ハートストーン(アイスランド・デンマーク映画・2016年) |
<ビジュアルアーツ試写室>
2017年6月23日鑑賞
2017年6月28日記
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監督:クズムンドゥル・アルナル・クズムンドソン
ソール/バルドル・エイナルソン
クリスティアン/ブラーイル・ヒンリクソン
ベータ/ディルヤゥ・ワルスドッティル
ハンナ/カトラ・ニャルスドッティル
ラケル(ソールの姉)/ヨゥニナ・ソールディス・カルスドッティル
ハフディス(ソールの姉)/ラゥン・ラグナスドッティル
フルダ(ソールの母)/ニーナ・ドッグ・フィリップスドッティル
シグルドゥル(クリスティアンの父)/スヴェイン・オラフル・グンナルソン
ソルディス(クリスティアンの母)/ナンナ・クリスティン・マグヌスドッティル
スヴェン(牧場主)/ソーレン・マーリング
アウスゲイル(店主)/グンナル・ヨンソン
フュークル/ダニエル・ハンス・エルレンドソン
マンギ/セオドル・パゥルソン
グズヨン/スヴェイン・シグルビョルソン
2016年・アイスランド・デンマーク映画・129分
配給/マジックアワー
<ショートコメント>
◆近年『ひつじ村の兄弟』(15年)、『好きにならずにいられない』(15年)、『馬々と人間たち』(13年)などのアイスランド映画が国際映画祭で高い評価を得ている。そんなアイスランド映画の1つである本作を監督したクズムンドゥル・アルナル・クズムンドソンは、初長編映画となる本作が各国の映画祭で称賛され受賞を重ね続けている俊英らしい。そして本作は、アイスランドの美しく雄大で閑雅な自然が広がる農村を舞台に、少年たちの儚く繊細な感情を残酷なまでに切り取った、同監督の自伝的ラブストーリーらしい。
人口33万人の小さな島国が新たな才能をまた輩出した!とされているが、さて・・・。
◆本作のプレスシートには、①よしみちまさみち(映画ライター)の「日本に暮らす四十路の“いちゲイ”の告白」があり、②金原由佳(映画ジャーナリスト)の「思春期の子供たちが覗き込む、生と性の根源と神話の世界」もある。さらに、③「LGBTQ映画の歴史」と題された見開き2ページの解説もある。
それらはすべてLGBTQ(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスセクションの頭文字をとったセクシャルマイノリティの略語)について解説したものだが、「その方面」に興味のない私はいい加減うんざり。『ムーンライト』が第89回アカデミー賞作品賞を受賞したことによってLGBTQはより一層脚光を浴びているから、クズムンドゥル・アルナル・クズムンドソン監督の自分自身の体験に基づく本作も、その流れに乗って・・・。
◆本作のタイトルになっている『ハートストーン』は、アイスランド語の題名『Hjartasteinn』の直訳で、クズムンドゥル・アルナル・クズムンドソン監督が「ハート」と「ストーン」という2つの単語を1語に合わせて作った造語らしい。それぞれの単語は、温かい感情と厳しい環境を意味しており、監督はこの新しい言葉が詩的でこの映画にとても良くフィットする感じ、タイトルを『ハートストーン』に決めたそうだ。
たしかに丁寧に作られた本作はそんなテイストが満載だが、それが好きか嫌いかは、また別。さあ、そんな本作の出来は?あなたの好き嫌いは?
◆本作のチラシには、次のとおり書かれている。すなわち、
主演の一人ソール役には青春映画の金字塔『スタンド・バイ・ミー』のリヴァー・フェニックスを彷彿とさせ、本作が俳優デビューとなるバルドル・エイナルソン。もう一人の主演クリスティアン役には、金髪長身で憂いある表情が女子の胸をときめかせるブラーイル・ヒンリクソン。美少年ふたりの等身大の自然な演技は、国内外で数々の男優賞に輝いている。10代の頃の友人との実際の想い出をベースに、思春期をむかえた少年少女たちの、危うく儚く繊細な感情を残酷なまでに切り取った、監督の自伝的“ラブ・ストーリー”。
スクリーンを見ていると、たしかに2人の少年の繊細な心の動きが伝わってくる。そしてそれは、私にも約50年前にはあったはずの、紅顔の美少年時代の繊細な心の動きを思い出させてくれる。しかし、68歳となった今、その一部を思い出してみても・・・?
◆誰が観ても筋書きと狙いがすぐにわかる近時の単純な邦画に比べると、本作の奥行きの深さは確かに興味深い。しかし、私はLGBTQのテーマはもううんざり。しかし、その方面に少しでも興味がある人は、本作は必見かも・・・?
2017(平成29)年6月28日記