シャッフル(アメリカ映画・2007年) |
<GAGA試写室>
2008年11月28日鑑賞
2008年12月1日記
「つんく♂」が「モーニング娘。」をシャッフルし始めたのは1998年頃。その10年後、ビル・ケリーは曜日をシャッフルするという大胆な脚本を!昨日愛する夫が自動車事故で死亡したとの報告を聞いた主婦は悲しみに暮れたが、翌朝は何と朝食を食べる夫の姿が。これは一体ナゼ?そんなバカな!と思うシーンの続出だが、さてあなたの納得度は?
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監督:メナン・ヤポ
脚本:ビル・ケリー
リンダ(主婦)/サンドラ・ブロック
ジム(リンダの夫)/ジュリアン・マクマホン
アニー(リンダの親友)/ニア・ロング
ジョアンヌ(リンダの母)/ケイト・ネリガン
クレア(ジムのアシスタント)/アンバー・ヴァレッタ
ロス医師/ピーター・ストーメア
2007年・アメリカ映画・96分
配給/クロックワークス
<何をシャッフル?>
私が「シャッフル」という英語を覚えたのは中学・高校時代ではなく、つんく♂がモーニング娘。をシャッフルすることを始めた1998年頃。シャッフルとは「トランプなどのカードを切ること。順番をばらばらにして混ぜること」だが、なるほどこれがシャッフルか、となぜかその時納得したもの。
そんなタイトルのこの映画がシャッフルするのは、2人の女の子にも恵まれた幸せな主婦リンダ(サンドラ・ブロック)が、愛する夫ジム(ジュリアン・マクマホン)の自動車事故での死亡を知らされた木曜日を境とした曜日。つまり月、火、水、木、金、土、日と進んでいくべき曜日がなぜかシャッフルされて進んでいくわけだ。しかし、そんなことってホントにありうるの?そう言ってしまうとこの映画は成り立たないから、『魔法にかけられて』(07年)で一躍脚光を浴びた脚本家ビル・ケリーが工夫して書いた脚本に乗っからなければダメ。しかし・・・。
<主演は?監督は?>
この映画の主演は『プラクティカル・マジック』(98年)、『恋は嵐のように』(99年)、『デンジャラス・ビューティー2』(05年)、『イルマーレ』(06年)(『シネマルーム12』96頁参照)で私もよく知っている美人女優のサンドラ・ブロック。
他方、そんなハリウッド女優が主演する純粋のハリウッド映画であるにもかかわらず、監督はなぜかドイツ生まれのドイツ人で、俳優として活躍した後1999年に監督デビューを果たしたというメナン・ヤポ。つまり、この映画が彼のハリウッド監督デビュー作だが、さてその出来は?
<なぜあんな豪華な邸宅が?>
2007年7月にアメリカで発生したサブプライムローンの破綻は、1年後の2008年9月末、アメリカ発の金融危機を引き起し、たちまち全世界に広がった。今考えると、金利だけを払って住宅を取得するというシステムは、不動産が値上がりし続けない限り破綻することは明らかだが、その当時は平気でそれがまかり通っていたわけだ。その結果、「FOR SALE」の住宅があちこちに出現したのだが、この映画の冒頭には若くして郊外の豪華な邸宅をリンダに誇らしげに見せるジムの姿が登場する。
そこで私が思うのは、彼の仕事は?収入は?ということ。また、日本の住宅ローンでは生命保険への加入が義務づけられているものが多いが、ジムの契約したローンでは?ということ。もっとも、この映画を楽しむについては本来そんなことは関係なし。たしかに、それはそうなのだが・・・。
<「そんなバカな!」と思うシーンが続出>
この映画には「そんなバカな!」と思うシーンが続出する。その第1は、ジムが出張中の木曜日に、「ご主人は昨日、自動車事故で亡くなられました」との報告を受け、悲しみの中で1日を過ごしたリンダが翌朝起きてみると、何ゴトもなかったようにジムが朝食を食べていたこと。そんなバカな!
第2は、母親のジョアンヌ(ケイト・ネリガン)の要請を受けた、ロス医師(ピーター・ストーメア)によるリンダの拘束。これは現実?それとも?第3は、長女の顔のひどい傷。これは彼女自身がブランコの事故で傷つけたもの?それとも、夫の死亡を聞いて情緒不安定になったリンダが虐待したためについた傷?
その他、次々と「そんなバカな!」と思うシーンが登場するが、さてビル・ケリーの脚本はこれをどのように収拾・・・?
<すごい美人を発見!>
この映画の収穫は、ちょっとおばさん臭くなってきた(?)サンドラ・ブロックばかり観ていた私の目に、すごい美人の顔が見えたこと。その登場はジムの葬儀のシーン。1人遠くから葬儀の様子を見守っている女性の姿を発見したリンダは、「この女はきっと何かの秘密を握っている」と直感し、その女のところに近づき「あなたは誰?」と尋ねたのだが、彼女は何も答えず車を走らせてしまった。後にこの女性はジムの新しいアシスタントだということが明らかになるのだが、何やらジムとこの女性との関係は怪しそう?だって、この女性クレアは、かなりの美人だもの。
そう思ってプレスシートを調べてみると、クレアを演じた1974年生まれのアンバー・ヴァレッタは15歳でモデルの仕事を始め、人気ブランドの広告に起用されて世界中のファッション誌の表紙を飾るスーパーモデルとのこと。そして私も観ている、観ている。『最後の恋のはじめ方』(05年)では、3人の女のうちの1人だった(『シネマルーム7』97頁参照)が、『トランスポーター2』(05年)では主役にジェイソン・ステイサムの(『シネマルーム11』316頁参照)お相手役として大活躍で女優としても活躍しこりゃちょっと注目しなければ・・・。
<シャッフルに気づいたら・・・>
リンダがジムの死亡を聞かされたのは木曜日。そして「昨日死亡した」ということは、ジムが死んだのは水曜日。葬儀は土曜日だったが、死亡の報告を聞いた翌日、朝食をとっているジムの姿を見たのは何曜日?また、葬儀に出席し、ロス医師らによって病院で拘束され鎮静剤を注射されたのは何曜日?それにもかかわらず、拘束された翌朝自宅のベッドで目が覚めたり、長女の傷も消えていたのは一体ナゼ?そこで、カレンダーを取り出して考えたリンダが気づいたことは?
曜日がシャッフルされているとしたら、今日水曜日はジムが交通事故で死亡する日。さあ、曜日のシャッフルに気づいたリンダは、水曜日に起きた(起きる)現実を変えることができるのだろうか?
2008(平成20)年12月1日記