12名の孤児たちとの心の交流と優勝に向けた戦いのドラマになってしまうから、ミラ・ジョヴォヴィッチはいわば添え物。ハリウッドの大女優ミラ・ジョヴォヴィッチをロシアが迎えるにあたり、こんな映画、こんな役しかなかったの・・・?
◆ 「ウソも方便」とは便利な言葉だが、本作ではナージャとの結婚式に新郎のスラヴァがやむを得ず遅れる理由について彼が語るウソが前半のストーリーの大半を形成する。そのポイントは、ひょんなことから12歳以下の少年サッカーの監督にさせられてしまったスラヴァが、1回戦で敗退すればすぐにモスクワに行けるとふんでサッカーとは無縁の12名の孤児たちをかき集めたところ、意外にもその孤児たちが『少林サッカー』で観たような才能を発揮して勝ち進んでしまうことだ。
スラヴァは孤児たちに下剤を飲ませてみたり、重労働を課して試合中のエネルギーをそいでみたり、いろいろと工夫をするのだが、孤児たちは1回戦、2回戦、3回戦とその難関を乗り越えてしまうから困ったもの。その都度スラヴァはウエディング姿で懸命に招待客をもてなしているナージャに携帯でウソ八百を並べているが、それがバレてしまうのは時間の問題。そして、遂に決勝戦という段階に至り、スラヴァのウソが花嫁にも孤児たちにもバレてしまうと・・・?
◆ 12人の孤児たちが「かっぱらい」などで鍛えた身体能力をフルに活かして、今サッカーの試合に打ち込んでいるのは何のため?それは、優勝すればその試合がテレビで放送されるそうだから、ひょっとして両親たちがそれを見ると・・・。てっきり悪ガキだと思っていた彼らのそんな気持が明らかにされていく中、映画は予定調和的なクライマックスに向けてひた進んでいく。
そんな方向が決まれば、スラヴァがそれまでついていたウソなど罪のないもの?いやいや、子供たちやスラヴァにとって本来そうはいかないはずだが、映画では何でもあり!さて多くの招待客を前にウエディングドレスでピエロ役を演じていたナージャは、大きな感動の中でスラヴァのウソを水に流すことはできるのだろうか?そんな人間ドラマとしてみれば、ミラ・ジョヴォヴィッチの役柄がどうのこうのという些細なこと(?)を別にすれば、本作はそれなりの出来・・・?
2012(平成24)年5月24日記