ハッピーエンドが書けるまで(アメリカ・2012年) |
<テアトル梅田>
2015年7月18日鑑賞
2015年7月21日記
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監督・脚本:ジョシュ・ブーン
サマンサ(両親の離婚が原因で恋愛に臆病になっている女子大生)/リリー・コリンズ
ルイス(サマンサに思いを寄せる同級生)/ローガン・ラーマン
ビル(サマンサの父、作家)/グレッグ・キニア
エリカ(3年前にビルと離婚したサマンサの母)/ジェニファー・コネリー
ラスティ(サマンサの弟)/ナット・ウルフ
ケイト(ラスティの初恋の相手)/リアナ・リベラト
2012年・アメリカ映画・97分
配給/AMGエンタテインメント
◆『あと1センチの恋』(14年)についての私の評論は、「今ドキの若者の『恋のレベル』を知るには面白いかもしれないが、65歳のオレにはちょっと・・・」というもの(『シネマルーム35』209頁参照)だった。しかし、『しあわせの隠れ場所』(09年)(『シネマルーム26』39頁参照)に続いて観た、1989年生まれのイギリスの若手美人女優リリー・コリンズが本作に出演していることと、本作は私が見逃していた『きっと、星のせいじゃない』(14年)を監督したジョシュ・ブーン監督の第2作目という2つの理由で、映画館へ行くことに。もっとも、何回か観た予告編と「笑って泣いて、あなたはいつの間にかこの映画に恋をする」と書かれたチラシの印象では、ちょっと「軽すぎる」感じも・・・。
◆映画冒頭、いきなり可愛い顔をした主人公の女子大生サマンサ(リリー・コリンズ)が、同級生らしい男の子に「セックスしない?」と持ちかけるシーンが登場するが、それを観ていると、それだけで何となく本作が描くサマンサの恋のあり方がわかってくる。また、いい歳をしたおっさんのビル(グレッグ・キニア)が他人の家に忍び込み、部屋の中で夫婦ゲンカしている様子を楽しんでいる(?)シーンを観た後、実はこれはビルが離婚した妻エリカ(ジェニファー・コネリー)にまだ未練を持っているためだということがわかると、本作が描くこのビルの恋のあり方もわかってくる。
さらに、1番奥手で女に臆病そうなサマンサの弟のラスティ(ナット・ウルフ)がビルからけしかけられたことによって、突然パーティで知り合った女の子ケイト(リアナ・リベラト)にアプローチしていく姿を観ていると、本作が描くラスティの恋のあり方も大体わかってくる。なるほど、なるほど・・・。
◆したがって、以降本作が描く①母親の浮気の生々しい姿を目の前で見たことによって恋に臆病になりつつも、父親を見習って作家業を目指す長女サマンサ、②妻エリカと離婚しながらも、なお3年間ずっと未練を持ち続けている父親ビル、③離婚した母親エリカを徹底的に嫌い、一切の関係を断っているサマンサとは反対に、今でもエリカを愛し、時々会っているサマンサの弟ラスティ、という三人三様の恋の展開はとりたてて言うほどの新鮮さはなく、ごく平凡なものだ。
もっとも、アメリカでは「葉っぱ」を吸う若者は珍しくないが、日本ではそんな風景はまず見ないので、ラスティが友人たちとさかんに葉っぱを吸う風景や、ケイトがそんなものに手を出したお陰でラストに訪れるハプニング(?)を見ていると、意外なストーリー展開ともいえる。しかし『あと1センチの恋』と同じように、それもちょっと人工的に作られすぎでは・・・?
◆日本では正月に家族が集まりごちそうを食べるのが習慣だが、アメリカでは謝肉祭の日に家族が集まりごちそう(七面鳥)を食べるのが習慣らしい。作家といえば概ね豪放磊落で家庭的なことなど全くできない男を想像するが、既に有名な作家となっているビルは料理も上手いらしい。したがって、謝肉祭の日は家にいる息子のラスティだけでなく、大学に行っているサマンサも家に戻って家族3人で七面鳥を楽しむらしいが、そこに今なお出ていった妻の席を用意しているのはいかがなもの・・・?
したがって、せっかく作家として処女作が認められたことを報告し、ビルに喜んでもらったサマンサもそんな話題になるとたちまち不機嫌に・・・。
◆サマンサに心を寄せる男ルイス(ローガン・ラーマン)は最初はストーカーみたいだったが、いざ話をしてみると、同じ大学で作家の勉強をしているだけあってかなりのインテリ。その結果、男なんて1回毎のセックスのお相手で十分と思っていた(?)サマンサも、少しずつルイスに心を許していくことに。もっとも、そんなルイスもサマンサの作家デビュー記念パーティの席にいらざる気を遣ってエリカを招待したため、サマンサの神経を逆撫でしてしまったが、本作の邦題をみれば、それでもハッピーエンドになる筋書きは見え見え・・・?
しかして、本作ラストに迎える謝肉祭のシーンでは、ビルとサマンサとラスティの家族の他、ラスティの彼女ケイトがある事情によって出席できなかったのは仕方ないが、ルイスはしっかり着席しているから、そこに注目!そして、きっとそれだけではないだろうと思っていると、案の定ドアが叩かれると、そこにはエリカの姿が・・・。しかし、こんなハッピーエンドも、ちょっと安易過ぎるのでは・・・?
2015(平成27)年7月21日記