マニアック(フランス映画・2012年) |
<テアトル梅田>
2013年7月5日鑑賞
2013年7月6日記
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監督:フランク・カルフン
フランク(マネキン修復師の殺人鬼)/イライジャ・ウッド
アンナ(女性カメラマン)/ノラ・アルネゼデール
ジェシカ(フランクに殺される若い女性)/ジェヌヴィエーヴ・アレクサンドラ
リタ(女友達と別れた後フランクに殺される若い女性)/ジャン・ブロバーグ
ルーシー(フランクとチャットで知り合い殺される若い女性)/ミーガン・ダフィ
ジュディ(ナイトクラブから出てきた後フランクに殺される若い女性)/リアーヌ・バラバン
マーティン(アンナの隣人の男)/ジョシュア・デ・ラ・ガルザ
フランクの母/アメリカ・オリーヴォ
ジェイソン(アンナの恋人)/サミ・ロティビ
2012年・フランス映画・89分
配給/コムストック・グループ
◆ 私はオリジナル版『マニアック』(80年)を観ていないが、何度も本作の予告編を見ていると、エログロナンセンスではない「人間の狂気」を描いた名作は観ておかなくちゃという気持に・・・。しかも、マニアックな主人公を演ずる主人公フランクを演ずるイライジャ・ウッドがはじめて愛することになったマネキンではない生身の女アンナ役を演ずるノラ・アルネゼデールは、『幸せはシャンソニア劇場から』(08年)で「紅一点の魅力を発揮」していたフランス人女優(『シネマルーム23』62頁参照)だから、こりゃ必見!そう思ったが・・・。
◆ 生身の女には全然興味を持てず、愛することができるのは美しい女マネキンだけ。フランクがそんなマニアックな青年になったのは、父親が営んでいたマネキン店を継いでマネキンの修復師をしている彼が、子供時代に受けたあるトラウマのせいだ。フランクの子供時代、その母親(アメリカ・オリーヴォ)は夜な夜な男を自宅に連れ込んで激しいファックシーンを演じていた。これではいくら「見ないで、寝ていなさい」と母親から言われても、そりゃ無理というものでは・・・?
◆ 子供時代に母親のそんな姿ばかり見せられていれば、フランクが「女なんて・・・」と思うようになったのは仕方ないが、本作の恐ろしいところは、そのマニアックぶりが美しいマネキンを集めることだけではないところだ。ロサンゼルスでは今若い女性ばかりを狙った猟奇殺人が連続して発生していた。その犯行は夜間に行われ、被害者の女性たちは全員、無残にも頭皮を剥がれていたが、それは一体なぜ?
◆ 本作では①冒頭女友達と別れた後、フランクに後をつけられて殺される若い女性リタ(ジャン・ブロバーグ)、②フランクとチャットで知り合って意気投合し、自宅に招き入れたうえでフランクから殺される若い女性ルーシー(ミーガン・ダフィ)、③ナイトクラブから出てきた後、フランクに後をつけられて殺される若い女性ジュディ(リアーヌ・バラバン)、という3つのパターンの猟奇殺人ぶりが描かれるが、私はその頭剥ぎシーンをまともに見ることができなかった。彼はその切り取った頭髪をマネキンの頭にかぶせて、夜毎その女と語り合っていたわけだが、その顔に流れてくる血は?また、そこに集まってくるハエたちは?ハッキリ言って、私はこんな映像は大キライ・・・。
◆ 映画の撮影手法にはさまざまなものがあるが、本作の大きな特徴は「主観ショット」、すなわち、そのほとんどがフランクのPOV(視点)から撮影されていること。したがって、セリフはフランクのものでも彼の姿は直接スクリーン上では見ることができず、その姿は鏡やガラスなどに映った映像としてしか見られないから、ひび割れた鏡に映る彼の顔が余計不気味に見えてくる効果を生んでいる。イライジャ・ウッドは『ロード・オブ・ザ・リング』3部作のフロド・バギンズ役で大ブレイクした1981年生まれの若手俳優だが、そんな彼がこんなマニアックな役に挑んだのは大変な挑戦。さて、それが吉と出るか、それとも凶と出るか・・・?
2013(平成25)年7月6日記