生きうつしのプリマ(ドイツ・2015年) |
<テアトル梅田>
2016年7月30日鑑賞
2016年8月3日記
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監督:マルガレーテ・フォン・トロッタ
ゾフィ(ジャズ・シンガー)/カッチャ・リーマン
カタリーナ(エヴェリンそっくりのオペラ歌手)/バルバラ・スコヴァ
エヴェリン(死亡したゾフィの母)/バルバラ・スコヴァ
パウル(ゾフィの父、エヴェリンの夫)/マティアス・ハービッヒ
ラルフ(パウルの兄)/グンナール・モーラー
フィリップ(カタリーナのマネージャー、ゾフィの新しい恋人)/ロバート・ジーリゲル
ローザ(カタリーナの痴呆症の母、エヴェリンの友人)/カリン・ドール
ジョージ/アウグスト・ツィルナー
オルロフ/リュディガー・フォグラー
2015年・ドイツ映画・101分
配給/ギャガ
◆去る7月7日に観た『めぐりあう日』(15年)に続いて、母親探しの物語を鑑賞。『めぐりあう日』では、生みの母親にたどり着くまでに、匿名で出産した女性を守る法律を突破する大変さが際立っていた。
それに対して本作は、父親パウル(マティアス・ハービッヒ)が、亡き母親エヴェリン(バルバラ・スコヴァ)そっくりのプリマドンナをWeb上で発見したため、ジャズシンガーの娘ゾフィ(カッチャ・リーマン)が父親の依頼を受けてしぶしぶ(?)ニューヨークまで飛び、母親捜しをするものだ。
◆Web上の写真を見る限り、世界的に活躍しているオペラ歌手であるカタリーナ(バルバラ・スコヴァ)は、たしかに母親のエヴァリンそっくり。ゾフィもジャズシンガーだから、ジャンルこそ違っても、これは同じ血筋をひいているためでは・・・?
そんな想いで矢も盾もたまらなくなるのが父親だけというところが面白い。その理由は、終盤に至り、あっと驚く事実が明らかにされてからハッキリしてくるので、それに注目!しかして本作では、たまたま彼氏と別れたところ、ジャズのお店の仕事を打ち切られたところ、そして旅費は全額父親持ちということもあって、ゾフィはカタリーナを訪ねるため、ドイツからニューヨークのオペラ劇場まで飛行機で飛んでいくことに。
◆本作と同じ日に観た『ミモザの島に消えた母』(15年)は、30年前に死亡した母親の秘密を40歳になった長男とその妹が探る旅に出る物語だったが、そこではあっと驚く母親の秘密が少しずつ明らかにされ、そこから家族の再生のテーマが浮かびあがっていた。
それと同じように本作でも、当初はゾフィに対して「他人の空似でしょ」と突っぱねていたカタリーナだったが、重度の痴呆症で施設に収容されているカタリーナの母親で、エヴァリンの友人でもあったローザ(カリン・ドール)が隠していた古い写真に接する中で、少しずつあっと驚く事実が明らかになっていくことに・・・。
◆本作には孫世代のゾフィ、母親世代のエヴェリンおよびそのそっくりさんであるカタリーナ、そして祖母世代のローザという4人の女性が登場する。スクリーン上でもその世代差はハッキリさせているが、私にはどうみてもゾフィとカタリーナが母子ほど年が離れているとは思えないから、少し違和感がある。
ニューヨークを訪れた旅でゾフィはカタリーナに対してほとんどいい思いを持つことはなかったから、父親から頼まれたこの旅はいわば傷心の旅。ところが、たまたまそこでカタリーナのマネージャーをしている男性フィリップ(ロバート・ジーリゲル)から優しくされ、ドイツで別れた恋人の肩代わりをしてくれたから、ひょっとしてこのフィリップとの間に新しい恋が・・・。
◆ミステリーものでは本来ネタバレ情報を書くのは厳禁だが、『めぐりあう日』や『ミモザの島に消えた母』と同じように、本作でも母を訪ねる旅の中で次第に明らかになっていく「あっと驚く事実」を書かなければ、何の映画かサッパリわからないことになる。
そのため、ネタバレ覚悟でそれを書くと、ゾフィがアメリカからドイツに戻ったところで、父親のパウルから、自分がエヴェリンと結婚した時、彼女は既に妊娠していたうえ、そのお相手が兄のラルフ(グンナール・モーラー)だったという「衝撃の告白」をされるところから、事態は急展開!さらに、パウルはエヴェリンから「子供は堕ろした」と聞かされていたが、実はエヴェリンはイタリアで娘を出産していたらしいこと、そして、その娘は友人のローザに預けたらしいことがわかったため、ゾフィはさらにイタリアへ、母を訪ねる旅に出かけることに。
◆しかし、このややこしさは一体ナニ?最近なぜこんなにややこしい、娘が母親を訪ねるミステリーばかりが続くの?犯罪モノ、推理モノがややこしいのは当然で、そのネタバレが厳禁とされるのは、犯人捜しを楽しむスリルと知的好奇心を阻害するのを防止するためだが、母を訪ねる旅をテーマとした映画でそこまでややこしいミステリー性にこだわる必要はないのでは・・・?
2016(平成28)年8月3日記