俠女(A Touch of Zen)(台湾映画・1971年) |
<シネ・ヌーヴォ>
2017年3月25日鑑賞
2017年3月30日記
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◆第1部「チンルー砦の戦い」、第2部「最後の法力」に分かれたキン・フー監督の、3時間の大作である『侠女』も『残酷ドラゴン 血斗竜門の宿(龍門客桟/Dragon Inn)』と同じ、明時代末期の物語。悪役は政府(東厰)の宦官で、主人公は本作のチラシでもその美人度が際立っている、徐楓(シュー・フォン)が演じる、政府に反抗して処刑された大臣の娘ヤンだ。
もう1人の主人公は「科挙の試験」に挑戦せず、小さな村で絵や書を売って母親と2人で静かに暮らしている青年、グー(石雋=シー・チュン))。すると、本作はそんな2人の恋愛劇・・・?一瞬そう思ったが、いやいや、本作は「武侠アクション映画の原点にして頂点」の歴史的大作だから、それはあくまでストーリー展開上のちょっとした彩りだけ・・・。
◆公式サイトによれば、本作のストーリーは次のとおりだ。
明時代末期。絵や書を売る書生のグーは、小さな村に母親と暮らしていた。ある日、店に現れたオウヤンという見知らぬ男に、住んでいるチンルー砦のことを聞かれる。近所を調べると、そこには美しい女性ヤンが越してきていた。母親からの勧めもありグーとヤンの距離が縮まる中、二人の目の前にオウヤンが現れ、剣を抜きヤンと戦い始める。なんとヤンは政府(東廠)に反旗して処刑された大臣の娘で、一族抹殺された中での唯一の生き残りだった。人相書を頼まれたことで事実を知ったグーは、姿を消したヤンを探し出し、彼女とその仲間を助けるために、兵法を使って東廠の追跡隊を罠にかけるが…。
◆前述したストーリーは3時間という本作のほんの一部だけで、本作中盤にはまるで「少林寺」のような大きなお寺の高僧(喬宏=ロイ・チャオ)が登場し、本作全体のストーリー展開の上で大きな役割を果たすことになる。彼は、追っ手に追われていたヤンと彼女を守る家臣(白鷹=パイ・イン)を追っ手から助けた上、2年間もお寺で修行させ、武術も身につけさせる役割も。
なお、本作では、後に、『グリーンデスティニー』(00年)、や『LOVERS』(04年)でもさかんに使われた、「竹林の戦い」が有名だが、東厰から派遣されたメチャ強い兵士シュウ(ハン・イエンチェ)とその2人の息子、(その1人は洪金寶=サモ・ハン・キンポー)が、高僧との戦いで大きな役割を果たすので、それにも注目!
◆さらに、本作導入部で少し見られたグーとヤンの恋模様(?)は、グーの母親の勧めどおりヤンがグーと結婚し、グーの子供を産み落としたところで、ヤンが姿を消してしまうので、そのストーリーにも注目!
ヤンはグーとその母親に対して、グー家の跡取りを産むことによって恩を返したわけだが、そんなハプニング(?)によって、本作後半、グーはかつて萬屋錦之助が演じた『子連れ狼』(73年)のような赤ん坊を連れた状態で、ヤン探しの旅に出ることになるので、それにも注目!
◆中盤から見せつけてくれる高僧の武芸の強さは、人並み外れた圧倒的なものだから、いくら東厰の追っ手が迫っても高僧はビクともしない。追っ手の中で圧倒的に強いシュウとその2人の息子の「連合軍」をもってしても高僧にには歯が立たなかったが、そこでシュウが「参りました。私も弟子入りさせてください」と態度を急変させるシーンが本作のラストのミソとなる。
シュウのそんな態度に思わず気を許した(?)高僧が、シュウに近づいたところ、シュウはいきなりナイフで高僧をグサリと刺したから、こりゃヤバい。かつてプロレス界の頂点に君臨していた力道山が暴漢のナイフの前に命を失ってしまったのと同じように、あれほど強かった高僧もシュウの策略によって、とうとう命を落とすことに・・・。そんなラストの展開がみえてくるが、本作はそんな想像をはるかに超えたなんとも意外な結末になっていくので、それはあなた自身の目でしっかりと。
2017(平成29)年3月30日記