パトリオット・デイ(アメリカ映画・2016年) |
<TOHOシネマズ西宮OS>
2017年6月10日鑑賞
2017年6月16日記
本文はネタバレを含みます!!
それでも読む方は下の「More」をクリック!!
↓↓↓
ここからはネタバレを含みます!!
読まれる方はご注意ください!!
↓↓↓
監督:ピーター・バーグ
出演:トミー・サンダース(ボストン警察巡査部長)/マーク・ウォールバーグ
リック・デローリエ(FBI特別捜査官)/ケヴィン・ベーコン
エド・デイヴィス(ボストン警察警視総監)/ジョン・グッドマン
ジェフ・ピュジリース(ウォータータウン警察巡査部長)/J・K・シモンズ
キャロル・サンダース(トミーの妻)/ミシェル・モナハン
ゾハール・ツァルナエフ(爆弾テロ事件の犯人・弟)/アレックス・ウルフ
タメルラン・ツァルナエフ(爆弾テロ事件の犯人・兄)/セモ・メリキッゼ
ショーン・コリアー/ジェイク・ピッキング
ダン・マン/ジミー・O・ヤン
ジェシカ・ケンスキー/レイチェル・ブロズナハン
パトリック・ダウンズ/クリストファー・オシェイ
キャサリン・ラッセル(タメルランの妻)/メリッサ・ブノワ
ビリー・エヴァンス/ジェームズ・コルビー
デヴァル・パトリック/マイケル・ビーチ
トーマス・メニーノ/ビンセント・カラトーラ
2016年・アメリカ映画・133分
配給/キノフィルムズ/木下グループ
<ショートコメント>
◆私は、ピーター・バーグ監督の『バーニングオーシャン』(16年)は見逃したが、その前作の『ローン・サバイバー』(13年)は観ている(『シネマルーム32』286頁参照)。これは2005年6月にパキスタン国境に近いアフガニスタンのクナール州の人里離れた山岳地帯で「レッド・ウイング作戦」中に現実に起きた悲劇を映画化したものたが、こんな「実話に基づく物語」があったことにビックリ!それは『バーニングオーシャン』も同じで、これも私を含むほとんどの人が知らなかった大事件だった。
◆それに対して、2013年4月15日に開催された歴史あるボストンマラソン大会で、9.11同時多発テロ以降の厳しい厳戒態勢が敷かれた中で起きた凶悪な爆発テロ事件は、世界中の誰もが知っている事件。もちろん、その犯人がいつどのように逮捕されたのかまでは知らなかったが、同事件では4日間という驚異的な早さで犯人が特定され、逮捕されたらしい。本作と同じ日に観た『22年目の告白 私が殺人犯です』(17年)では、1995年に起きた5件の連続殺人事件の犯人を殺人罪の公訴時効が成立しても逮捕できなかったが、ボストンマラソン大会での爆発テロ事件の犯人はなぜそんなに早く逮捕できたの?もちろんそれは喜ばしいことだが、そんなにうまく解決した事件が面白い映画になるの?面白い映画には、それなりの複雑性や意外性が必要なのでは?
◆本作のチラシには、「ボストンマラソン爆弾テロ事件。犯人までの102時間を描く、奇跡の<実話>」、「今明かされる、爆弾犯追跡の舞台裏と、奇跡を生んだ普通の人々の勇気」と書かれている。また、ネットでの本作の「感想」を読むと、好評なものが多い。たしかに本作では、導入部の「紹介」を終えた後、スクリーン上に見る爆発の悲劇はかなりリアルで、見応え十分。また、本作の主人公であるボストン警察巡査部長のトミー・サンダース(マーク・ウォールバーグ)やFBI特別捜査員のリック。デローリエ(ケヴィン・ベーコン)をはじめとする捜査陣の奮闘ぶりも、心打つものがある。
◆しかし、それに対して、犯人側のタメルラン・ツァルナエフ(セモ・メリキッゼ)とその弟ゾハール(アレックス・ウルフ)、そして兄の妻キャサリン・ラッセル(メリッサ・ブノワ)の「動静」の描き方は意外に単純。しかも、犯行の動機や犯行前後の動きの描き方はかなり薄っぺら。そして、何よりもつまらないのは、膨大な数の監視カメラ映像を分析した結果、意外に早く「白い帽子の男」と「黒い帽子の男」が容疑者として特定されること。不審者の特定って、カメラの映像だけでこんなに簡単にできるの?すると、その後は・・・?
◆容疑者の顔と名前さえ特定すれば、情報社会の今では、それを公開すれば犯人像の特定と犯人の逮捕はもはや射程距離内で時間の問題。そう考えていると案の定、スクリーン上では、タメルランとゾハールの2人は、キャサリンを家に置いたまま次の犯行に向けてニューヨークに移動しようとしたから、ハッキリ言ってこの2人はバカ。そんな風に2人を見ていると、たしかにこの2人はテロ用の特定の訓練を受けたイスラムの戦士ではなさそうだ。したがって、本作後半の2人の移動劇と逮捕劇を見ていると、「何だこれは・・・」と思うことの連続。これでは、ちょっと・・・。
2017(平成29)年6月16日記