オリーブの樹は呼んでいる(スペイン映画・2016年) |
<テアトル梅田>
2017年6月20日鑑賞
2017年6月23日記
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監督:イシアル・ボジャイン
脚本:ポール・ラヴァーティ
アルマ(孫娘)/アンナ・カスティーリョ
アーテイチョーク(アルマの叔父・ルイスの弟)/ハビエル・グティエレス
ラファ(アルマの同僚)/ペップ・アンブロス
ラモン(アルマの祖父)/マヌエル・クカラ
ルイス(アルマの父)/ミゲル・アンヘル・アラドレン
2016年・スペイン映画・99分
配給/アット エンタテインメント
<ショートコメント>
◆オリーブは日本では小豆島が名産地で、私も小学生の時を含め、何度か見学したことがある。しかし世界的には、オリーブは人類が最初に栽培した植物と言われており、オリーブは「ノアの方舟」の話でも重要なシーンで登場する。また、オリーブの枝は国際連合の旗に描かれており、平和の象徴ともされている。さらに、オリーブは地中海沿岸原産で、スペインやイタリアなどの地中海地域で広く栽培されているそうだ。なるほど、なるほど・・・。
◆ある日、脚本家のポール・ラヴァーティは、「樹齢2000年もの立派なオリーブの樹が売られている」、しかも、それが「環境を大切にしているという企業のアピールのために買われていったらしい」という新聞記事を目にして、それを妻で映画監督のイシアル・ボジャインに語ったところから、本作の企画が始まったらしい。
◆祖父ラモン(マヌエル・クカラ)が小さい頃から大切に育て、数年前に父のルイス(ミゲル・アンヘル・アラドレン)がある企業に売ってしまった、樹齢2000年のオリーブの樹は今、ドイツのデュッセルドルフにあるエネルギー会社のロビーに飾られていた。オリーブの樹が売られた後、ラモンは完全に心を閉ざし、家族とも口をきかなくなり、徘徊するようになったから、さあ大変。
そんなラモンの心の痛手を理解し、ラモンを見守ったのは20歳になった孫娘のアルマ(アンナ・カスティーリョ)だが、ラモンの心の痛手を癒すにはどうすればいいの?そうだ。そのためにはあのオリーブの樹をエネルギー会社から買い戻すのが一番。そんなことはわかりきっているが、今更そんな・・・。
◆誰でもそう思うところだが、本作で2017年ゴヤ賞新人女優賞等を受賞した、映画初出演となるアンナ・カスティーリョ演じるアルマの行動力はすごい、というより、ある意味猪突猛進でハチャメチャ。そんな世間知らずの娘アルマへの応援をやむを得ずさせられたのは、同僚のラファ(ペップ・アンブロス)とアルマの叔父・アーテイチョーク(ハビエル・グティエレス)の2人だ。
その結果、本作中盤からクライマックスにかけては、バレンシアから遥か1659kmも離れたドイツのブリュッセルへのロードムービーとなるうえ、到着したエネルギー会社の前で、3人はあっと驚く行動を・・・。
◆中国映画『CEO(最高経営責任者)(首席執行官)』(02年)では、大学を卒業してハイアール社に入社したばかりの女性・楊陽(ヤン・ヤン)が、フランスでの販売責任者として超大胆な行動で大奮闘するエピソードが興味深かった(『シネマルーム17』335頁参照)。しかし、本作にみるアルマの行動力は、それ以上!
「ハンスト」(ハンガー・ストライキ)は弱者の抵抗手段、意思表明手段として昔からあるやり方だが、ハンストまでやらなくても、1人の女の子が抗議のために会社の前に座り込まれるだけで、その会社は大迷惑。しかも、そこにある日、地元の住民たちが大応援団として駆けつけてくることになると・・・。
◆本作がどこまで実話に基づく物語なのかは知らないが、そんな展開を見ていると、本作のラストはある程度想定できる。まさか、あの大会社のロゴにまで使われている樹齢2000年のオリーブの樹をそのまま持ち帰って植え替えるわけではないだろうが、その樹の分身を作ることくらいは容易なはず・・・?
本作にどんな結末が用意されているかはあなた自身の目で確かめてもらいたいが、たまにはこんなワン・イシュー映画もいいものだ。もっとも、本作を参考にして、本作を見習うような行動はしないほうがいいと私は思うのだが・・・。
2017(平成29)年6月23日記