LAW DE SHOW [64] 『戦場のレクイエム』 |
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新聞記事 大阪日日新聞2009年1月掲載分
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中国“内戦”の革命烈士秘話とは?
正月映画の顔として中国人民に愛されているのが、比較的日本になじみの薄い馮小剛(フォン・シャオガン)監督。その作風は、テンポ良いリズムと軽妙なヒネリの中、庶民の香りと人間への善意がいっぱい詰まり、『ハッピー・フューネラル』(01年)、『わが家の犬は世界一』(02年)、『イノセントワールド―天下無賊―』(04年)の面白さは、まさに中国の山田洋次監督!
アジアNO.1女優、章子怡(チャン・ツィイー)を主演に迎えた『女帝 エンペラー』(06年)に続く世界進出第2弾は、一転してタブーとされてきた“国共内戦”下での革命烈士秘伝。
空母建造など今や海空軍も充実の中国だが、第二次世界大戦と朝鮮戦争の狭間に当たる1948年は内戦地上戦の真っ只中。冒頭の中国共産党人民解放軍第九連隊と国民党軍との市街戦は、『プライベート・ライアン』(98年)並みに血しぶきと肉片が飛び散るド迫力! 機関銃乱射以上に、歩兵銃の一撃の精度と威力が生々しく息をのむ。
物語の焦点は「旧炭鉱を死守。集合ラッパで撤収」という団長命令。谷子地(グー・ズーディ)連隊長を除く47人の守備隊全員が戦死。敵の圧倒的な火力・兵力に玉砕覚悟で戦う中、ラッパ音はついに最後まで聞こえなかった。ラッパは鳴らされなかったのか? それとも?
生き残った隊長の見たものは、遺体確認できない戦死者に対する逃亡兵同然の失踪者扱い。なき部下の名誉回復に奔走する彼を助けるのは、朝鮮戦争の前線で一命を救われ弟分となる解放軍のエリート、趙二斗(チャオ・アルドゥ)少佐と、戻らぬ党指導員だった夫の痕跡を探す王桂琴(スン・グイチン)。苦難の末についに重い口を開いた原隊の元兵士の衝撃の証言とは?
10月に建国60周年を迎える胡錦濤政権。一見人民解放軍賛歌とも見えるが、抗日戦争以外は余り知られていない国共内戦と朝鮮戦争に翻弄される人々の素顔と痛みを馮監督は、見事な問題意識でじっくり捉えている。
通常版の評論もぜひどうぞ!! ⇒ 『戦場のレクイエム』