LAW DE SHOW [54] 『東南角部屋二階の女』 |
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新聞記事 大阪日日新聞2008年11月掲載分
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27歳の新鋭女性監督に注目!
中国が世界に誇る総合国立映画大学である北京電影学院には遠く及ばないが、日本にも東京藝術大学がある。2005年に同大学院映像研究科映画専攻監督領域の第一期生として入学、07年に卒業した池田千尋は、27歳でこの奇妙なタイトルの映画を監督した。1978年に再開された北京電影学院の第一期生で82年に卒業した張藝謀(チャン・イーモウ)や陳凱歌(チェン・カイコー)監督らは中国ニューウェーブとして世界がアッと驚く傑作を次々と発表したが、さて彼女は?
亡父の借金を抱える野上(西島秀俊)の決断は、あっさり会社を辞め、祖父の土地に建つぼろアパートを取り壊し土地を売却すること。米国発の世界的規模の金融危機によって不動産業界は冬の時代を迎えたが、そうでなくともそんな野上の計画は無謀?
野上と一緒に会社を辞めて安アパートに入る三崎(加瀬亮)が短絡的なら、更新料を払えないため二階東南角部屋に引っ越してくる涼子(竹花梓)も安易で刹那的。そう感じる私はこんな若者たちにいら立つが、池田監督の視線はあくまでやさしく温かい。
建物の所有者兼借地人は藤子(香川京子)だから、取り壊しには藤子の同意が必要。また更地での売却か現状維持かの収益判断も微妙。弁護士の目で見れば解決困難な事案だが、藤子の鶴の一声によって建物取り壊しと更地売買が可能になったのはラッキー。しかし、待てよ。それって現在の人間関係を崩壊させるのでは?
ここからが新鋭女性監督の才能の見せどころ。若手名優3人の見事な演技の中、物語は意外な展開を見せるが、あなたはきっとその結末にホッとするはず。
藤子や野上の祖父たちの人生がいっぱい詰まった二階東南角部屋から、3人の若者が学んだことは、きっと予想される不動産収益より大きいはずだ。
通常版の評論もぜひどうぞ!! ⇒ 『東南角部屋二階の女』