20世紀少年ー最終章ーぼくらの旗(日本映画・2009年) |
<東宝試写室>
2009年8月4日鑑賞
2009年8月8日記
60億円を投入した3部作が遂に完結。思えば、秘密基地で遊んだ少年時代の1969年から38年。「よげんの書」をめぐる攻防戦が続く中、“ともだち歴3年”(=2017年)の今は、みんな還暦直前になるわけだ。最終章では、予言どおり人類滅亡の日が到来?それとも、自民党と同じようにともだち政権が崩壊?しかして、やっと明かされるともだちの正体とは?
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監督:堤幸彦
原作:浦沢直樹『20世紀少年』(小学館ビッグスピリッツコミックス刊)
ケンヂ(遠藤健児)/唐沢寿明
オッチョ(落合長治)/豊川悦司
ユキジ(瀬戸口ユキジ)/常盤貴子
カンナ(遠藤カンナ)(ケンヂの姪)/平愛梨
ヨシツネ(皆本剛)/香川照之
マルオ(丸尾道浩)/石塚英彦
ケロヨン(福田啓太郎)/宮迫博之
蝶野将平(警官、カンナの協力者)/藤木直人
春波夫(教団の広告塔・国民的歌手)/古田新太
角田(漫画家)/森山未來
高須(ともだちと深く関わる女性信者)/小池栄子
キリコ(遠藤貴理子)(ケンヂの姉)/黒木瞳
ビリー(ケンヂの昔のバンド仲間)/高橋幸宏
大垣師範代/武蔵
2009年・日本映画・155分
配給/東宝
<最終章の時代は“ともだち暦3年”>
今年は西暦2009年だが、これは当時ローマ帝国が支配していた、現在のパレスチナ自治区ヨルダン川西岸にあるベツレヘムにイエス・キリストが誕生した年を基準にしたもの。他方、天皇家が支配してきた日本では歴代天皇による年号があるが、「ともだち」を最大のキーパーソンとする『20世紀少年』最終章の時代は“ともだち暦3年”。
悪魔のテロリストと呼ばれるケンヂとその仲間が行ったとされる「血の大みそか」を阻止し、世界の救世主となった「ともだち」が世界大統領に就任した2015年から“ともだち暦”が開始したわけだ。さて、そんな“ともだち歴3年”(=西暦2017年)における東京は?そして世界は?
<ケンヂやオッチョたちも還暦直前>
大阪万博が開催されたのは1970年。また小学生のケンヂ、オッチョ、ヨシツネ、ユキジたちが秘密基地をつくったのは、その前年の1969年。他方、「よげんの書」に書かれた人類滅亡の日は2000年12月31日。そして“ともだち歴3年”の今は2017年だから、ケンヂたちも今は還暦直前?
第1章では2000年という時代背景の中でケンヂたちが大活躍し、第2章では2015年という時代背景の中でオッチョたちが大活躍したが、2017年という時代背景の中で展開される最終章では、還暦直前のケンヂやオッチョたちはいかなる活躍を?布で顔を覆ったともだちの老け具合はわからないが、オッチョ(豊川悦司)やヨシツネ(香川照之)の老け具合は顕著。さすがにケンヂ(唐沢寿明)やユキジ(常盤貴子)はまだ若々しく見せているが、さて還暦直前となった主人公たちは最終章でどんな役割を?
<2017年8月20日の予言が焦点>
殺人ウイルスが蔓延した東京はそびえ立つ壁によって分断され、ともだち教団、友民党、ともだち政府そして地球防衛軍による支配が貫徹されていた。そんな中、「ともだち」は「8月20日正午、人類は宇宙人に滅ぼされる。私を信じる者だけが救われる」と説いたが、さてそんな予言の信憑性は?
そんな予言のインチキ性を主張し、明確な反政府勢力として潜伏・活動しているのは、ヨシツネ率いる“ゲンジ一派”とカンナ(平愛梨)率いる“氷の女王一派”だ。“氷の女王一派”は“ゲンジ一派”から分派したもので、武装蜂起を企てているから、いわば超過激な武闘派集団だ。イスラムでもパレスチナでも武装ゲリラ闘争が絶えない中、日本は戦後64年間平和を守り続けてきたのだから、あえてこんな物騒な設定をする必要はないと思うのだが、映画のストーリーを盛り上げるためにはそれもやむなし?
しかして、最終章は2017年8月20日にともだちが企てる最後の大計画と、ヨシツネ、カンナが率いる反政府組織の動きが焦点だから、それに注目!
<オッチョとケンヂの役割はイマイチ?>
第1章ではちょっと間の抜けた巨大ロボが登場した(『シネマルーム21』16頁参照)が、最終章ではもう少しメカニックな巨大ロボが登場する。そんなロボットに闘いを挑んだのは、第1章と同じくケンヂ。そしてそれを側面から応援したのがオッチョだが、どうも最終章ではこの2人の役割がイマイチ?
もっとも、『涙を抱いた渡り鳥』ならぬ、ギターを抱いてバイクで疾走するケンヂは歌手として大貢献?ともだちは万博広場に愛着を持っているから、殺人ウイルスで東京を死の町にしても、万博広場は大丈夫と読んだカンナは、8月20日の武装蜂起方針を改め、多くの人々を万博広場に誘導することに。その結果、万博広場に集結した1万人の人々が聴いたケンヂの歌とは?
<試写室でも、ラスト10分はカット!>
最近の話題作は事前に情報が漏れるのを防ぐための措置が厳重になっているが、本作についてはマスコミ先行試写でもラスト10分間をカットした特別編集版を上映。それでも2時間35分もあるから結構長いが、ラスト10分についてはごくコンパクトな予告編として上映だ。
60億円という異例の製作費を投入した『20世紀少年』3部作が一貫して投げかけ続けるナゾは、ともだちとは一体ダレ?ということ。そのナゾを3本分ずっと持たせるのはかなりしんどいから最終章は少し間延び気味だが、そこで最終的に明らかにされるともだちの正体とは?それは私を含め、あなた自身の目で劇場で。
2009(平成21)年8月8日記