男と女の不都合な真実(アメリカ映画・2009年) |
<ソニー・ピクチャーズ試写室>
2009年7月30日鑑賞
2009年7月30日記
本作のテーマは、ズバリ男と女の違い。女はアタマで、男はアソコで恋愛するらしいが、それってホント?さて、あなたの恋愛観は?ロマンティック・コメディは数多いが、下半身に注目したそれは本作がはじめてかも。しかして、R15+指定とされたのはナゼ?バイブ・パンティをめぐるキャサリン・ハイグルの、文字どおり身体を張った熱演に注目!
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監督:ロバート・ルケティック
アビー・リッチャー(TVのプロデューサー)/キャサリン・ハイグル
マイク・アレクサンダー(TVの恋愛カウンセラー)/ジェラルド・バトラー
コリン(ハンサムな医師)/エリック・ウィンター
スチュアート(アビーの上司、TV局のゼネラルマネージャー)/ニック・サーシー
ラリー(ベテラン男性キャスター)/ジョン・マイケル・ヒギンズ
ジョージア(ベテラン女性キャスター)/シェリル・ハインズ
ジム/ケヴィン・コノリー
2009年・アメリカ映画・95分
配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
<女はアタマで、男はアソコで?>
ロバート・ルケティック監督の最新作『ラスベガスをぶっつぶせ』(08年)はタイトルどおりの面白さだった(『シネマルーム19』416頁参照)が、彼が本作で注目したのは男と女の違い。男と女の価値観や思考方法の違いは歴史的、社会的につくられたものも多いが、生まれながらの違いもあるらしい。それはアラン・ピーズ、バーバラ・ピーズの人気シリーズ『話を聞かない男、地図が読めない女-男脳・女脳が「謎」を解く』などを読めばよくわかる?ちなみに、囲碁の世界では女流棋士も多く、かなり上のレベルまで進出しているが、将棋の女流棋士は数も少なく、実力的にも男性棋士との差は大きい。これは囲碁がゆったりした勝負で局面を狭めていく勝負であるのに対し、将棋は勝負が激しく、かつ常に局面が変化する勝負であるという違いに起因するなどと言われているが、果たしてその真実は?
そんな風に男と女の違いについて科学的にアプローチしても、NHKの教養番組としてならともかく映画としては面白くないため、ロバート・ルケティック監督は下半身の視点から男と女の違いにアプローチ・・・?私の若い頃は「男はアタマで考える動物、女は子宮で考える動物」などと言っていたが、本作におけるロバート・ルケティック監督の問題提起は「女はアタマで、男はアソコで恋をする」。ロマンティック・コメディ仕様ながら、その奥深い問題提起に注目!
<婚カツの上級教科書として最適!>
本作のヒロインは自分の番組をもつTVプロデューサーのアビー(キャサリン・ハイグル)。そして、アビーを演ずるのは『幸せになるための27のドレス』(08年)(『シネマルーム20』68頁参照)で大ブレイクしたキャサリン・ハイグル。仕事面ではパーフェクトだが、仕切りグセが抜けないアビーは恋愛面でも男に完璧を求めるためか、いつまでたっても理想の男性とめぐり会えないまま。
本作のもう1人の主人公は、男と女の真実を過激トークでぶちまける「アグリー・トゥルース(醜い真実)」というコーナーをもつTVの恋愛カウンセラー、マイク・アレクサンダー(ジェラルド・バトラー)。番組テコ入れのため、歯に衣着せぬ物言いのマイクを新たに加えることにアビーは大反対したが、そこは視聴率がすべてのTV業界だから仕方なし。アビーにとっては最悪のしゃべりを展開したマイクだったが、意外にもそれによって視聴率がグッと上がったから、アビーの上司スチュアート(ニック・サーシー)は喜色満面だ。
アビーはある日ひょんな事情から隣の家に引っ越してきたハンサムな医師コリン(エリック・ウィンター)に一目ボレ。これぞ理想の男と考えてアプローチしようとしたが、マイクはそんなアビーの恋愛観は頭が描いたもので、男の本音がわかっていないと一刀両断。アビーの恋愛観とマイクの恋愛観は正反対で、文字どおり水と油だ。しかし、あら不思議、マイクの言うとおりにアビーが動くと、コリンはみるみるうちにアビーに急接近。やはりアビーのやり方は、男をわかってなかったの?そんなこんなの男女の恋の駆け引きが面白く展開されるから、本作は婚カツの上級教科書として最適!
<なぜ年齢制限が?>
ハリウッド発のラブ・コメディやロマンティック・コメディは本来軽いノリで楽しむことができるもの。したがって、すごい名作に出会えなくとも当り外れが少ないのが特徴だ。また、そのターゲットも若い女性が中心だから、エッチ度もほどほどに設定しているはず。ところが、ジャンル的にはロマンティック・コメディに入るはずの本作には、なぜかR-15という年齢制限がついている。それは一体ナゼ?
世の中には「大人のおもちゃ」を売っている怪しげな店があるが、あなたはそこに入っていろいろと品定めをした経験は?人間は本来エロい動物だからそんな店が成り立つわけだが、本作にはきっとマイクがそんな店で買ってきたと思われるバイブ・パンティなるものが登場する。これはアビーとコリンの恋を成就させるべく着々と策を授けているマイクが勝負下着としてアビーにプレゼントしたものだが、さてその効用とは?
この商品が本来想定している2人だけの秘密として使用されず、あるパーティーの席においてハチャメチャな使い方をされたためアビーは大変な目に遭うわけだが、そのシーンにおけるアビーの熱演が本作最大の見モノ。プレスシートによると、キャサリン・ハイグルはこのシーンだけで「37回も撮り直したのよ。ここまで体を酷使した演技はこれまでなかったわ」と語っているほどだ。もっとも、そんな「熱演」のために本作はR-15とされた(?)のだから、その損得勘定は?
2009(平成21)年7月30日記