追憶(日本映画・2017年) |
<TOHOシネマズ西宮OS>
2017年5月13日鑑賞
2017年5月16日記
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監督:降旗康男
撮影:木村大作
四方篤(富山県警捜査一課の刑事)/岡田准一
田所啓太(殺人事件の被害者、四方の旧友)/小栗旬
川端悟(殺人事件の被害者、四方の旧友)/柄本佑
四方美那子(四方の妻)/長澤まさみ
田所真理(田所の妻)/木村文乃
仁科涼子(軽食喫茶「ゆきわりそう」の店主)/安藤サクラ
山形光男(軽食喫茶「ゆきわりそう」の常連客)/吉岡秀隆
2017年・日本映画・99分
配給/東宝
<ショートコメント>
◆監督・降旗康男vs撮影・木村大作の「黄金コンビ」による、9年ぶり16本目の作品と聞けば、それだけで映画ファンの期待が高まる。とりわけ、この2人のコンビで有名なのは、高倉健が主演した『駅 STATION』(81年)、『居酒屋兆治』(83年)、『夜叉』(85年)、『あ・うん』(89年)、『鉄道員(ぽっぽや)』(99年)、『ホタル』(01年)(『シネマルーム2』34頁参照)、『単騎、千里を走る。』(05年)(『シネマルーム9』312頁参照)だが、本作ではその高倉健の役割を、『永遠の0』(13年)(『シネマルーム31』132頁参照)、『海賊とよばれた男』(16年)(『シネマルーム39』68頁参照)で主演した岡田准一が演じている。さらに、近時の邦画は原作ものが席巻しているが、本作はそうではなく、完全なオリジナル脚本に基づくストーリーで、舞台は富山県の漁港だ。
◆本作について、私は珍しくそれ以上何の情報も持たないままで鑑賞したが、映画冒頭にいきなり登場してくるのは、安藤サクラのベッドシーンと、3人の子供たちによる安藤サクラに絡んでいたヤクザ男の殺人事件。安藤サクラ扮する、軽食喫茶「ゆきわりそう」の店主仁科涼子が返り血を浴びた必死の形相で、3人の子供たちに対して「この事件は忘れなさい。今日から3人は赤の他人よ」と宣言したが.・・・。
本作は99分と比較的短いが、この迫力ある導入部はその後の展開に大いに期待を持たせるもの。さあ、オリジナル脚本によるその後の本格的な展開は・・・?
◆それから25年。今スクリーン上に登場するのは、東京で妻の美那子(長澤まさみ)と共に生活している刑事の四方篤(岡田准一)。そして、四方の前で無残な死体となって横たわっているのは、25年前に2度と会わないと誓って別れた旧友の川端悟(柄本佑)だ。
川端は店の経営がうまくいかず、密かに富山まで行き、地元の富山で建設業を営んでいる田所啓太(小栗旬)からお金を借りていたらしい。今回も川端はそんな「ヤボ用」のために、東京から富山の田所のところに向かったようだ。田所からお金を借りた直後に川端が殺されてしまったから、四方が田所を疑ったのは当然。しかも、四方は川端が殺される前日、偶然ある場所で川端と再会していたから、四方の田所に対する疑惑は深まるばかりだった。
◆本作はそんなミステリアスな要素を孕みながら、四方と富山の地元警察による川端殺しの犯人捜しが進んでいくそこでのポイントは、そのストーリーに、25年前の3人の子供たちによる「あの殺人事件」が絡んでくることだ。降旗康男監督のオリジナル脚本によるそんなミステリアスな展開を、岡田准一、小栗旬、柄本佑の3人が見事な演技で進行させていくので、それに注目!
◆25年前のあの時、3人の子供たちに、「この事件は忘れなさい。今日から3人は赤の他人よ」と諭した仁科涼子は今は老人ホームに入れられ、軽食喫茶「ゆきわりそう」の常連客で、いつも涼子の側にいた山形光男(吉岡秀隆)がその面倒をみていた。しかし、川端の殺人事件と、あの時のヤクザの殺人事件とは、何か関連性があるの?またあの後、四方は田所、川端との連絡を一切絶っていたが、田所と川端はお金の貸し借りの関係があったようだから、四方の知らないところで2人の間に何らかの恨みつらみがあったの・・・?
そんな疑惑が広がる中、川端との秘密の接点を持った四方は、本来許されない単独の捜査に走ったから警察の中でそのことが大問題になったのは当然。このままでは、四方の立場がなくなってしまうのでは・・・?そんな状況下、本作では意外にあっさり川端殺しの真犯人が明かされてくるので、アレレ・・・。
◆本作における、25年前と現在の殺人事件を絡ませたストーリー構成の妙と撮影の技術は一級品。また、主役級を集めた俳優たちの演技もそれなりのものだ。しかし、本作後半では、四方篤、田所啓太、川端悟の3人の世代と、仁科涼子、山形光男の世代とを中途半端に融合(?)させているのが少し不自然なうえ、川端殺しの犯人が突然明かされてしまう展開が、単純すぎるのが少し難点。もう少し脚本を練る必要があったのでは・・・。
2017(平成29)年5月16日記