スター・ウォーズ/フォースの覚醒(アメリカ・2015年) |
<TOHOシネマズ西宮OS>
2016年1月10日鑑賞
2016年1月18日記
これまでテレビで断片的にしか観ていなかった『スター・ウォーズ』シリーズの最新作を、今回はじっくりと劇場で。その壮大な世界観と圧倒的な迫力はさすがだが、ついていくのがしんどいという実感も・・・。もっとも、『ロッキー』シリーズとは全く異質だが、珍しいキャラクターやドンパチの派手さだけではなく、そこには当然ながら生々しい人間ドラマも・・・。
魅力いっぱいの新ヒロインの躍動ぶりを見れば、長い間全世界興行収入第1位だった『タイタニック』(97年)を乗り越えた『アバター』(09年)を、更に乗り越える可能性も十分だが、さて・・・?
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監督・脚本・製作:J・J・エイブラムス
ハン・ソロ(凄腕の操縦士)/ハリソン・フォード
ルーク・スカイウォーカー/マーク・ハミル
レイア・オーガナ(ルークの双子の妹)/キャリー・フィッシャー
チューバッカ(ハン・ソロの相棒)/ピーター・メイヒュー
C-3PO(R2-D2の相棒のドロイド)/アンソニー・ダニエルズ
R2-D2(様々な能力を備えたドロイド)/ケニー・ベイカー
レイ(ジャクーの廃品回収者)/デイジー・リドリー
フィン(ストームトルーパーの脱走兵)/ジョン・ボイエガ
ポー・ダメロン(宇宙一のパイロット)/オスカー・アイザック
カイロ・レン(ダース・ベイダーを受け継ぐ存在)/アダム・ドライバー
最高指導者スノーク/アンディ・サーキス
ハックス将軍(軍の司令官)/ドーナル・グリーソン
ロア・サン・テッカー/マックス・フォン・シドー
マズ・カナタ/ルピタ・ニョンゴ
キャプテン・ファズマ(ブラスターを構える邪悪な女戦士)/グウェンドリン・クリスティー
BB-8(ボール型のドロイド)/
2015年・アメリカ映画・136分
配給/ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
<早くも全米興収でトップ!全世界での制覇は?>
私が映画検定3級に合格した2006年当時の「映画検定公式テキストブック」によれば、全世界での興行収入が10億ドルを超えた最初の映画が『タイタニック』(97年)で、その総興収は18億4500万ドルと書かれていた。しかし、その後『アバター』(09年)(『シネマルーム24』10頁参照)がこれを抜いて、2016年1月1日現在、1位『アバター』27億8796万ドル、2位『タイタニック』21億8677万ドルとなっている。
そんな中、2016年1月9日付新聞各紙は『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』の全米歴代興行収入が7億6100万ドルを記録したため、2009年に『アバター』が記録した7億6050万ドルを上回って全米興行収入歴代1位となったことを報じた。しかも、『アバター』は318日間の興行でこの記録を打ち立てたのに対し、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』はわずか20日間という脅威のスピード樹立となった。
さらに、『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』は1月1日現在の全世界興行収入歴代は13億3116万ドルで全世界8位にランクインしているため、こちらの記録更新も期待されている。さて、本作の全世界での制覇は?
<本作のおかげで、この「神話学の古典」も大ヒット!>
私が『スター・ウォーズ』シリーズを劇場で観たのは本作がはじめて。それまでは、テレビで断片的にしか観ていない。そこで、今更ながら資料を集めて読み勉強したが、その壮大さ(複雑さ)にビックリ。
ちなみに、1月9日付の日本経済新聞「文化往来」は、ジョージ・ルーカス監督が「この本がなければ自分は『スター・ウォーズ』の物語を書けなかった」と語る神話学の古典が新訳で復刊されたことを論じていた。その神話学の古典とは、世界の神話を比較研究したジョーゼフ・キャンベル著『千の顔を持つ英雄』で、原著は1949年の刊行らしい。そこでは、「洋の東西を問わず、英雄物語は『出立→イニシエーション(通過儀礼)→帰還」という構造が共通しており、人類の普遍的な欲求を表していると説く。そしてこのパターンこそが人間の心を深く揺さぶるのだという。フロイトやユングの心理学・精神分析の知見を踏まえた論述に説得力がある」らしい。
もちろん、私はそんな古典に通じていないが、この復刊書は「『スター・ウォーズ』のヒットが追い風になり、部数は既に2刷2万6000部。上下2巻の大著にもかかわらず、こちらも思いがけないヒットとなっている」そうだ。『スター・ウォーズ』過去6作と本作の壮大さを観て、この説明にもなるほど、と納得!
<新たなヒロインの誕生に全世界が注目!>
女性なら誰でも「シンデレラ願望」があるはずだが、そんな夢が叶う人は1億分の1あるいはそれ以下の確率。もちろん、「シンデレラ」にもさまざまなレベルがあるが、本作のヒロインであるレイ役への抜擢で一躍全世界から注目されることになった女優デイジー・リドリーは、まさに最高レベルのシンデレラだ。
砂漠の中で、私が小学生時代に流行っていた月光仮面のような格好(?)で登場してきたレイは、その後ギリシャ神話の乙女のような格好(?)で、クォータースタッフ(廃物をサルベージしたもので、レイが自衛用に使う、古いが頑強な武器)を操りながら、大活躍。とにかく、本作全編を通じてレイの全力疾走する姿が印象的だ。そのうえ、ラストには『スター・ウォーズ』を象徴するとも言える武器「ライトセーバー」を手に、カイロ・レン(アダム・ドライバー)のライト・セーバーと切り結ぶハイライトシーンも登場するので、それに注目!
本作には、「ファースト・オーダー」で呼称番号FN-2187とされるストームトルーパーでありながら「ファースト・オーダー」を裏切り、レジスタンスのパイロットであるポー・ダメロン(オスカー・アイザック)からフィン(ジョン・ボイエガ)という名前をつけられる男性ヒーローも新たに登場する。しかし、本作の大成功の要因の1つは、デイジー・リドリー演じるレイという新ヒロインの誕生によることは明らかだ。本作では、そんな新たなヒロインの誕生に全世界が注目!
<創造的なキャラクターもいいが、人間ドラマも!>
『スター・ウォーズ』シリーズと言えば、ややもすれば、①カイロ・レンが顔面につけるマスク(仮面)や②本作で常にレイと共に動き回る、球体のアストロメク・ドロイドであるBB-8、また旧6部作で大人気となった③C-3P0、④R2-D2、⑤チューバッカ等の、ジョージ・ルーカス監督が創造したキャラクター(?)が注目されがちだ。しかし、『スター・ウォーズ』シリーズでは、ハリソン・フォード扮するハン・ソロと、キャリー・フィッシャー扮するレイア・オーガナ将軍等の(通常の)人間が織りなす「人間ドラマ」も、それらと同じウエイトで注目したい。
ちなみに、『スター・ウォーズ』シリーズ1~6のポスターアートは、大阪生まれでルーカスフィルム公認のアーティストである三田恒夫(さんだつねお)氏が描いているが、そこでは登場人物やキャラクターの姿が重層的に描かれている。それは本作も同じだ。そしてそこでは、もちろんレイが一番大きく、フィンがそれに次いで大きく描かれているが、それに続く大きさの人物がハン・ソロとレイア・オーガナ将軍だ。ハリソン・フォードといえばスティーヴン・スピルバーグ監督の『インディ・ジョーンズ』シリーズでも主役を務めているが、これを見れば彼が『スター・ウォーズ』シリーズでも欠かすことができない俳優とされていることがよくわかる。
しかして、本作では後半に至って、今更ながらの(?)ハリソン・フォード扮するハン・ソロの登場にビックリ!スター・ウォーズファンはこのハン・ソロとレイア・オーガナ将軍が登場してきたシーンで、思わず拍手喝采!
<父と子の確執と因縁に注目!>
ファースト・オーダーの「大ボス」は某人物だが、本作を代表する「悪役」は、顔全体をマスク(仮面)で被ったカイロ・レン。彼は赤い十字のライトセーバーを操るうえ、強力なフォースを持っているからトコトン強い。したがって、基本的に誰も歯が立たないようだが、最終的にその前に立ちはだかる勇士は誰?
去る1月6日に北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)が成功させたと主張する水素爆弾は、ホントは大きな破壊力はなかったようだが、本作後半には、ファースト・オーダーが開発した恐るべき超兵器スターキラーが登場する。そして、ファースト・オーダーの若き将軍ハックス(ドーナル・グリーソン)の命令によって、それが銀河の彼方、新共和国元老院のある恒星系に放たれるとそれらの恒星は次々と消されていくことに・・・。もっとも、この超兵器は莫大なエネルギーを消費するため、その充填のためには30分を要するらしい。したがって、本作後半のクライマックスでは、ファースト・オーダー軍の本拠地に殴り込みをかけたレジスタンス軍とカイロ・レンやハックス将軍率いるファースト・オーダー軍との大戦争が展開される。
それはそれとしてじっくり楽しみたいが、その最終局面に至って登場してきたカイロ・レンに対して、ファースト・オーダーの本拠地に潜入していたハン・ソロが「△△△」と呼びかけたところから、ストーリーは突如父と子の確執、因縁の物語に・・・。さあ、本作最大の人間ドラマとなるそんなクライマックスシーンはあなた自身の目でじっくりと。
2016(平成28)年1月18日記