2006年 11月 28日
ありがとう(日本映画・2006年) |
日06-231 ★★★★★
<東映試写室>
2006年11月13日鑑賞
2006年11月14日記
1995年1月17日の阪神・淡路大震災から11年10カ月、遂にそれと真正面から向かい合い、人々に感動を呼ぶ映画が登場した。主人公は復興まちづくりに奔走した地元商店街のカメラ店のオッチャンだが、その生きザマはまさに奇跡的。何と還暦直前の59歳11カ月でプロゴルファーテストに合格したのだ。そんな途方もない夢が実現したのはなぜ?それは、自分が生かされているという気持を持つこと。すなわち「ありがとう」の気持だ。赤井英和がピッタリのはまり役。それを支える田中好子もいい。こんな映画を観れば、いじめー自殺の連鎖もなくなるはずだが・・・。
本文はネタバレを含みます!!
それでも読む方は下の「More」をクリック!!
↓↓↓
ここからはネタバレを含みます!!ご注意ください!!
↓↓↓
監督:万田邦敏
原作:平山譲『ありがとう』(講談社文庫刊)
古市忠夫(カメラ店店主、プロゴルファー)/赤井英和
古市千賀子(忠夫の妻)/田中好子
中山清/光石研
有野健太/尾美としのり
中山保繁/今福將雄
飯田美子(キャディ)/薬師丸ひろ子
中岡史朗(プロテスト受験生)/柏原収史
東映配給・2006年・日本映画・125分
<あれから11年10カ月・・・>
この映画は1995年1月17日午前5時46分に発生した阪神・淡路大震災の惨状と、その中から生まれたある人間ドラマを真正面から描くもの。その舞台は神戸市長田区の鷹取商店街(映画上では若鷹商店街)。そして主人公は古市忠夫、実在の人物だ。
私は阪神・淡路大震災の震災復興まちづくりについては、①震災直後の2月1日に「弁護士有志緊急アピール」を発表し、②2月10日付朝日新聞の論壇に「被災地復興は多様なメニューで」を掲載してもらい、③8月には『震災復興まちづくりへの模索』(都市文化社)を出版し、④9月以降、芦屋中央地区まちづくり協議会の顧問弁護士として震災復興まちづくりの活動を開始し、2001年まで6年間頑張ったという貴重な体験がある。そしてその中で、鷹取東地区の土地区画整理事業についても十分勉強することに・・・。
<実在の古市忠夫とはどんな人・・・?>
古市忠夫は鷹取商店街でカメラ店を営んでいたが、ゴルフが大好きで月3回のゴルフで、過去10回もクラブチャンピオンになったのが自慢のタネ。また、地元の消防団としてボランティア活動に従事しており、地元に根付いて生きてきたおっさん。もっとも、映画を観ていると、商売の方は美人でやさしい(?)働き者の千賀子(田中好子)が実質的に支えていた感も・・・?
そんなおっさんは震災の後、焼け野原となった商店街を災害に強いまちに再生するため、復興まちづくりの活動に燃えた。そしてそんな活動を続ける中で、みんなから生かされているという確信を持った彼は、還暦を前にしてプロゴルファーへの道を志し、がむしゃらにその努力を続けた結果、59歳11カ月でプロテスト合格という快挙を成し遂げることに・・・。こりゃまさに奇蹟!その古市忠夫は現在もシニアツアーで活躍しているとのこと。
そんな個性的な古市忠夫を演ずるのは、元プロボクサーの赤井英和。私はホンモノの古市氏とは面識はないが、スクリーン上に登場する古市役の赤井英和はきわめて個性的な人物として描かれる古市役にピッタリ。俳優赤井英和の演技は決して上手とは思わないが、こんな役をやらせるとハマルところがミソ・・・。
<ウソのようなホントの話・・・?>
この映画は2時間5分と少し長いが、ほぼ同じ時間配分で大きく3部構成となっている。第1部は、あの震災被害を生々しくスクリーン上に再現するもの。第2部は、古市たちが復興まちづくりに立ち上がり奔走する姿と、プロゴルファーへのチャレンジを開始する姿を描くもの。そして第3部は、4日間のプロテストを闘い抜き、見事合格する古市の姿を描くもの。そして面白いのは、第1部と第2部をつなぐエピソードが、ウソみたいなホントの話であること・・・。
震災直後から翌日の朝まで、すなわち、延々と燃え広がった火災をやっと消火するまで不眠不休の活動を続けた古市達は、腹も減らず、ションベンも出ないという状態だったらしい・・・?そこから2日経ち、3日経ってガレキの処理が終わり、やっと人心地がついた頃、古市は借りていた駐車場にボロ車が無傷で残っているとの報告を受けた。駐車場へ駆けつけてみると、報告のとおり車は無事。「さあ早く乗って帰ろう」という千賀子の声を制止して、古市が後部トランクを開けてみると、そこには愛用のゴルフクラブを入れたゴルフバックがこれも無傷のままで・・・。こりゃまるでウソのようなホントの話・・・。
この奇蹟の出来事が、ずっと古市の頭の中にあったのだろう。仮設住宅での生活を終え、カメラ店を再開し、75歳までのローンを組んだマイホームでの生活が始まった古市は、ある日、事実上カメラ店の経営を切り盛りしている千賀子に対して、「おい俺はプロゴルファーになるぞ」と言い始めたわけだ。これには千賀子は驚くというより、あきれるばかり。そんな夢みたいなことをこの年になって、と思うのは当然のこと。しかしあの大震災の中、ゴルフバックだけが無傷で残ったというウソみたいなホントの話が、古市の一生を変えるきっかけとなったのだから人生は面白い・・・?
<感慨深い「まち協」のシーン・・・>
観客の多くは、震災後の復興まちづくりについて土地区画整理法と都市再開発法が果たした役割についてはご存知ないはず。また、この法律にもとづく土地区画整理事業と市街地再開発事業という「法定事業」とは別に、優良建築物等整備事業という建設省(当時)の要綱事業が大きな役割を果たしたことも知らないはず。
古市の住む若鷹商店街は、震災2カ月後の3・17都市計画決定によって、土地区画整理事業による復興まちづくりが決定されたのだが、これに対して多くの住民たちは「なぜ、そんなに急いで決定するのか」と異議を述べ、「減歩反対!」と叫び、マスコミもその姿を大々的に報道した。これに対して私は、芦屋中央地区において、復興まちづくりのためには土地区画整理事業が必要と訴えて活動を続けたわけだが、その立場は古市と同じ。
映画には、まちづくり協議会の創立総会のシーンが登場し、壇上に立った古市に対して、会場から「減歩反対!」「行政の回し者!」という怒号とヤジが飛び交うが、そんなシーンは私も現実に何度も当事者として体験したもの。この映画では、そんな声に対して古市が敢然とやり返すことによって、人々の心が1つになるという劇的な収め方になっているが、現実は必ずしもこんなにうまくいったわけではなく、試行錯誤のくり返し。それはともかく、この「まち協」のシーンは私にとっては感慨深いもの。そして、震災後被災地には約100件のまち協が結成され活動が続けられたが、それに参加した人々にとってもその気持は同じはず・・・。
<猿か織金かそれとも古市か・・・?>
ゴルフは自然との共存をテーマとしたスポーツだから、偶然やハプニングが再三起こるのは当然。ホールインワンは確率の問題だが、運がよかったのか悪かったのか、この私だって1度経験したことが・・・。また、テレビでプロの試合を観ていても、「奇蹟のショット」というものがあり、それがさまざまな人間ドラマを生むからゴルフの試合は面白い。そんな面白いプロゴルファーの世界をマンガにしたのが、『プロゴルファー猿』や『プロゴルファー織部金次郎』だが、そこに描かれる○○ショットや△△ショットなどは、実に痛快なもの。
還暦を前にした古市が、お金がないためコース通いもできないままで独自の練習を続け、エリートぞろいの若者たちに混じってプロテストを受けるというのは本来ムチャな話だが、現実に古市は見事に合格したわけだ。そんな現実を踏まえると映画は、結論がわかっている観客に対して、古市はどんな試合内容で合格したのかを興味深く示さなければならないが、それはこの映画では、最終日、最終ミドルホールのドライバーショットに集約されている。すなわち、古市の打った第一打は会心のショットだったが、何とフェアウェイ上の排水口に当たって大きく左へ跳ねたため、何とかOBは免れたものの山の中へ。現在古市のスコアは2オーバーだが、予想では合格ラインは2オーバーまで、ここで一打あやまれば、パーキープは厳しくなること明らか。そこで、山の中から9番アイアンで放った古市の第二打が、猿の○○ショットか織金の△△ショットと同じような奇蹟のショット・・・。
<そんなショットを打てたのは・・・?>
ゴルフはまたキャディとの相性が大切。それは横峯さくらとその父親良郎との面白い親子関係を見ていると実によくわかる。また、キャディにはキャディなりの悩みがあることが、「私はプロテストのキャディをするのはキライ」という薬師丸ひろ子扮するキャディ飯田美子の言葉を聞けばよくわかる。紙一重の差で合格・不合格の明暗が分かれるのはゴルフの世界に限ったことではないが、4日間ずっと直近でその闘う姿を見ながら、それに付き添うキャディの大変さもわかろうというもの。中には己の実力を棚にあげて、キャディに対して文句を言うテスト生だっているだろうから・・・。
しかし、スタート前にはゴルフ場に一礼し、キャディに対して必ず感謝の言葉を述べる古市は、美子にとって実にやりやすくかつ応援したくなるおっさんテスト生だったよう。だからこそ、最終日には「今日は夫婦になってくれ!」という古市の申し出を快く受け入れ、「夫婦一心同体で頑張りましょう」というセリフが生まれたわけだ。また、「古市さんのショットは正確です。若い人たちはブンブン振り回して飛ばすけど、古市さんだったら大丈夫です」との心強い言葉がどれほど古市を勇気づけたことか・・・。
最終ホールのドライバーショットでのトラブル後の山の中からの第二打は、そんな美子のアドバイスにしたがって、わずかに開かれた林の間を一点で抜いていかなければならないショット。「あなたならきっとできます」という美子のやさしい微笑みの後押しを受けてそのショットの決断をした古市の目の前に見えてきたものは・・・?そんな奇蹟のショットを打てたのは、まさにキャディのおかげ。美子さん、ホントにありがとう・・・。
<夫婦愛と内助の功も見モノ・・・>
世界的プロゴルファー青木功氏の活躍は、愛妻チエさんの支えがあってのもの。それは、クロレラなどのテレビコマーシャルを見ればよくわかるし、私が1度パーティーの席でいろいろとお話を伺ったところでも、実感したもの・・・。
この映画に登場する古市は、消防団活動に、復興まちづくり活動に、そしてゴルフにと積極的に参加しリーダーシップをとっている「頼られる存在」だが、どうも商売の切り盛りは千賀子がやっているよう。そして、家庭内では千賀子の支えが不可欠。もっとも、千賀子は働き者で、2人の娘たちにもやさしいよき母親だが、古市に対しては結構「憎まれ口」を叩いているから、その掛け合いがこの夫婦の姿の見どころの1つ。古市の強引なやり方に千賀子は何度も切れかけるが、そのたびに思いとどまり、夫の生き方を支えていくのは、まさに妻のカガミ・・・?そんな妻の姿をキャンディーズのスーちゃんだった田中好子が見事に演じている。
クライマックスシーンが終わり、夫から合格の電話を聞いた時の千賀子のセリフが実にいい。それは、「電話代高うつくから、もう切るで!」というもの。「何じゃ、それは・・・」と電話口に向かって言っている古市には、きっと電話を切った千賀子がひとり嬉し涙を流していることはわからないだろう。最終ホール、あの奇蹟の第二打は、古市が千賀子の「苦しくなったら顔あげて、奥歯折れるまでかみしめて、笑うんやで」とのセリフをかみしめながら放ったもの。こんな夫婦愛と内助の功に、「わがまま亭主」のあなたはきっと感動するはず・・・。
<いじめと自殺問題を考える・・・>
高校での未履修問題が大問題になった後、今は小・中学校でのいじめと自殺報道のラッシュ!保護者たちからの追及の前に、校長の自殺まで次々と飛び出す始末・・・。いじめがよくないことは、盗みや暴力が悪いのと同じで当たり前のこと。しかし、盗みや暴力を経験していない人でも、いじめたり、いじめられたりした経験は大なり小なり持っているのでは・・・?かくいう私も、小学生時代多くの女の子をいじめてきたという記憶があるし、逆にあのクソガキからいじめられたといういまいましい記憶もある。人間が集団で生きている以上、大人に限らず子供社会にだって派閥ができるし、ケンカが絶えないのは当たり前。したがって、子供社会の中にも前向きの競争論ばかりではなく、後ろ向きの争いやいじめがあるのはごく自然なこと。そこで大切なことは、陰湿で常軌を逸した違法ないじめをしてはダメだということを学ぶことと、小さないじめに耐える力を養うことだと私は信じている。
この映画の主人公古市は、あの大震災によってすべての財産を失い、奇跡的に残ったのはゴルフ道具一式だけ。それはまだいい方で、家族や友人の命を失い、自分自身の命を失った人たちもたくさんいる。そんな中でも古市は、「家族みんな生きてるじゃないか」とあくまで前向き。大切なのはこの姿勢なのだ。いじめ・自殺問題を、さもわかったように批評する識者やマスコミたち、そしてただひたすら頭を下げて謝罪するだけの学校関係者たち、こんな人たちこそこの映画を観て、全く違う次元からいじめ問題を考えてみる必要があるのではないだろうか・・・?そういう意味で、この映画は学校や教育委員会で是非上映会をしてほしいものだが・・・。
<テーマとピッタリ!絶妙のテーマ曲!>
この映画は結果として古市のプロゴルファーテスト合格という奇蹟が実現したことを伝えるものだが、本当に伝えたいのはその過程。震災直後の救助活動の中、ガレキの下に押しつぶされ、業火に包まれている多くの人々を見捨てざるをえなかった辛さをかみしめる中、古市が到達した心境は、「自分は生かされている」ということであり、逆に言えば、今自分が生きていることへの感謝。そんな気持の中、どんな逆境であっても前向きに努力すれば、誰にも奇蹟が訪れることがあるんだという古市独自の哲学が生まれることに・・・?
震災のショックを乗り越えながら懸命に前向きに生きていく、そんな古市の生きザマを描くこの映画のテーマ曲は、私の大好きな河島英五の曲。そのタイトルも、この映画にピッタリの『生きてりゃいいさ』。プロテスト合格の報告をした後、エンディングで流れてくるこの曲を聴きながら、河島英五の冥福を祈るとともに、古市のシニアツアーでのさらなる活躍を祈ったのは私だけではないはずだ。
2006(平成18)年11月14日記
<東映試写室>
2006年11月13日鑑賞
2006年11月14日記
1995年1月17日の阪神・淡路大震災から11年10カ月、遂にそれと真正面から向かい合い、人々に感動を呼ぶ映画が登場した。主人公は復興まちづくりに奔走した地元商店街のカメラ店のオッチャンだが、その生きザマはまさに奇跡的。何と還暦直前の59歳11カ月でプロゴルファーテストに合格したのだ。そんな途方もない夢が実現したのはなぜ?それは、自分が生かされているという気持を持つこと。すなわち「ありがとう」の気持だ。赤井英和がピッタリのはまり役。それを支える田中好子もいい。こんな映画を観れば、いじめー自殺の連鎖もなくなるはずだが・・・。
本文はネタバレを含みます!!
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ここからはネタバレを含みます!!ご注意ください!!
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監督:万田邦敏
原作:平山譲『ありがとう』(講談社文庫刊)
古市忠夫(カメラ店店主、プロゴルファー)/赤井英和
古市千賀子(忠夫の妻)/田中好子
中山清/光石研
有野健太/尾美としのり
中山保繁/今福將雄
飯田美子(キャディ)/薬師丸ひろ子
中岡史朗(プロテスト受験生)/柏原収史
東映配給・2006年・日本映画・125分
<あれから11年10カ月・・・>
この映画は1995年1月17日午前5時46分に発生した阪神・淡路大震災の惨状と、その中から生まれたある人間ドラマを真正面から描くもの。その舞台は神戸市長田区の鷹取商店街(映画上では若鷹商店街)。そして主人公は古市忠夫、実在の人物だ。
私は阪神・淡路大震災の震災復興まちづくりについては、①震災直後の2月1日に「弁護士有志緊急アピール」を発表し、②2月10日付朝日新聞の論壇に「被災地復興は多様なメニューで」を掲載してもらい、③8月には『震災復興まちづくりへの模索』(都市文化社)を出版し、④9月以降、芦屋中央地区まちづくり協議会の顧問弁護士として震災復興まちづくりの活動を開始し、2001年まで6年間頑張ったという貴重な体験がある。そしてその中で、鷹取東地区の土地区画整理事業についても十分勉強することに・・・。
<実在の古市忠夫とはどんな人・・・?>
古市忠夫は鷹取商店街でカメラ店を営んでいたが、ゴルフが大好きで月3回のゴルフで、過去10回もクラブチャンピオンになったのが自慢のタネ。また、地元の消防団としてボランティア活動に従事しており、地元に根付いて生きてきたおっさん。もっとも、映画を観ていると、商売の方は美人でやさしい(?)働き者の千賀子(田中好子)が実質的に支えていた感も・・・?
そんなおっさんは震災の後、焼け野原となった商店街を災害に強いまちに再生するため、復興まちづくりの活動に燃えた。そしてそんな活動を続ける中で、みんなから生かされているという確信を持った彼は、還暦を前にしてプロゴルファーへの道を志し、がむしゃらにその努力を続けた結果、59歳11カ月でプロテスト合格という快挙を成し遂げることに・・・。こりゃまさに奇蹟!その古市忠夫は現在もシニアツアーで活躍しているとのこと。
そんな個性的な古市忠夫を演ずるのは、元プロボクサーの赤井英和。私はホンモノの古市氏とは面識はないが、スクリーン上に登場する古市役の赤井英和はきわめて個性的な人物として描かれる古市役にピッタリ。俳優赤井英和の演技は決して上手とは思わないが、こんな役をやらせるとハマルところがミソ・・・。
<ウソのようなホントの話・・・?>
この映画は2時間5分と少し長いが、ほぼ同じ時間配分で大きく3部構成となっている。第1部は、あの震災被害を生々しくスクリーン上に再現するもの。第2部は、古市たちが復興まちづくりに立ち上がり奔走する姿と、プロゴルファーへのチャレンジを開始する姿を描くもの。そして第3部は、4日間のプロテストを闘い抜き、見事合格する古市の姿を描くもの。そして面白いのは、第1部と第2部をつなぐエピソードが、ウソみたいなホントの話であること・・・。
震災直後から翌日の朝まで、すなわち、延々と燃え広がった火災をやっと消火するまで不眠不休の活動を続けた古市達は、腹も減らず、ションベンも出ないという状態だったらしい・・・?そこから2日経ち、3日経ってガレキの処理が終わり、やっと人心地がついた頃、古市は借りていた駐車場にボロ車が無傷で残っているとの報告を受けた。駐車場へ駆けつけてみると、報告のとおり車は無事。「さあ早く乗って帰ろう」という千賀子の声を制止して、古市が後部トランクを開けてみると、そこには愛用のゴルフクラブを入れたゴルフバックがこれも無傷のままで・・・。こりゃまるでウソのようなホントの話・・・。
この奇蹟の出来事が、ずっと古市の頭の中にあったのだろう。仮設住宅での生活を終え、カメラ店を再開し、75歳までのローンを組んだマイホームでの生活が始まった古市は、ある日、事実上カメラ店の経営を切り盛りしている千賀子に対して、「おい俺はプロゴルファーになるぞ」と言い始めたわけだ。これには千賀子は驚くというより、あきれるばかり。そんな夢みたいなことをこの年になって、と思うのは当然のこと。しかしあの大震災の中、ゴルフバックだけが無傷で残ったというウソみたいなホントの話が、古市の一生を変えるきっかけとなったのだから人生は面白い・・・?
<感慨深い「まち協」のシーン・・・>
観客の多くは、震災後の復興まちづくりについて土地区画整理法と都市再開発法が果たした役割についてはご存知ないはず。また、この法律にもとづく土地区画整理事業と市街地再開発事業という「法定事業」とは別に、優良建築物等整備事業という建設省(当時)の要綱事業が大きな役割を果たしたことも知らないはず。
古市の住む若鷹商店街は、震災2カ月後の3・17都市計画決定によって、土地区画整理事業による復興まちづくりが決定されたのだが、これに対して多くの住民たちは「なぜ、そんなに急いで決定するのか」と異議を述べ、「減歩反対!」と叫び、マスコミもその姿を大々的に報道した。これに対して私は、芦屋中央地区において、復興まちづくりのためには土地区画整理事業が必要と訴えて活動を続けたわけだが、その立場は古市と同じ。
映画には、まちづくり協議会の創立総会のシーンが登場し、壇上に立った古市に対して、会場から「減歩反対!」「行政の回し者!」という怒号とヤジが飛び交うが、そんなシーンは私も現実に何度も当事者として体験したもの。この映画では、そんな声に対して古市が敢然とやり返すことによって、人々の心が1つになるという劇的な収め方になっているが、現実は必ずしもこんなにうまくいったわけではなく、試行錯誤のくり返し。それはともかく、この「まち協」のシーンは私にとっては感慨深いもの。そして、震災後被災地には約100件のまち協が結成され活動が続けられたが、それに参加した人々にとってもその気持は同じはず・・・。
<猿か織金かそれとも古市か・・・?>
ゴルフは自然との共存をテーマとしたスポーツだから、偶然やハプニングが再三起こるのは当然。ホールインワンは確率の問題だが、運がよかったのか悪かったのか、この私だって1度経験したことが・・・。また、テレビでプロの試合を観ていても、「奇蹟のショット」というものがあり、それがさまざまな人間ドラマを生むからゴルフの試合は面白い。そんな面白いプロゴルファーの世界をマンガにしたのが、『プロゴルファー猿』や『プロゴルファー織部金次郎』だが、そこに描かれる○○ショットや△△ショットなどは、実に痛快なもの。
還暦を前にした古市が、お金がないためコース通いもできないままで独自の練習を続け、エリートぞろいの若者たちに混じってプロテストを受けるというのは本来ムチャな話だが、現実に古市は見事に合格したわけだ。そんな現実を踏まえると映画は、結論がわかっている観客に対して、古市はどんな試合内容で合格したのかを興味深く示さなければならないが、それはこの映画では、最終日、最終ミドルホールのドライバーショットに集約されている。すなわち、古市の打った第一打は会心のショットだったが、何とフェアウェイ上の排水口に当たって大きく左へ跳ねたため、何とかOBは免れたものの山の中へ。現在古市のスコアは2オーバーだが、予想では合格ラインは2オーバーまで、ここで一打あやまれば、パーキープは厳しくなること明らか。そこで、山の中から9番アイアンで放った古市の第二打が、猿の○○ショットか織金の△△ショットと同じような奇蹟のショット・・・。
<そんなショットを打てたのは・・・?>
ゴルフはまたキャディとの相性が大切。それは横峯さくらとその父親良郎との面白い親子関係を見ていると実によくわかる。また、キャディにはキャディなりの悩みがあることが、「私はプロテストのキャディをするのはキライ」という薬師丸ひろ子扮するキャディ飯田美子の言葉を聞けばよくわかる。紙一重の差で合格・不合格の明暗が分かれるのはゴルフの世界に限ったことではないが、4日間ずっと直近でその闘う姿を見ながら、それに付き添うキャディの大変さもわかろうというもの。中には己の実力を棚にあげて、キャディに対して文句を言うテスト生だっているだろうから・・・。
しかし、スタート前にはゴルフ場に一礼し、キャディに対して必ず感謝の言葉を述べる古市は、美子にとって実にやりやすくかつ応援したくなるおっさんテスト生だったよう。だからこそ、最終日には「今日は夫婦になってくれ!」という古市の申し出を快く受け入れ、「夫婦一心同体で頑張りましょう」というセリフが生まれたわけだ。また、「古市さんのショットは正確です。若い人たちはブンブン振り回して飛ばすけど、古市さんだったら大丈夫です」との心強い言葉がどれほど古市を勇気づけたことか・・・。
最終ホールのドライバーショットでのトラブル後の山の中からの第二打は、そんな美子のアドバイスにしたがって、わずかに開かれた林の間を一点で抜いていかなければならないショット。「あなたならきっとできます」という美子のやさしい微笑みの後押しを受けてそのショットの決断をした古市の目の前に見えてきたものは・・・?そんな奇蹟のショットを打てたのは、まさにキャディのおかげ。美子さん、ホントにありがとう・・・。
<夫婦愛と内助の功も見モノ・・・>
世界的プロゴルファー青木功氏の活躍は、愛妻チエさんの支えがあってのもの。それは、クロレラなどのテレビコマーシャルを見ればよくわかるし、私が1度パーティーの席でいろいろとお話を伺ったところでも、実感したもの・・・。
この映画に登場する古市は、消防団活動に、復興まちづくり活動に、そしてゴルフにと積極的に参加しリーダーシップをとっている「頼られる存在」だが、どうも商売の切り盛りは千賀子がやっているよう。そして、家庭内では千賀子の支えが不可欠。もっとも、千賀子は働き者で、2人の娘たちにもやさしいよき母親だが、古市に対しては結構「憎まれ口」を叩いているから、その掛け合いがこの夫婦の姿の見どころの1つ。古市の強引なやり方に千賀子は何度も切れかけるが、そのたびに思いとどまり、夫の生き方を支えていくのは、まさに妻のカガミ・・・?そんな妻の姿をキャンディーズのスーちゃんだった田中好子が見事に演じている。
クライマックスシーンが終わり、夫から合格の電話を聞いた時の千賀子のセリフが実にいい。それは、「電話代高うつくから、もう切るで!」というもの。「何じゃ、それは・・・」と電話口に向かって言っている古市には、きっと電話を切った千賀子がひとり嬉し涙を流していることはわからないだろう。最終ホール、あの奇蹟の第二打は、古市が千賀子の「苦しくなったら顔あげて、奥歯折れるまでかみしめて、笑うんやで」とのセリフをかみしめながら放ったもの。こんな夫婦愛と内助の功に、「わがまま亭主」のあなたはきっと感動するはず・・・。
<いじめと自殺問題を考える・・・>
高校での未履修問題が大問題になった後、今は小・中学校でのいじめと自殺報道のラッシュ!保護者たちからの追及の前に、校長の自殺まで次々と飛び出す始末・・・。いじめがよくないことは、盗みや暴力が悪いのと同じで当たり前のこと。しかし、盗みや暴力を経験していない人でも、いじめたり、いじめられたりした経験は大なり小なり持っているのでは・・・?かくいう私も、小学生時代多くの女の子をいじめてきたという記憶があるし、逆にあのクソガキからいじめられたといういまいましい記憶もある。人間が集団で生きている以上、大人に限らず子供社会にだって派閥ができるし、ケンカが絶えないのは当たり前。したがって、子供社会の中にも前向きの競争論ばかりではなく、後ろ向きの争いやいじめがあるのはごく自然なこと。そこで大切なことは、陰湿で常軌を逸した違法ないじめをしてはダメだということを学ぶことと、小さないじめに耐える力を養うことだと私は信じている。
この映画の主人公古市は、あの大震災によってすべての財産を失い、奇跡的に残ったのはゴルフ道具一式だけ。それはまだいい方で、家族や友人の命を失い、自分自身の命を失った人たちもたくさんいる。そんな中でも古市は、「家族みんな生きてるじゃないか」とあくまで前向き。大切なのはこの姿勢なのだ。いじめ・自殺問題を、さもわかったように批評する識者やマスコミたち、そしてただひたすら頭を下げて謝罪するだけの学校関係者たち、こんな人たちこそこの映画を観て、全く違う次元からいじめ問題を考えてみる必要があるのではないだろうか・・・?そういう意味で、この映画は学校や教育委員会で是非上映会をしてほしいものだが・・・。
<テーマとピッタリ!絶妙のテーマ曲!>
この映画は結果として古市のプロゴルファーテスト合格という奇蹟が実現したことを伝えるものだが、本当に伝えたいのはその過程。震災直後の救助活動の中、ガレキの下に押しつぶされ、業火に包まれている多くの人々を見捨てざるをえなかった辛さをかみしめる中、古市が到達した心境は、「自分は生かされている」ということであり、逆に言えば、今自分が生きていることへの感謝。そんな気持の中、どんな逆境であっても前向きに努力すれば、誰にも奇蹟が訪れることがあるんだという古市独自の哲学が生まれることに・・・?
震災のショックを乗り越えながら懸命に前向きに生きていく、そんな古市の生きザマを描くこの映画のテーマ曲は、私の大好きな河島英五の曲。そのタイトルも、この映画にピッタリの『生きてりゃいいさ』。プロテスト合格の報告をした後、エンディングで流れてくるこの曲を聴きながら、河島英五の冥福を祈るとともに、古市のシニアツアーでのさらなる活躍を祈ったのは私だけではないはずだ。
2006(平成18)年11月14日記
タイトル : 脅威のゴルフ上達法
はじめまして♪この度「脅威のゴルフ上達法」を紹介するサイトを作りましたのでTBさせていただきました。「ゴルフ上達」に興味がある方には、非常に有益な情報です。ご訪問いただければ幸いです。万が一不要な場合は、お手数ですが削除してくださいませ。失礼いたしました。...more
はじめまして♪この度「脅威のゴルフ上達法」を紹介するサイトを作りましたのでTBさせていただきました。「ゴルフ上達」に興味がある方には、非常に有益な情報です。ご訪問いただければ幸いです。万が一不要な場合は、お手数ですが削除してくださいませ。失礼いたしました。...more
タイトル : 驚異のゴルフ上達法
椎間板ヘルニアでフルスイングが出来なくなってしまった中年アマチュアゴルファーのドライバー飛距離をたった28分のレッスンで平均37ヤードアップさせてしまった業界ではまだ誰も口にしていない「ある」上達法とは・・・ドライバー飛距離をたった28分のレッスンで平均43ヤードアップさせてしまったはじめまして。この都度ゴルフのサイトを作りましたので、トラックバックさせていただきました。貴ブログの訪問者である、飛距離をのばしたい方や、ゴルフに興味のある方には非常に有益な情報だと思っております。是非ご訪問いただけれ......more
椎間板ヘルニアでフルスイングが出来なくなってしまった中年アマチュアゴルファーのドライバー飛距離をたった28分のレッスンで平均37ヤードアップさせてしまった業界ではまだ誰も口にしていない「ある」上達法とは・・・ドライバー飛距離をたった28分のレッスンで平均43ヤードアップさせてしまったはじめまして。この都度ゴルフのサイトを作りましたので、トラックバックさせていただきました。貴ブログの訪問者である、飛距離をのばしたい方や、ゴルフに興味のある方には非常に有益な情報だと思っております。是非ご訪問いただけれ......more
タイトル : 妻を他人に、、、仮に、こんな性癖をお持ちの方には、、
仮に、仮にですよ!あまり興味のない方は、この先を読まないでくださいね。妻を、そう、あなたの奥さんを、他人に。。他人というのは、親友であったり、上司や部下、公認彼氏などに妻を、、といった、究極の夫婦生活の向上をお考えの方いらっしゃいますね?ホームトークという雑誌にあるように、長年連れ添った妻である奥様や彼女などのパートナーを他人に抱かせて、興奮して、夫婦生活が向上し、セックスレスが治るという現実があります。でも、なかなか妄想で終わってしまい、次の一歩を踏み出せずにおられる方も多......more
仮に、仮にですよ!あまり興味のない方は、この先を読まないでくださいね。妻を、そう、あなたの奥さんを、他人に。。他人というのは、親友であったり、上司や部下、公認彼氏などに妻を、、といった、究極の夫婦生活の向上をお考えの方いらっしゃいますね?ホームトークという雑誌にあるように、長年連れ添った妻である奥様や彼女などのパートナーを他人に抱かせて、興奮して、夫婦生活が向上し、セックスレスが治るという現実があります。でも、なかなか妄想で終わってしまい、次の一歩を踏み出せずにおられる方も多......more
こんにちは
たれぱんだと申します。
私も河島英五さんが好きです。
「てんびんばかり」「忘れもの」・・・
すべて好きです。
その想いをブログに書いています。
http://plaza.rakuten.co.jp/eigosan/
http://eigo-hp.hp.infoseek.co.jp/index.html
映画『ありがとう』も素晴らしいと思います。
また、私もいじめがなくなることを願っています。
たれぱんだと申します。
私も河島英五さんが好きです。
「てんびんばかり」「忘れもの」・・・
すべて好きです。
その想いをブログに書いています。
http://plaza.rakuten.co.jp/eigosan/
http://eigo-hp.hp.infoseek.co.jp/index.html
映画『ありがとう』も素晴らしいと思います。
また、私もいじめがなくなることを願っています。
たれぱんださま、はじめまして。
遅くなりましたがコメントありがとうございます。
私も河島英五が好きでカラオケでもよく歌います。
特に『酒と泪と男と女』は私の十八番で、
昨年11月にはとあるゴルフコンペのパーティーで
生バンドをバックに熱唱する機会に恵まれました。
そのステージのとりをつとめたのが、
某有名時代劇俳優のS氏だったため、
このカラオケは私の2006年の思い出の1つとなりました。
遅くなりましたがコメントありがとうございます。
私も河島英五が好きでカラオケでもよく歌います。
特に『酒と泪と男と女』は私の十八番で、
昨年11月にはとあるゴルフコンペのパーティーで
生バンドをバックに熱唱する機会に恵まれました。
そのステージのとりをつとめたのが、
某有名時代劇俳優のS氏だったため、
このカラオケは私の2006年の思い出の1つとなりました。







