2006年 07月 27日
サムサッカー(アメリカ映画・2005年) |
洋06-126 ★★★
<ソニー・ピクチャーズ試写室>
2006年7月6日鑑賞
2006年7月7日記
これは、先日観た『アフロサッカー』(04年)と同じようなサッカー映画ではない。サムサッカーとは「親指を吸う癖」を持った人のこと。オレゴン州の、ごく普通の中流家庭で暮らす17歳のジャスティンがそれ。たかが指を吸う癖、されどその癖は・・・?両親や弟との葛藤、教師や恋人との葛藤を経て男は成長するもの・・・?そんな青春時代の生き方を、2005年ベルリン国際映画祭銀熊賞「最優秀男優賞」を受賞した新星が演じている。「大切なのは、答えのない人生を生き抜く力だ。」ということを学ぶことが出来れば、あなたも合格・・・?
本文はネタバレを含みます!!
それでも読む方は下の「More」をクリック!!
↓↓↓
ここからはネタバレを含みます!!ご注意ください!!
↓↓↓
監督・脚本:マイク・ミルズ
原作:ウォルター・キルン『サムサッカー』
ジャスティン・コッブ(17歳の少年)/ルー・プッチ
オードリー・コッブ(ジャスティンの母)/ティルダ・スウィントン
マイク・コッブ(ジャスティンの父)/ヴィンセント・ドノフリオ
ジョエル・コッブ(ジャスティンの弟)/チェイス・オファーレ
ペリー・ライマン医師(歯科医)/キアヌ・リーヴス
ギアリー先生(ディベート部の先生)/ヴィンス・ヴォーン
レベッカ(ジャスティンの女友達)/ケリ・ガーナー
マット・シュラム(人気俳優)/ベンジャミン・ブラット
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給・2005年・アメリカ映画・96分
<サッカー映画と誤解しないように・・・>
先日『アフロサッカー』(04年)という面白いタイ製のサッカー映画を観た私は、この『サムサッカー』というタイトルを見て、てっきりこれもサッカーのW杯を狙ってつくられたサッカー映画だと思ってしまった。しかしそれは全くの見当違い・・・。「サムサッカー」とは、「サムサッキング」(親指を吸うクセ)を持った人のこと・・・。
<主人公とその家族は・・・?>
この映画の主人公である17歳の少年ジャスティン・コッブ(ルー・プッチ)が、そのサムサッカー。たかが親指を吸うクセ、されど親指を吸うクセ・・・。
オレゴン州の郊外にある閑静な住宅地に住むマイク・コッブ(ヴィンセント・ドノフリオ)とオードリー・コッブ(ティルダ・スウィントン)夫婦は、17歳になってもそんなクセが抜けない長男ジャスティンを心配していた。もっとも、その心配の仕方は両極端で、マイクは厳しくそのクセを矯正しようとしていたが、オードリーは半分諦め気味・・・?さらに、そんな頼りない兄貴を持てば弟はしっかりするもの(?)で、ちょっとおマセな弟のジョエル・コッブ(チェイス・オファーレ)もいっぱしにジャスティンにアドバイスを・・・?
<ペリー先生もいろいろとアドバイスを・・・>
ジャスティンの変なクセを心配するのは、ちょっと変わった歯科医のペリー・ライマン先生(キアヌ・リーヴス)も同じ。もっともこのペリー先生は、歯科医なのか精神分析医なのかあるいはカウンセラーなのかちょっと微妙で、ジャスティンの親指を吸うクセは無意識の中に抑圧を受けているためだと分析し、何と催眠術を・・・。その催眠術によって「これからは守護獣が君を守ってくれるよ。今から君の親指は苦くなる」と思わされてしまったジャスティンは、以降親指しゃぶりをやめたものの、不安感が増大し、かえってヘンな行動に・・・。これって、ひょっとして医師法違反では・・・?
<病気にはやはり薬・・・?>
ジャスティンは学校ではディベート部に入っており、その先生がギアリー先生(ヴィンス・ヴォーン)。そして同じ部にいるガールフレンドがレベッカ(ケリ・ガーナー)。何かと不自然な行動をとるジャスティンを心配したギアリー先生が、ジャスティンをお医者さんに診察してもらうと、そこで下された判定はADHD(注意欠陥多動性障害)というもの。そして、親指しゃぶりは単なるクセではなく立派な病気だから、薬(抗鬱剤)が必要ということに。
ここで大切なことは、薬を飲めば「病気」は徐々に快方に向かい、治ると言われたこと。両親は「抗鬱剤なんて・・・」と薬に頼ることに渋い顔だが、それを飲めば病気が治ると言われたジャスティンは喜んでその薬を・・・。しかし、ホントに大丈夫・・・?その薬の成分は・・・?セカンドオピニオンをきちんと聞いた方がいいのでは・・・?
<ホントにこんなに変われるの・・・?>
日本では青少年の凶悪犯罪が急激に増大し、大きな社会問題となっているが、その背景の1つに教育問題があることはまちがいない。これは逆に言えば、学校の先生の教育のやり方1つで、突然悪ガキが優等生に変わることもありうるということ・・・。
少年には「可塑性」があるから、成人に対するのと同じ刑罰を科するのは妥当ではなく、教育刑的な視点が必要だという刑法理論自体は正しいもの。薬を飲むことによって急に自信を取り戻し、日常生活はもちろん、ディベート部の活動においてもメキメキとその実力を発揮しはじめたジャスティンの姿を見れば、その主張の正当性が明らかになるはず・・・。しかしそんな急激な変化に、両親や先生たちはうれしいと同時にビックリ!
<服用中止の判断は慎重に・・・>
このまま順調に進めば良かったのだが、ある日、ディベート大会のライバルから薬を飲んでいるところを見つけられたジャスティンは、「この薬はほとんどスピードの成分と同じ・・・」と言われたため、大ショック。そこで彼は大決断をして薬をゴミ箱に捨ててしまったのだが、そんな極端なことをしていいの・・・?こりゃまるで、血圧が高いため降圧剤を飲んでいる私が、ある日降圧剤には副作用があるからと言われて、突然素人判断で降圧剤を飲むのをやめてしまうようなもの・・・?薬の服用中止の判断はくれぐれも慎重に・・・。
<抗鬱剤の次はマリファナへ・・・>
日本では麻薬や覚醒剤とともにマリファナも厳禁だが、アメリカではマリファナは合法で、これを吸っている若者も多いらしい・・・?ディベート部でバリバリ活躍している時は、ガールフレンドのレベッカがマリファナにはまり雰囲気が変わっていることを知りながらも、日々の充実感の中であまり気にしなかったジャスティンだったが、薬をやめてまた気分が落ち込んでくると、レベッカのマリファナが気になり始めた。もっともこれは、家の中でも父親との衝突をくり返すという不安定さと、母親が新たに見つけた職場でテレビの人気スターと浮気をしているのでは、という不安感も大きな原因・・・?両親に隠れてレベッカとのマリファナ遊び(?)にのめり込んでいくジャスティンだったが、そこでもある日、ジャスティンはレベッカからもきつい宣告(?)を・・・。
<弟のひと言は・・・?ペリー先生のひと言は・・・?>
17歳という微妙な年頃のジャスティンの気持は、あっちに揺れ、こっちに揺れの毎日。薬の服用によって自信を取り戻していた頃のジャスティンは、弟のジョエルに対して「女性とのキスはこんな風にするんだ」と生意気なことを言っていたのに、レベッカから2人だけの「親密な関係」(?)について、「これは十代の実験。あなたならちょうどいいだろうと思った。本気で愛しているわけではないから、本気にならないで」と言われたジャスティンのショックは相当なもの・・・。こりゃしばらく立ち直れないかナと私は見ていたのだが、そこでアドバイスした弟のひと言は、「家族のみんなが兄貴の心配で忙しいから、僕はしっかりしてなきゃならないんだ」というもの。さらに自分自身もいろいろと生き方を変えてきたというペリー先生のひと言は、「大切なのは、答えのない人生を生き抜く力だ」というもの。
これらのアドバイスをどのように受け止めるかは、ジャスティン次第。そんなちょっとしたひと言がホントに腹の中に収まれば、ジャスティンは立ち直ることも可能・・・。考えてみれば、もちろんジャスティンは不安定な悩み多い人間だが、レベッカだってペリー先生だってそれは同じ。さらに、父親や母親だって・・・。つまり、人間なんて所詮不完全で中途半端な存在だと考えることができれば、人生観も根本から変わるかも・・・?
<ニューヨーク大学からの合格通知は・・・?>
そんな時、ジャスティンの元に届いたのは、ニューヨーク大学からの合格通知。どうもこれは、ジャスティンが薬によって元気になっていた時、持ち前のディベート能力を活かして、成績は不十分だがこれからさまざまなことを学ぶことによって、テレビキャスターへの道を目指したいとアピールしたことが認められたためらしい・・・。
オレゴン州からニューヨークへは遠い飛行機の旅。家族から祝福されて1人ニューヨークへ向かうジャスティンは、飛行機の中で親指をしゃぶりながらひと眠りしてしまったが、隣の女性客からそんな姿を見られても、今やジャスティンは大丈夫。ニューヨークへ到着したジャスティンの目は、しっかりと未来を見つめていた・・・。
<若者の教育論に絶好の教材!>
この映画はウォルター・キルンの原作に興味を持ったマイク・ミルズ監督や製作者らが、ジャスティンの生き方に真正面から切り込んでいくことによって生まれたもの。17歳にもなって親指を吸うクセを持った男の子というのはたしかに珍しい存在で、その扱い方によってはひどくグレてしまったり、非行に走る恐れだってあるもの。そんな思春期の揺れ動く精神状態にあるジャスティンを、映画初出演の無名の俳優ルー・プッチが実にみずみずしく演じている。ルー・プッチはこの演技によって、2005年ベルリン国際映画祭の銀熊賞と2005年サンダンス映画祭の特別審査員演技賞を見事に受賞。またジャスティンだけではなく、周りの大人たちだって不安定でいつも揺れ動いているんだということをうまくスクリーンで表現しているのがペリー先生や両親たちで、そのたしかな演技力も見事なもの。
荒れた若者たちが暴走する映画も問題提起としては悪くはないが、映画はやはりハッピーエンドの方がいい・・・?そういう意味で、この映画は若者の教育論に絶好の教材!
2006(平成18)年7月7日記
<ソニー・ピクチャーズ試写室>
2006年7月6日鑑賞
2006年7月7日記
これは、先日観た『アフロサッカー』(04年)と同じようなサッカー映画ではない。サムサッカーとは「親指を吸う癖」を持った人のこと。オレゴン州の、ごく普通の中流家庭で暮らす17歳のジャスティンがそれ。たかが指を吸う癖、されどその癖は・・・?両親や弟との葛藤、教師や恋人との葛藤を経て男は成長するもの・・・?そんな青春時代の生き方を、2005年ベルリン国際映画祭銀熊賞「最優秀男優賞」を受賞した新星が演じている。「大切なのは、答えのない人生を生き抜く力だ。」ということを学ぶことが出来れば、あなたも合格・・・?
本文はネタバレを含みます!!
それでも読む方は下の「More」をクリック!!
↓↓↓
ここからはネタバレを含みます!!ご注意ください!!
↓↓↓
監督・脚本:マイク・ミルズ
原作:ウォルター・キルン『サムサッカー』
ジャスティン・コッブ(17歳の少年)/ルー・プッチ
オードリー・コッブ(ジャスティンの母)/ティルダ・スウィントン
マイク・コッブ(ジャスティンの父)/ヴィンセント・ドノフリオ
ジョエル・コッブ(ジャスティンの弟)/チェイス・オファーレ
ペリー・ライマン医師(歯科医)/キアヌ・リーヴス
ギアリー先生(ディベート部の先生)/ヴィンス・ヴォーン
レベッカ(ジャスティンの女友達)/ケリ・ガーナー
マット・シュラム(人気俳優)/ベンジャミン・ブラット
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給・2005年・アメリカ映画・96分
<サッカー映画と誤解しないように・・・>
先日『アフロサッカー』(04年)という面白いタイ製のサッカー映画を観た私は、この『サムサッカー』というタイトルを見て、てっきりこれもサッカーのW杯を狙ってつくられたサッカー映画だと思ってしまった。しかしそれは全くの見当違い・・・。「サムサッカー」とは、「サムサッキング」(親指を吸うクセ)を持った人のこと・・・。
<主人公とその家族は・・・?>
この映画の主人公である17歳の少年ジャスティン・コッブ(ルー・プッチ)が、そのサムサッカー。たかが親指を吸うクセ、されど親指を吸うクセ・・・。
オレゴン州の郊外にある閑静な住宅地に住むマイク・コッブ(ヴィンセント・ドノフリオ)とオードリー・コッブ(ティルダ・スウィントン)夫婦は、17歳になってもそんなクセが抜けない長男ジャスティンを心配していた。もっとも、その心配の仕方は両極端で、マイクは厳しくそのクセを矯正しようとしていたが、オードリーは半分諦め気味・・・?さらに、そんな頼りない兄貴を持てば弟はしっかりするもの(?)で、ちょっとおマセな弟のジョエル・コッブ(チェイス・オファーレ)もいっぱしにジャスティンにアドバイスを・・・?
<ペリー先生もいろいろとアドバイスを・・・>
ジャスティンの変なクセを心配するのは、ちょっと変わった歯科医のペリー・ライマン先生(キアヌ・リーヴス)も同じ。もっともこのペリー先生は、歯科医なのか精神分析医なのかあるいはカウンセラーなのかちょっと微妙で、ジャスティンの親指を吸うクセは無意識の中に抑圧を受けているためだと分析し、何と催眠術を・・・。その催眠術によって「これからは守護獣が君を守ってくれるよ。今から君の親指は苦くなる」と思わされてしまったジャスティンは、以降親指しゃぶりをやめたものの、不安感が増大し、かえってヘンな行動に・・・。これって、ひょっとして医師法違反では・・・?
<病気にはやはり薬・・・?>
ジャスティンは学校ではディベート部に入っており、その先生がギアリー先生(ヴィンス・ヴォーン)。そして同じ部にいるガールフレンドがレベッカ(ケリ・ガーナー)。何かと不自然な行動をとるジャスティンを心配したギアリー先生が、ジャスティンをお医者さんに診察してもらうと、そこで下された判定はADHD(注意欠陥多動性障害)というもの。そして、親指しゃぶりは単なるクセではなく立派な病気だから、薬(抗鬱剤)が必要ということに。
ここで大切なことは、薬を飲めば「病気」は徐々に快方に向かい、治ると言われたこと。両親は「抗鬱剤なんて・・・」と薬に頼ることに渋い顔だが、それを飲めば病気が治ると言われたジャスティンは喜んでその薬を・・・。しかし、ホントに大丈夫・・・?その薬の成分は・・・?セカンドオピニオンをきちんと聞いた方がいいのでは・・・?
<ホントにこんなに変われるの・・・?>
日本では青少年の凶悪犯罪が急激に増大し、大きな社会問題となっているが、その背景の1つに教育問題があることはまちがいない。これは逆に言えば、学校の先生の教育のやり方1つで、突然悪ガキが優等生に変わることもありうるということ・・・。
少年には「可塑性」があるから、成人に対するのと同じ刑罰を科するのは妥当ではなく、教育刑的な視点が必要だという刑法理論自体は正しいもの。薬を飲むことによって急に自信を取り戻し、日常生活はもちろん、ディベート部の活動においてもメキメキとその実力を発揮しはじめたジャスティンの姿を見れば、その主張の正当性が明らかになるはず・・・。しかしそんな急激な変化に、両親や先生たちはうれしいと同時にビックリ!
<服用中止の判断は慎重に・・・>
このまま順調に進めば良かったのだが、ある日、ディベート大会のライバルから薬を飲んでいるところを見つけられたジャスティンは、「この薬はほとんどスピードの成分と同じ・・・」と言われたため、大ショック。そこで彼は大決断をして薬をゴミ箱に捨ててしまったのだが、そんな極端なことをしていいの・・・?こりゃまるで、血圧が高いため降圧剤を飲んでいる私が、ある日降圧剤には副作用があるからと言われて、突然素人判断で降圧剤を飲むのをやめてしまうようなもの・・・?薬の服用中止の判断はくれぐれも慎重に・・・。
<抗鬱剤の次はマリファナへ・・・>
日本では麻薬や覚醒剤とともにマリファナも厳禁だが、アメリカではマリファナは合法で、これを吸っている若者も多いらしい・・・?ディベート部でバリバリ活躍している時は、ガールフレンドのレベッカがマリファナにはまり雰囲気が変わっていることを知りながらも、日々の充実感の中であまり気にしなかったジャスティンだったが、薬をやめてまた気分が落ち込んでくると、レベッカのマリファナが気になり始めた。もっともこれは、家の中でも父親との衝突をくり返すという不安定さと、母親が新たに見つけた職場でテレビの人気スターと浮気をしているのでは、という不安感も大きな原因・・・?両親に隠れてレベッカとのマリファナ遊び(?)にのめり込んでいくジャスティンだったが、そこでもある日、ジャスティンはレベッカからもきつい宣告(?)を・・・。
<弟のひと言は・・・?ペリー先生のひと言は・・・?>
17歳という微妙な年頃のジャスティンの気持は、あっちに揺れ、こっちに揺れの毎日。薬の服用によって自信を取り戻していた頃のジャスティンは、弟のジョエルに対して「女性とのキスはこんな風にするんだ」と生意気なことを言っていたのに、レベッカから2人だけの「親密な関係」(?)について、「これは十代の実験。あなたならちょうどいいだろうと思った。本気で愛しているわけではないから、本気にならないで」と言われたジャスティンのショックは相当なもの・・・。こりゃしばらく立ち直れないかナと私は見ていたのだが、そこでアドバイスした弟のひと言は、「家族のみんなが兄貴の心配で忙しいから、僕はしっかりしてなきゃならないんだ」というもの。さらに自分自身もいろいろと生き方を変えてきたというペリー先生のひと言は、「大切なのは、答えのない人生を生き抜く力だ」というもの。
これらのアドバイスをどのように受け止めるかは、ジャスティン次第。そんなちょっとしたひと言がホントに腹の中に収まれば、ジャスティンは立ち直ることも可能・・・。考えてみれば、もちろんジャスティンは不安定な悩み多い人間だが、レベッカだってペリー先生だってそれは同じ。さらに、父親や母親だって・・・。つまり、人間なんて所詮不完全で中途半端な存在だと考えることができれば、人生観も根本から変わるかも・・・?
<ニューヨーク大学からの合格通知は・・・?>
そんな時、ジャスティンの元に届いたのは、ニューヨーク大学からの合格通知。どうもこれは、ジャスティンが薬によって元気になっていた時、持ち前のディベート能力を活かして、成績は不十分だがこれからさまざまなことを学ぶことによって、テレビキャスターへの道を目指したいとアピールしたことが認められたためらしい・・・。
オレゴン州からニューヨークへは遠い飛行機の旅。家族から祝福されて1人ニューヨークへ向かうジャスティンは、飛行機の中で親指をしゃぶりながらひと眠りしてしまったが、隣の女性客からそんな姿を見られても、今やジャスティンは大丈夫。ニューヨークへ到着したジャスティンの目は、しっかりと未来を見つめていた・・・。
<若者の教育論に絶好の教材!>
この映画はウォルター・キルンの原作に興味を持ったマイク・ミルズ監督や製作者らが、ジャスティンの生き方に真正面から切り込んでいくことによって生まれたもの。17歳にもなって親指を吸うクセを持った男の子というのはたしかに珍しい存在で、その扱い方によってはひどくグレてしまったり、非行に走る恐れだってあるもの。そんな思春期の揺れ動く精神状態にあるジャスティンを、映画初出演の無名の俳優ルー・プッチが実にみずみずしく演じている。ルー・プッチはこの演技によって、2005年ベルリン国際映画祭の銀熊賞と2005年サンダンス映画祭の特別審査員演技賞を見事に受賞。またジャスティンだけではなく、周りの大人たちだって不安定でいつも揺れ動いているんだということをうまくスクリーンで表現しているのがペリー先生や両親たちで、そのたしかな演技力も見事なもの。
荒れた若者たちが暴走する映画も問題提起としては悪くはないが、映画はやはりハッピーエンドの方がいい・・・?そういう意味で、この映画は若者の教育論に絶好の教材!
2006(平成18)年7月7日記









