天心の譜(日本映画・2012年) |
<シネマート心斎橋>
2012年11月4日鑑賞
2012年11月6日記
「炎のマエストロ」と呼ばれるコバケンこと小林研一郎の故郷いわき市小名浜は、3・11東日本大震災で大被害に。しかし彼は、それを「コバケンとその仲間たちオーケストラ」と共に音楽によって希望の力に変えようとチャレンジ!スペシャルオリンピックスとのバランスはまずまずだが、本作では何よりもリハーサル風景や被災地の生徒たちに語るコバケンの熱い言葉と熱い思いを、世代を超えて感じとりたい。
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製作総指揮:細川佳代子
監督:小栗謙一
指揮:小林研一郎
撮影:ビリーブクルー
管弦楽/コバケンとその仲間たちオーケストラ
バイオリン/瀬﨑明日香、川畠成道
ソプラノ/池田理代子
語り/細川佳代子
トロンボーン/鈴木加奈子
バイオリン/田口麻紀子
琴/豊間中学校箏曲部の皆さん
スペシャルオリンピックスのアスリート/小原愛美、棚橋直也
書道家/金澤翔子
2012年・日本映画・94分
配給/エスピーオー
<こんなコバケンさんが映画に登場!>
指揮者の小林研一郎さんは坂和総合法律事務所が年に2回つくる「事務所だより」の第17号2011(平成23)年盛夏号に「坂和章平とすばらしき人たち~交遊録その10~小林研一郎さん」として登場していただいた人だ。そこで私は次のように書いた。すなわち、
1)「コバケン」こと「炎のマエストロ」小林研一郎氏は、外国ではハンガリー国立交響楽団常任指揮者、日本では日本フィルハーモニー交響楽団首席指揮者などを歴任した日本を代表する指揮者の1人。今回は、そのコバケンが私の交遊録に登場!
2)私がそんなすごい人と知り合えたのは、長年顧問弁護士をつとめ、数年前から監査役をしている㈱オービック主催の「春を呼ぶコンサート」に01年に参加した時だから、早や10年になる。もともとクラシック音楽が大好きでオーディオやLPレコードに凝っていた私は、そんなコンサートに招待されたことに大喜び。いつの頃からか、コンサート終了後の会食にもご一緒するようになった。オービックの創業者である野田順弘社長は10年6月に日経新聞「私の履歴書」で1カ月間連載され、『転がる石は玉になる』(日本経済新聞出版社)という単行本にもなった立志伝の人だ。そんな彼は「これは!」と信じる人間とはトコトン付き合う人。それはオービックのコマーシャルに登場するプロゴルファー青木功氏との交遊でよくわかるが、まさにコバケンとの交遊もそれと同じだ。
3)コバケンはリスト作曲の「ハンガリー舞曲」をよくアンコールで使っていた。それはリスト記念勲章やハンガリー文化勲章を受けるなどハンガリー政府との交流が深いためだが、最近は「ダニーボーイ」も多く、その選曲にはしびれてしまう。またコバケンの十八番は、ベルリオーズの幻想交響曲、チャイコフスキーの交響曲第5番、ベートーヴェンの交響曲第7番などだが、これらはいずれもLPレコードで何十回、何百回と聴いた私の大好きな曲。「コバケン節」と呼ばれる全身を使った指揮にまさにピッタリの曲ばかりだ。
4)普通なら「雲の上の人」として接触不可能なこんな人と親しく交遊できるようになったのは、野田社長を中心とした「人の和」のおかげだが、弁護士という職業のありがたさと生来の厚かましさで、私はコバケンさんに急接近!ゴルフの腕前は格段の相違があるから、同じコンペに出ても同じ組で回らせてもらうことはないが、コンペ終了後の懇親会ではあくまで対等。またカラオケルームに入れば、日本を代表する指揮者もナニワのおっちゃん弁護士も同じ土俵上での勝負だ。コバケンさんと交遊してびっくりするのは、日本を代表する指揮者とは思えない物腰の柔らかさと言葉遣いの丁寧さ。女性に対してそうなるのはわからないでもないが、私のようなガラの悪い弁護士に対してもあくまで紳士的だから、逆に恐縮してしまう。
5)右の写真は11年6月2日にザ・シンフォニーホールで

<「東日本大震災をめぐる映画あれこれ」の1本に!>
2011年3月11日に発生した東日本大震災とどう向き合うべきかについて多くの映画人が自問自答し、ドキュメンタリー、フィクションを問わずさまざまなな映画をつくり出してきた。私はドキュメンタリーはあまり好きではないので観ていないが、フィクションとしての、園子温監督の『ヒミズ』(12年)(『シネマルーム28』210頁参照)と『希望の国』(12年)(『シネマルーム29』37頁参照)に注目。さらに、杉野希妃プロデュース兼主演の『おだやかな日常』(12年)にも注目した。
本作がつくられたのは、第1にコバケンさんたちが2005年に設立した「コバケンとその仲間たちオーケストラ」の活動を長年やっており、2010年には31名の障害がある演奏家を交えたコンサートを開催したこと。第2に、「ビリーブクルー」という知的障害のある9人の撮影隊がそれを追跡してきこと。第3に2011年の夏にギリシャで開催されたスペシャルオリンピックス夏季世界大会・アテネへの参加を夢見ていた宮城と福島の2人の障害者アスリートがおり、これも「ビリーブクルー」が追跡していたこと。第4に、コバケンさんが被災地福島県いわき市の小名浜の出身であり、ひときわ故郷の復興について熱い思いをもっていたこと、などからだ。
「炎のマエストロ」と呼ばれるコバケンさんの音楽にかける思いは熱いが、音楽は人間の心を歌うもの。『天心の譜』というタイトルは多少大げさすぎるかもしれないが、「旋律の彼方から希望のハーモニーが聞こえる」「心にひろがる宇宙に向かっていま、自分探しの旅が始まる」というキャッチコピーは、まさに本作の真髄を語るものだ。㈱オービックも後援した本作はもともと必見作だが、私としてはそんな視点から本作を「東日本大震災をめぐる映画あれこれ」の1本に加えたい。
<「本番もいいが、リハーサルの方がもっと・・・>
コバケンさんの演奏会では終了後の語りが面白い。しかも、東日本大震災以降のコンサートでは「兎追いしかの山」で始まる『ふるさと』の合唱が定番となっている。本作はそんなコバケンさんによる「コバケンとその仲間たちオーケストラ」のリハーサル風景をタップリと見せてくれるから面白い。知的障害のあるバイオリン奏者の田口麻紀子さんや、盲導犬に導かれながらトロンボーンを吹く盲目の鈴木加奈子さんたちを含めたリハーサルが大変なことは容易に想像できるが、さて、コバケンさんはどんな優しさとどんな厳しさを見せながら彼らを指導していくの?
そんなリハーサル風景を見ていると、本番の演奏会もいいが、リハーサルの方がもっと面白く、人間・小林研一郎の持ち味をタップリ味わうことができるのでは。
<「この言葉に感動!この頑張りに感動!>
私は寡聞にして知的障害のある人たちにスポーツを通じて社会参加を応援するスペシャルオリンピックスというものがあることを知らなかったし、これが1968年に故ケネディ大統領の妹であるユニス・シュライバーさんによって設立されたことも知らなかった。本作ではその第1回大会で彼女が「私に勝利を。それが叶わないなら、挑戦する勇気を」と挨拶をするシーンが登場するが、その言葉のカッコ良さにまず感動!また、本作には女子テニスと男子5000m競争で障害をもつ2人のアスリートが登場するが、まさに「私に勝利を。それが叶わないなら、挑戦する勇気を」の言葉を地でいく、その頑張りに感動!
<「PRドキュ」との批判もあるが・・・>
私はドキュメンタリー映画よりはフィクション映画の方が好き。なぜなら、映画はもともとつくり物なのだから、たとえドキュメンタリーであってもどこをどう撮影するかを含めてフィクションがあることは間違いないからだ。したがって、父親は朝鮮総連の幹部、自分自身も朝鮮籍の「大阪のおばちゃん」にして、ニュースクール大学大学院修士号をもつ才女、梁英姫(ヤン・ヨンヒ)監督の作品では、ドキュメンタリーの『ディア・ピョンアン』(05年)(『シネマルーム12』392頁参照)よりは、最近の問題作『かぞくのくに』(12年)の方が面白かった(『シネマルーム29』86頁参照)。しかして、本作はフィクションそれともドキュメンタリー?そう問われると、本作はドキュメンタリーと答えざるをえない。たしかに本作は3・11東日本大震災をベースとした上で①コバケンとその仲間たちオーケストラの演奏、②スペシャルオリンピックスの様子、③ビリーブクルーたちの活動という3つの要素が混入したドキュメンタリーだ。
しかしそうなると、本作のような映画については「自己PR」ではないかという声が出てくるのもある程度仕方ない。現に『キネマ旬報』11月上旬号では映画評論家の北川れい子氏が「むろんコバケン氏の存在抜きには語れない音楽活動ではあるが、どうも氏のPRドキュのような印象もして違和感を覚える。ついでにいえば製作総指揮・細川佳代子の業績PR映画のような側面もチラッ。」と批判し、星2つという低い採点をしている。映画の見方は人それぞれだからそれは仕方ないが、そう観られること自体がコバケンさんにとっては一番イヤだったのでは?もっとも、自分たちが展開している社会的活動を広く認めてもらおうと思えばそれを映画として表現するのは有効な手段だから、本作の制作にそういう「自己PR」の面があるのは逆に当然。そう考えれば、そんな批判はやめて、素直にスクリーンを見て感動すればいいのでは?とりわけ、コバケンさんが被災地の福島県いわき市にある中学校の校舎の中でお琴を演奏する女子生徒やそれを聴いていた生徒たちに熱く語る「戦争体験談」はどこまで若い人のピントに合っているかどうかは別として、心の奧底に届く熱さをもっているはずだ。そんなこんなの思いをこめて、私の本作への評価は星4つに。
2012(平成24)年11月6日記
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