LAW DE SHOW [72] 『長江にいきる 秉愛の物語』 |
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新聞記事 大阪日日新聞2009年3月掲載分
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大地に根付く中国女性の生きザマに感動!
映画は所詮作りもの? そりゃそうだが、ドキュメンタリーは? それだって、監督の思い入れに基づく独自の映像? そりゃそうだが、そこから大きな感動を受けることも。
留学先の京大で経済学を学んだ1962年生まれの馮艶(フォン・イェン)は、94年から撮影術を学び、三峡ダムで水没する長江沿岸部の農村の人々の暮らしを撮り続けた。97年に原点となる『長江の夢』を完成させた馮艶が本作の主人公を秉愛(ビンアイ)にしたのは、彼女が家族と耕す土地を愛し自力で生きようとする特別な存在だったから。第6世代監督の旗手賈樟柯(ジャ・ジャンクー)の『長江哀歌(エレジー)』(06年)とは異質の温かさと完成度は、長年の撮影で培われた女同士の信頼と同志愛がなせる技?
法的テーマは都市計画事業における立ち退き補償のあり方。人治から法治国家への転換を進める中国だが、共産党の一党支配体制は堅持。日本国憲法29条が定める「正当な補償」とは程遠い、村幹部や党書記の「説得」に注目!
トークの場で、馮艶は度々中断された撮影の苦労や中国上映の困難さを率直に語ったが、そこには秉愛同様何の屈託もないからすごい。恋人と別れ嫌々身体の不自由な夫の元に嫁ぎ2人の子供も授かった今、一家の柱は秉愛。小さな家と田畑さえあれば家族は生きていけるのに、なぜ国はそれを奪うの? 秉愛の疑問と抗議する姿勢はシンプルだ。
ハイライトは吹きすさぶ風の中、代替予定地での交渉風景。よくぞこんな生々しいシーンが撮れたものと感心したが、それは秉愛が代替地を承諾したため? ナニ、秉愛は結局妥協したの? それはあなた自身の目で。
09年は中国にとって節目の年。8%の経済成長が失速すれば農民工の反乱は必至? そんな激動期の中国を、秉愛に焦点を当てて切り取った馮艶監督の才能に拍手!
通常版の評論もぜひどうぞ!! ⇒ 『長江にいきる 秉愛の物語』(準備中)