バトルシップ(アメリカ映画・2012年) |
<TOHOシネマズ梅田>
2012年5月3日鑑賞
2012年5月9日記
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監督・プロデューサー:ピーター・バーグ
アレックス・ホッパー(米海軍の新米将校)/テイラー・キッチュ
ナガタ(日本の自衛艦の指揮官)/浅野忠信
サマンサ(アレックスの恋人、整体セラピスト)/ブルックリン・デッカー
ストーン・ホッパー(アレックスの兄、海軍士官)/アレクサンダー・スカルスガルド
シェーン提督(艦隊の総司令官、サマンサの父、アレックスの上官)/リーアム・ニーソン
コーラ・レイクス(アレックスの部下の女性兵士)/リアーナ
オーディ(アレックスの部下の兵士)/ジェシー・プレモンス
キャル(科学者)/ハミッシュ・リンクレイター
ミック・カナレス(陸軍兵士)/グレゴリー・D・ガドソン
ビースト(アレックスの部下の兵士)/ジョン・ツイ
2012年・アメリカ映画・130分
配給/東宝東和
◆ 3月23日に観たディズニー生誕110周年記念作品『ジョン・カーター』(12年)の出来はイマイチだったが、ユニバーサル映画100周年記念作品の本作は?予告編を観た限りでは、環太平洋合同演習(RIMPAC)に集う世界14カ国2万人の海の精鋭たちが、突如海上に現れた正体不明の巨大物体と戦うシーンが強烈だったが、さてこの物体は?
空母や現代の戦艦(バトルシップ)ともいうべき最新鋭の駆逐艦は、はるかかなたの星からやってきたエイリアンたちの強力な母船といかに戦うの?また、エイリアンたちが地球にやってきた目的は?そんな期待と楽しみでいっぱいだったが・・・。
◆ 本作のストーリーは、駆逐艦サンプソンの艦長であるストーン・ホッパー(アレクサンダー・スカルスガルド)の弟アレックス・ホッパー(テイラー・キッチュ)と、日本の自衛艦みょうこうの艦長ナガタ(浅野忠信)の2人を軸として展開し、そこにアメリカ海軍提督シェーン(リーアム・ニーソン)の娘サマンサ(ブルックリン・デッカー)とアレックスとのラブストーリーが少し絡んでくる。また後半には、アレックスとナガタを中心としたバトルシップとエイリアンとの「海上戦」の他、サマンサとエイリアンたちの「陸上戦」も展開され、エイリアンの「実態」も垣間見ることができる。さらに、オールド軍艦ファンにたまらないのが、「マイティ・モー」の愛称で親しまれている戦艦ミズーリ号の活躍。ミズーリ号といえば日本の降伏調印式場に使われた戦艦だが、今はハワイで「浮かぶ博物館」として親しまれているはず。そんな「過去の遺物」が、エイリアン相手にどんな大活躍を?
◆ 謎の母船の巨大さは想像を絶するものだし、そこから発射される弾丸はチョー強烈だから、いくらバトルシップとはいえ駆逐艦3隻でこんな化け物といかに戦うの?兄ストーン亡き後の、アレックス、ナガタとエイリアンとの戦いぶりが本作中盤から終盤にかけての最大の見どころだが、敵の弱点が太陽光線だということを発見・活用したり、レーダーに映らない敵をブイを活用してスクリーン上に映し出す知恵はそれなりに面白い。他方、敵の母船の「性能」が一貫してわからないことや、アレックスとの一騎打ちやサマンサの「陸上戦」に見るエイリアンの「性能」もイマイチ見えないのが本作の難点。『ジョン・カーター』に見たサーク族の姿にも違和感を覚えたが、本作に見るエイリアンの姿にもかなり大きな違和感が・・・。
◆ 本作の「つかみ」は優秀な海軍士官である兄のストーンと出来の悪いアレックスの対比の面白さ。ストーンが艦長を勤める駆逐艦はエイリアンの母船からの最初の攻撃でたちまち撃沈し、ストーンも死亡してしまったが、そこから見せるアレックスの底力(クソ力?)が前半の見モノだ。東郷平八郎は日露戦争でバルチック艦隊を迎え撃つために舞鶴鎮守府司令長官という閑職(?)から連合艦隊司令長官に抜擢され、「非常時における能力」をいかんなく発揮したが、アレックスもそういう「器」だったらしい。つまり、平時においてはトラブルメーカーの存在だったが、いざ絶体絶命の状況下で正体不明のエイリアンの母船と対決するという非常時においては、傑出した戦時の才を発揮したわけだ。『U・ボート』(81年)や『眼下の敵』(57年)ほどの緊張感は望むべくもないが、本作中盤の海上戦に見るアレックスの非常時の知恵に注目!
◆ エイリアンが地球にやってきたのは、地球から発せられた友好的な「呼びかけ」に某惑星が呼応したためだが、その惑星の狙いは?また先遣部隊としてやってきたらしいエイリアンたちは、具体的にどんな任務を?映画は冒頭からそこらあたりの事情を説明しようとしているが、観客にはそれがイマイチわかりにくい。彼らが本格的に地球の各地を攻撃するのなら、わざわざ太平洋の中で、たまたまRIMPACをやっていた艦隊と直接対決する必要などなかったはずだ。
冒頭に見せるアレックスとストーンとの兄弟愛や、本作全編を貫くアレックスとナガタとの友情、さらにアレックスとサマンサとの恋、その他もろもろの人情模様を見せながら、得体の知れないエイリアンとの「海上戦」と「陸上戦」をタップリ楽しませようというのはちょっと欲が深すぎたのでは?つまり、本作は「二兎を追う者は一兎をも得ず」の典型だと私は見たが、さてあなたは・・・?
2012(平成24)年5月9日記