ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(アメリカ、チリ、フランス映画・2016年) |
<TOHOシネマズ西宮OS>
2017年4月8日鑑賞
2017年4月11日記
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監督:パブロ・ラライン
ジャクリーン(ジャッキー)・ケネディ(ケネディの妻)/ナタリー・ポートマン
ロバート(ボビー)・F・ケネディ(ケネディの弟、司法長官)/ピーター・サースガード
ナンシー・タッカーマン(ジャッキーの公的秘書)/グレタ・ガーウィグ
ジャーナリスト/ビリー・クラダップ
神父/ジョン・ハート
ウィリアム(ビル)・ウォルトン/リチャード・E・グラント
2016年・アメリカ、チリ、フランス映画・99分
配給/キノフィルムズ、木下グループ
◆1963年11月22日、ジョン・F・ケネディ大統領が、テキサス州ダラスでのパレードの最中に銃撃されて即死。それは今から50年以上も前のニュースだが、そのショックは世界中を駆け巡った。その時のファーストレディであった、ジャッキーことジャクリーン・ケネディは34歳。24歳で未来の大統領と結婚し、31歳でホワイトハウスに入り34歳で未亡人となったわけだが、その後のギリシャの海運王オナシスとの再婚を含む「華麗なる転身」は有名。また、あの時の可愛らしい女の子が、後のオバマ政権で駐日大使をつとめたキャロライン・ケネディだ。
本作でジャッキーを演じるのは、『レオン』(94年)で子役としての鮮烈なデビューを飾り、『ブラックスワン』(10年)でアカデミー賞主演女優賞を受賞する(『シネマルーム26』22頁)等、今やハリウッドを代表する女優に成長したナタリー・ポートマン。彼女は本作で再びアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたが、さてその結果は・・・?
◆ジョン・F・ケネディ大統領の当時の人気は高かったし、そのファーストレディたるジャッキーの人気も高かった。また、オバマ前大統領が大統領に就任した当時の人気も高かったし、その妻であるミッシェル・オバマ氏も高人気の下でファーストレディとしての役割を果たしていた。日本では、総理大臣夫人がファーストレディとして華々しく活躍することは珍しく、安倍晋三総理の妻、昭恵夫人はその例外だが、その彼女は現在、森友学園問題で大きな問題を引き起こしている。
ちなみに、今年1月にアメリカ大統領に就任したトランプ氏のファーストレディは、3回目の再婚相手である妻のメラニアさんではなく、最初の妻イヴァナさんとの間に生まれた娘イバンカさんが務めている。これはかつて「今太閤」と呼ばれた田中角栄総理がいつも娘の眞紀子氏を連れていたのと同じようなものだ。
アメリカでは、リンカーン大統領が1865年4月14日に暗殺されたことはよく知られているが、まさか自分の夫であるジョン・F・ケネディ大統領がパレードの最中に銃撃によって暗殺され、自分の目の前で血を流して死んでしまうとは・・・。そんな現実を前に、ファーストレディとしてのジャッキーはどうあるべきなの・・・?
◆ケネディ大統領が現実に果たした役割(功罪)については評価が大きく分かれているが、大統領就任と同時に家族で住み込むホワイトハウスの改修についてはジャッキーが大きな役割を果たしたことが本作を観ているとわかる。しかし、残念ながら私はそのことにあまり興味はない。しかし、ケネディ暗殺後はエアフォースワンの中でジョンソン副大統領が大統領に就任する宣誓が行われたことや、ケネディの葬儀について、ケネディの弟で司法長官だったボビーことロバート・F・ケネディ(ピーター・サースガード)以上にジャッキーの発言力が強かったことを、本作ではじめて知ってビックリ!
大統領の暗殺という大事件が起きた後の犯人捜査と葬儀のあり方は重大問題だが、それ以上に大切なのは軍事、外交を中心とする政治、経済の空白をつくらないこと。私としては、ジョン・F・ケネディ暗殺を描く映画についてはそんな視点に興味があるが、本作はあくまで大統領暗殺後の葬儀に向けて、ジャッキーがファーストレディとしていかなる役割を果たしたかに焦点をあてている。
本作は新聞記者(ビリー・クラダップ)の取材に対してジャッキーが答える形で進んでいくが、そこで目立つのはジャッキーの気の強さ。これは一体なぜ?彼女は一体、何から何を守ろうとしているの?その読み解き方によって、本作の好き嫌いがはっきり分かれるだろう。
◆ナタリー・ポートマンがジャッキーを演じたうえ、アカデミー賞主演女優賞にノミネート!そう聞いて私は「本作は必見!」と期待したが、西宮OSでの上映は1日1回だけだし、意外に小さなスクリーン。しかも、キネマ旬報4月下旬号の「REVIEW 日本映画&外国映画」での3人の映画評論家の評価は星3つ、3つ、2つと低い。日本では今、森友学園問題を巡る安倍昭恵総理夫人のファーストレディとしての役割のあり方が大きな注目を集めているから、本作の話題作りにはちょうどいいはずだが、なぜか劇場の入りはイマイチ。そして、私が本作を鑑賞した評価もその出来はイマイチと言わざるをえない。これではナタリー・ポートマンがアカデミー賞主演女優賞を受賞できず、『ラ・ラ・ランド』(『シネマルーム39』10頁参照)のエマ・ストーンが受賞したのは当然。すると、本作の脚本はもう少し練る必要があったし、演出ももう一工夫する必要があったのでは・・・。
2017(平成29)年4月11日記