おとなの恋の測り方(フランス映画・2016年) |
<松竹試写室>
2017年4月27日鑑賞
2017年5月1日記
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監督:ローラン・ティラール
原作:コラゾン・ド・レオン
アレクサンドル(建築家)/ジャン・デュジャルダン
ディアーヌ(敏腕女性弁護士)/ヴィルジニー・エフィラ
ブルーノ(ディアーヌの元夫)/セドリック・カーン
ベンジー(ディアーヌの息子)/セザール・ドンボワ
2016年・フランス映画・98分
配給/松竹
<ショートコメント>
◆久々にフランス初のロマンティック・コメディを鑑賞。『おとなの恋の測り方』という邦題からも、「オトコの価値は、何で決まる?」という本作のテーマからも、本作がどんなロマ・コメかわからなかったが、主人公の男の身長が136㎝という設定を聞いて、なるほど、なるほど・・・。
男の価値は外見じゃない!中味だ!実力だ!とはよく聞くが、実は・・・?
◆ロマ・コメの最初のポイントは男女の出会いだが、さすがフランス発のロマ・コメだけあって、本作導入部で見る、3年前に離婚し、今は独身生活を送っている魅力的な女性弁護士ディアーヌ(ヴィルジニー・エフィラ)の自宅にかかってきた電話で話し込む冒頭のシークエンスは面白い。今どき、スマホと別に自宅に固定電話を置いている人(家庭)は少ないはずだが、本作では、ストーリー構成のため、自宅電話が不可欠だ。
電話をかけてきた男・アレクサンドル(ジャン・デュジャルダン)は、ディアーヌがレストランでスマホを忘れたところをすぐ近くの席で見ていたそうだ。それなら、なぜすぐにその場で追いかけてくれないの?その質問に対するアレクサンドルの答えは、ウイットに富んだものであったうえ、その電話では、食事のお誘いまで。普通はそんなお誘いに乗るディアーヌではないが、この時ばかりはアレクサンドルの会話上手のためか、ディアーヌは翌日約束の時間に約束の場所に行くことに・・・。
◆男女の恋に貧富の差や教育(知力)の差など関係なし!さらに、互いの容姿の善し悪しや体重差、身長差も関係なし!誰でも口ではそう言うが、さてその実は・・・?
本作のプレスシートにある、辛酸なめ子のコラム「アレクサンドルに続け!素敵な小柄男子に注目」には、「ステキな小柄男子たち」として、①爆笑問題・田中さん(154㎝)、②トム・クルーズ(170㎝)、③孫正義社長(160㎝)、④岡村隆史さん(156㎝)の名前が挙げられている。本作のアレクサンドルは、それをはるかに超えた小柄男子で、身長136㎝というから、こりゃ小人(いや失礼!)。
◆アレクサンドルを演じたジャン・デュジャルダンは、フランス発の無声映画『アーティスト』(11年)で第69回ゴールデングローブ賞のコメディ/ミュージカル部門の最優秀男優賞と第84回アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞したカッコいい俳優だが、本作で136㎝のアレクサンドルを演じるについて、ローラン・ティラール監督は、さまざまな撮影上のテクニックを駆使したらしい。その成果もあり、最初にレストランのテーブルを挟んでアレクサンドルとディアーヌが向い合うシーンや、立ったまま2人が向い合うシーンは、いずれも面白いシーンになっている。3年前に離婚したのに、今なおディアーヌに未練を示す元夫ブルーノ(セドリック・カーン)がオフィスを訪れてきたとき、ディアーヌの前の大きな椅子に座っているアレクサンドルを見過ごしてしまうシーンも失笑ものだ。
初デート以降に見せる建築家としてのアレクサンドルの仕事ぶりや、ウイットに富んだ会話力を見れば、アレクサンドルの男としての魅力は十分だが、小人みたいな男という外観はやはり男の価値に決定的マイナスを・・・?
◆ディアーヌは、そんなことを気にせず、ひたすらアレクサンドルとの恋に猛進!一見そんな雰囲気もあったが、一緒にデートをするたびに周囲からジロジロ好奇心の詰まった目で見られることにディアーヌはうんざり。さらに、アレクサンドルをディアーヌの両親に紹介したところ、身体が不自由になっている父親は、理解を示したものの、母親の方は娘の再度の結婚相手としては問題外の扱いを・・・。そんな中、ディアーヌが周りの目を気にすることなく、アレクサンドルと付き合っていけるのだろうか?と考えはじめたのは仕方ない。
本作は98分と短いが、中盤はロマ・コメの定番どおりディアーヌのそんな悩みを浮き彫りにしたうえ、遂に2人は別れてしまうことに・・・。もっとも、これはクライマックスでのハッピーエンドを迎えるための設定であることもロマ・コメの定番。したがって、その展開は安心しながら観ていればいいのだが、本作ラストでは、導入部で登場したセスナからの空中ダイビングという「離れ業」による恋の復活が見られるので、それに注目!
アレクサンドル演じるジャン・デュジャルダンの奇妙な小人ぶりは、なかなか脳裏から消えないが、それと同じようにディアーヌを演じたウィルジニー・エフィラの美しさにゾッコン・・・。
2017(平成29)年5月1日記