檸檬(れもん)のころ(日本映画・2007年) |
<東映試写室>
2007年4月23日鑑賞
2007年4月24日記
1982年生れの女流作家豊島ミホと、これが初監督となる1972年生れの岩田ユキのコラボで描かれる、高3生男女5人の青春模様は純真そのものでレモン味・・・?今ドキの高3生の実態は、1963年に舟木一夫が歌って大ヒットした「高校三年生」の時代とは大きく異なるばずだが、榮倉奈々と谷村美月という2人の美少女にはこんな味つけがピッタリ・・・?ところで、あなたの高3の時の学園祭って、今でも覚えてる・・・?
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監督・脚本:岩田ユキ
原作:豊島ミホ『檸檬のころ』(幻冬舎刊)
秋元加代子/榮倉奈々
白田恵/谷村美月
佐々木富蔵/柄本佑
西巧/石田法嗣
辻本一也/林直次郎(ギターデュオ“平川地一丁目”の弟)
恵の父/大地康雄(特別出演)
ゼアリズエンタープライズ配給・2007年・日本映画・ 115分
<2人の才女と2人の美少女によって成立・・・?>
この映画は、原作が1982年生まれの豊島ミホのベストセラー『檸檬のころ』、そして脚本を書き監督したのが、1972年生まれで本作で初の長編映画監督としてデビューすることになった岩田ユキ。そんな2人の「才女」が描くのは、田舎の高校を舞台とした2人の女子高生を主人公とし、彼女たちと3人の同級生の男の子をめぐる淡い青春模様・・・。
後述のように、今ドキ、こんな純情で純真な高校3年生の男女の交流があるのかナと思う面はあるものの、この2人の主人公はまさに次世代を担う美少女2人。つまりこの映画は、2人の才女と2人の美少女によって成り立っている映画なのだ。
『ゆれる』(06年)の西川美和、『さくらん』(07年)の蜷川実花、『かもめ食堂』(05年)の萩上直子など、最近女性監督の進出が著しいが、さて岩田ユキ監督作品の出来は・・・?そして2人の美少女ぶりは・・・?
<1人は9頭身の美女、もう1人はあの「涙」美女・・・>
吹奏楽部で指揮を担当している高校3年生の秋元加代子(榮倉奈々)は、美人で頭も良くそして友達付き合いも万全という、どこにでも約1名いる存在。私が榮倉奈々をはじめて観たのは『僕は妹に恋をする』(06年)だったが、その美少女ぶりは際だっているうえ、そのスタイルは9頭身とも言われているらしい・・・?長澤まさみが2007年6月3日に満20歳の誕生日を迎え、大人の仲間入りを果たす今、彼女のスタイルの良さを受け継ぐ10代の美少女を代表するのがこの榮倉奈々・・・?
他方、『笑う大天使(ミカエル)』(05年)などでその美少女ぶりを魅せた谷村美月扮する白田恵は、加代子と同じクラスだが、孤独を愛する(?)ロック好きの少女。加代子は東京の大学を目指しているが、恵は音楽ライターを目指すことしか頭にないようで、少し要領が悪そう・・・?
この谷村美月の顔は、映画館に1度でも足を運んだ人は絶対知っているはず。なぜなら、彼女はMPA“海賊版撲滅キャンペーン”で、ガイコツ顔の次に登場し、その美しい目から黒い涙を流すあの美少女だから・・・。
<これがホントに今ドキの高3生・・・?>
この映画は男女5人の高校3年生の青春像を描いたものだが、この5人を観ていると、原作を書いた24歳の女流作家豊島ミホはよほど真面目な高校時代を送ったのだろうと思わざるをえない。少年非行・犯罪の増大や凶悪化は近年とみに大きな社会問題になっている。とりわけ、性体験の年齢は次第に低年齢化し、女子高生では30%が既に性体験ありというデータが公表されているのが今の世相・・・。しかし、この映画を観ていると、この若い男女5人に限っては全くそんな心配はなく、みんなウブで純真な高3生ばかり・・・?
したがって、この高校、このクラスに限っては、誰かが妊娠したからカンパを募るなどという破廉恥な行事は全くなさそう・・・?舟木一夫が歌った『高校三年生』は、私が中3時代、1963年の大ヒット曲で、今でも彼は各地の舞台で歌っているが、40年以上昔のウブな高3生と同レベル(?)の、高3生の出現にビックリ・・・。
<3人の男の子たちは・・・?>
高校3年生ともなれば既に17歳だから、「男の子」という言い方が適切かどうかはわからないが、この映画を観ている限りはそれでオーケー・・・?2人の美少女に絡んでこの映画に登場する3人の男の子たちの第1は、野球部エースの佐々木富蔵(柄本佑)。彼は頭は良くなさそうだし、しゃべり方もとつとつとしてあまり魅力的とは思えない高3生だが、この佐々木からの「僕とつき合って下さい」との申し出に、加代子は意外にも「はい」と答え、以降2人の純愛(?)の進展は順調そう・・・?
それでワリを食った(?)のが、加代子と中学校からの同級生の西巧(石田法嗣)。彼は中学時代からずっと加代子のことを想っていたようだが、遂にそれを口にできないまま、北海道の大学へ行くことに・・・。
他方、ちょっと面白いのが恵とロックの趣味で意気投合する辻本一也(林直次郎)との恋の展開模様。そもそも、辻本のギター演奏や歌のレベルには問題がありそうだったし、恵が書く歌詞もかなりダサそうだったが、さて学園祭における本番では・・・?まあ、これこそが3人の男の子たちそれぞれの青春・・・?
<この漢字は読めないのでは・・・?>
昔、「初恋はレモンの味」というようなコマーシャルがあったが、レモンの酸っぱい味は少し刺激的で心地いいから、まさに初恋の味にピッタリ・・・?そして人は皆、それぞれレモン味の初恋の体験とその記憶をもっているはずだから、「檸檬のころ」という表現は実に卓抜。
文部科学賞は2007年4月24日、一部の反対を押し切って43年ぶりに全国学力テストを実施したが、これは今ドキの小・中学生の学力低下を深刻に受け止めたため。したがって、その設問の狙いも、知識・技能を活用する力を評価するものが多かったそうだが、「檸檬」という漢字は今ドキの小・中学生はもちろん、大学生だって「れもん」と読めないのでは・・・?この意味で、原作を含めて「檸檬のころ」というイメージはすごくいいのだが、漢字を使ったのは少し無理があるのでは・・・?
2007(平成19)年4月25日記