LAW DE SHOW [71] 『ワルキューレ』 |
本文はネタバレを含みます!!
それでも大阪日日新聞に掲載された記事を読む方は下の「新聞記事」をクリック!!
(他の映画を取り上げた回のコラムを含みます)
↓↓↓
新聞記事 大阪日日新聞2009年3月掲載分
本文はネタバレを含みます!!
それでも読む方は下の「More」をクリック!!
↓↓↓
ここからはネタバレを含みます!!
読まれる方はご注意ください!!
↓↓↓
もしこの暗殺が成功していたら?
リンカーンもケネディも、坂本龍馬も井伊直弼も暗殺されたが、荊軻(けいか)による秦の始皇帝暗殺は未遂。1944年7月20日に決行されたクラウス大佐らによるワルキューレ(W)作戦も、爆弾の炸裂で多数のドイツ軍将校が重傷を負ったのに、ヒトラーは奇跡的に軽傷で済んだから未遂。歴史に「if(もし)」はありえないが、もし爆弾が2個セットされていれば? もし爆弾入りの鞄が移動されていなければ?
ヒトラーが心酔していたワーグナーの楽劇『ワルキューレ』の名をとった軍の極秘計画は、数百万の連合軍捕虜たちの反乱を想定、それを鎮圧するため前年10月に立案されたもの。万一の時は国内予備軍が戒厳令を敷き、政府の全権を掌握する内容だ。そんなW作戦をニセ命令で逆手に取り、暗殺後の新ドイツ政府樹立を目指した大佐の構想の卓抜さと壮大さはお見事!
ベック元陸軍参謀総長、トレスコウ陸軍少将、オルブリヒト予備軍副司令官など、反ヒトラー組織の人材は豊富。ベックはヒトラー暗殺後樹立される新政府の元首、大佐は国防次官の予定だ。
大佐が爆弾入りの鞄を置くのは、ムッソリーニとの会談が予定される総統大本営「狼の巣」会議室。爆発までの時間は10分間。さあ爆発の成否にドイツの運命が。W作戦発動権を持つのは日和見派の予備軍司令官フロム。大佐から「爆発成功!」の電話を受けたベルリン待機組は、いかに彼を説得? またW作戦発動の決断とその後の展開は?
黒の眼帯とナチス将校姿のトム・クルーズは凛々しいが、米国人俳優たちの英語によるヒトラー暗殺謀議とその実行に違和感があるうえ、W作戦の失敗は歴史上既知の事実。しかし、本作から彼らの決意と暗殺実行の緊迫感を体感し、W作戦の意義を学びたい。
もし、現場に周到な通信手段が用意されていたら? また、大佐が自爆テロも辞せずの特攻精神の持ち主だったら? 歴史の事実に「if」はいくつも。
通常版の評論もぜひどうぞ!! ⇒ 『ワルキューレ』