美女と野獣 |
<GAGA試写室>
2014年8月29日鑑賞
2014年9月2日記
本文ははネタバレを含みます!!
それでも読む方は下の「More」をクリック!!
↓↓↓
ここからはネタバレを含みます!!ご注意ください!!
↓↓↓
監督・脚本:クリストフ・ガンズ
野獣・王子/ヴァンサン・カッセル
ベル(商人の末娘)/レア・セドゥ
商人/アンドレ・デュソリエ
ペルデュカス/エドゥアルド・ノリエガ
アストリッド/ミリアム・シャルラン
アンヌ/オドレイ・ラミー
クロチルド/サラ・ジロドー
ジャン=バチスト/ジョナサン・ドマルジェ
マキシム/ニコラス・ゴブ
トリスタン/ルーカ・メリアヴァ
プリンセス/イボンヌ・カッター・フェルト
2014年・フランス、ドイツ合作映画・113分
配給/ギャガ
◆フランスのヴィルヌーヴ夫人が1740年に書いたという『美女と野獣』について私は、てっきり絵本やアニメそして宝塚大歌劇の素材だと思っていたが、『オペラ座の怪人』がミュージカルや映画で大ヒットするのなら『美女と野獣』だって・・・。そんな思いで実写映画版として『美女と野獣』が完成、公開されることになった。
05年2月に観たミュージカル映画『オペラ座の怪人』(04年)は最高に素晴らしく(『シネマルーム7』156頁参照)、そのサウンドトラック版は新幹線の中でくり返し聴いたものだ。また、『アナと雪の女王』(14年)はストーリーはもとより、その音楽の魅力で大ヒットしたが、本作はミュージカルではなく、世紀のラブストーリーが売り。しかして、ヒロインのベルを演じるのは誰?それが『アデル、ブルーは熱い色』(13年)(『シネマルーム32』96頁参照)でゾクゾクするような魅力を見せつけ、アブデラティフ・ケシシュ監督とともにパルム・ドール賞(最高賞)をW受賞したレア・セドゥだと聞き、こりゃ必見!そう思ったが、いくら胸元を大きく見せてくれるとはいえ、やはり美しいドレス姿だけでは、その魅力は半減・・・。
◆末娘のベルには、3人の兄と2人の姉がいる。そして、裕福な商人だったベルの父(アンドレ・デュソリエ)が、財宝を積んだ船を嵐で失ったため破産してしまったところからストーリーが始まるが、この時代は一体いつ?それはナポレオン1世の時代らしいが、そこらの説明は不足気味。また、船が見つかり、積荷も無事だったにもかかわらず、財宝を取り戻すことができないことについての(法的)説明は全くないが、おとぎ話だけにそりゃ仕方なし・・・。
ストーリーが動き始めるのは、財宝を取り戻すことができなかった失意の帰り道、商人が吹雪の中で森の奥にある古い城に入り込んだところから。ベルからお土産に頼まれていた赤いバラを一輪手折ったことに城の主らしい野獣は怒り、バラの代償に商人の命を要求。そして、「1日だけ猶予を与えるが、戻らなければ家族を順番に殺す」と宣告したから、さて商人の対応は?
◆『オペラ座の怪人』の怪人は顔の半分を仮面で覆うだけだが、『美女と野獣』の野獣は、毛むくじゃらで手鉤の文字通りの野獣だから、それを演じる俳優は大変。本作が世紀のラブストーリーとされるのは、野獣=王子(ヴァンサン・カッセル)とプリンセス(イボンヌ・カッター・フェルト)との恋愛と、ある事情によるその破綻を下敷きとしたうえ、果敢にも自らを商人の身代わりとして野獣の犠牲にすることを決意したベルと野獣との恋を描いたためだ。ベルがいくら気丈で父親思いだとしても、最初からこの野獣に心を許したわけではない。したがって、本作前半は、商人の身代わりとして古城に乗り込んだベルと野獣との心理戦(?)が描かれていく。
ベルが野獣とプリンセスとの恋の秘密を辿っていく夢の世界では、俄然おとぎ話になってしまうのは仕方ないが、王子様の素顔が見えると、レア・セドゥがいくら芸達者な俳優でもちょっと年齢的にムリがある。プリンセスは絶世の美女だけに、王子役はもう少し若くハンサムな俳優にやらせた方がよかったのでは・・・?
◆フロドを中心とする9人の旅の仲間の冒険を描いた『ロード・オブ・ザ・リング』3部作は、ストーリーも壮大だったが、同時にオークやウルク=ハイなどの「化け物」や、「エント族」という生きている木が登場したりと、ファンタジー色がいっぱいだった(『シネマルーム1』29頁参照)(『シネマルーム2』54頁参照)(『シネマルーム4』44頁参照)。それと同じように、本作の中盤からは野獣が堂々とベルとダンスを踊る他、古城の財宝を狙う悪者たちに対して、さまざまなクリーチャーが登場し、「対決」するから、それに注目。
王子が野獣の姿にされたのは、ある日王子が誤って森の精である鹿(=プリンセス)を射ち殺したことに、その父親が激怒したため。したがって、ストーリーのポイントは、プリンセスの胸に刺さった矢ということになるが、引き寄せられるようにプリンセスのもとに進んでいったベルが、プリンセスの胸から引き抜いた矢はその後どんな役割を・・・?
◆野獣は戻ってくる期限を設定のうえで、ベルが家族の下へ一時的に帰ることを許可したが、その時ベルは野獣からすべての病に効くと言う小さな瓶に入った水のような薬をもらったから、これが瀕死の重態にあった父親の命を救うことに役立ったのは当然。しかして、ワルたちの攻撃の前に深傷を負った野獣は、このままではジ・エンド。そんな状況を見たベルが思いついたのは、あの万能薬だという泉に野獣を丸ごとつけてしまうこと。なるほど、それなら・・・。
しかして、意識を回復した野獣が最初にベルに対して発した質問は、「俺を愛してくれているか?」だが、さてその答えは?これにて、はい、ハッピーエンドは想定の範囲内だが、さてこのようなファンタジーの実写版の成否は・・・?
2014(平成26)年9月2日記