7つの贈り物(アメリカ映画・2008年) |
<ソニー・ピクチャーズ試写室>
2009年1月26日鑑賞
2009年1月28日記
タイトルとはいかにも不似合いな、痩せ細り、病的なウィル・スミスの登場にビックリ!あれっ、彼にはこんな一面があったの?「ミステリーに始まり、愛の物語を経て、全く予想外の結末を迎えるストーリー」らしいが、その秘密を明かすことは、WARNING!したがって、この映画に関しては、私の評論は抽象的にならざるをえない。よってその真相解明は、あなた自身の目で・・・。
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監督:ガブリエレ・ムッチーノ
ベン・トーマス(税務署員)/ウィル・スミス
エミリー・ポーサ(心臓病の女性)/ロザリオ・ドーソン
エズラ・ターナー(盲目のピアニスト)/ウディ・ハレルソン
ダン・モリス(ベンの親友、弁護士)/バリー・ペッパー
ベンの弟/マイケル・イーリー
2008年・アメリカ映画・123分
配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
<WARNING!>
ウィル・スミス主演、『幸せのちから』(06年)(『シネマルーム13』257頁参照)の製作チームが新たな企画で臨んだ『7つの贈り物』のプレスシートには、「WARNING!結末で、ある秘密が明かされます。まだ映画を観ていない人には、決して話さないでください」と書かれている。
こんな「WARNING!」は1月21日に観た『パッセンジャーズ』(08年)に続いて今年2度目だが、こんな「WARNING!」があると評論を書きにくいのは当然・・・。もっとも、この映画のエッセンスは、映画冒頭のシーンで表示される次の言葉にある。それは「神は7日間で世界を創造した。僕は7秒間で人生を叩き壊した」だが、さてその意味は?
<ウィル・スミスにはこんな一面も>
主人公の名前はベン・トーマス。名優ウィル・スミスが演じる男のイメージは、①『バッドボーイズ』(95年)、『バッドボーイズ2バッド』(03年)(『シネマルーム3』125頁参照)、『メン・イン・ブラック』(97年)、『メン・イン・ブラック2』(02年)、『ワイルド・ワイルド・ウエスト』(99年)、など陽気でおバカ、しかも口から先に生まれたのではないかと思うばかりのおしゃべりな黒人の姿、②『アリ(ALI)』(01年)で見せたこれぞ本格派俳優の姿(『シネマルーム2』190頁参照)、③『アイ・アム・レジェンド』(07年)(『シネマルーム18』369頁参照)、『ハンコック』(08年)などのアクション俳優の姿、④『最後の恋のはじめ方』(05年)(『シネマルーム7』97頁参照)、『幸せのちから』などの人間らしい姿だが、『7つの贈り物』のウィル・スミスはひどく痩せており、かつひどく病的。あの元気なウィル・スミスにもそんな一面が・・・。
映画冒頭は、苦しそうな表情で電話をとり、救急車を要請するシーンから始まる。彼は電話口で自殺だと説明し、「誰が?」の質問に対し「私だ」と答えたが・・・。
『7つの贈り物』というタイトルからして、この映画がこんなミステリアスなシーンから始まるとは全然予想していなかったのに・・・。
<ポイントをつかませないところがミソ?>
ベンは自分のことを税務署員だと名乗っているが、どうもそれも怪しそう。なぜなら、いろいろなシーンで彼は税務署員と名乗っているが、その特権を利用して個人情報を集めまくっているようにも見えるから。
またベンは何度も「ケン・アンダーソン、ニコル・アンダーソン、アリー・アンダーソン、エド・ライス、スティーブン・フィリップス、モニカ・フリーマン、サラ・ジェンセン」と呪文のように7人の名前を連呼しているが、それは一体何を意味するの?この映画はそれを観客に全く説明しないままストーリーを展開させていくから、私にはポイントがサッパリつかめない。
ベンはきっと何らかの計画をもって行動しているのだろうが、そんなベンの行動を理解しているのは、子供の頃からの親友で弁護士をしているダン(バリー・ペッパー)だけのようだ。この映画は、こんな風に観客にストーリーのポイントをつかませないところがミソ・・・?
<弟は?盲目のピアニストは?>
この映画の登場人物はあまり多くないが、それでも主人公ベンとそれらの人物が交わす会話のポイントが、観客にはイマイチわからない。第1に、ベンにはたった1人の身内である弟(マイケル・イーリー)がいるが、この兄と弟は仲がいいのか悪いのかよくわからない。おまけに、「うちに泊まった時、オレの物を持ち帰ったか?」と弟は兄に尋ね、逆に兄は弟に「オレの物をお前にあげた。覚えているか?俺は、はっきり覚えている」と謎めいた言葉を投げかけるが、これを見ても2人の会話がうまく成り立っていないことは明らかだ。
第2に重要な人物は、盲目のピアニストのエズラ・ターナー(ウディ・ハレルソン)。ピアノだけでは生計を維持できず、ネット販売の会社で電話対応の仕事をしているエズラに対して苦情の電話をかけたベンは、言いたい放題の悪口雑言でエズラを罵るが、こりゃ一体何のため?
<後半のヒロインはエミリー>
ベンもどこか病的なら、後半に登場するヒロインのエミリー・ポーサ(ロザリオ・ドーソン)も重大な心臓疾患を抱えているようだ。それが明らかになるのは、大型犬の散歩から帰った途端、エミリーが家の前で突然倒れてしまったから。心臓移植は大変な手術だが、心臓が肥大しているエミリーは希望を失わずドナーが現れるのを待っているようだ。そんなエミリーとめぐり会ったことによって、ベンの計画には何らかの大きな変更が・・・?
ヤバイ、ヤバイ、これ以上書いていると、「WARNING!」を無視することになりそう・・・。
<今、中村あゆみが復活大活躍中!>
しわがれ声ながらパワフルな歌声で一世を風靡した女性ボーカリストが中村あゆみ。彼女が1985年に歌った『翼の折れたエンジェル』が大ヒットしたが、最近その「ストロングバージョン」が発売され、テレビCMなどでも流されている。『翼の折れたエンジェル』とは何とも痛々しいイメージだが、この映画の中ではエミリーの「私は翼が折れた女よ」というセリフで使われるから、要注目。さて、「翼が折れた女」とは?
<美しいクラゲの水槽はどんな役割を?>
もともと、ベンが1人で住んでいたのは海辺の瀟洒な家。そして、ここにはかつて一緒に暮していたらしい恋人の写真や思い出の品もいっぱい。ところが、なぜかベンはある日これらの品々を整理して海辺の家を出て、1人モーテルに泊り込むことに。
そんな彼が持参した荷物は、美しいクラゲの水槽。なぜ彼は従業員の制止を振り切ってまで、そんな物を持ち込んだの?モーテル暮らしの間の心の安らぎのためだけではないことは明らかだが、この美しいクラゲの水槽は映画の後半一体どんな役割を?
2009(平成21)年1月28日記