スウィート17モンスター(アメリカ映画・2016年) |
<シネ・リーブル梅田>
2017年4月29日鑑賞
2017年5月2日記
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監督・脚本:ケリー・フレモン・クレイグ
ネイディーン(17歳の女子高校生)/ヘイリー・スタインフェルド
モナ(母親)/キーラ・セジウィック
ミスター・ブルーナー(教師)/ウディ・ハレルソン
クリスタ(親友)/ヘイリー・ルー・リチャードソン
ダリアン(兄)/ブレイク・ジェナー
アーウィン(クラスメイト)/ヘイゼン・デトー
2016年・アメリカ映画・104分
配給/カルチャヴィル
<ショートコメント>
◆『トゥルー・グリッド』(10年)(『シネマルーム26』39頁参照)で14歳の時にオスカーにノミネートされた女優ヘイリー・スタインフェルドが成長し、本作では『スウィート17モンスター』というタイトルにふさわしいJK(女子高生)・ネイディーン役を熱演。17歳になったネイディーンが若干(かなり?)ひねくれているのは、幼い頃に優しかった父親を失ったショックと、何事にも優秀で世間受けのいい兄ダリアン(ブレイク・ジェナー)との折り合いが悪いためだ。
父親死亡後ネイディーンには友人もいない状態が続いたが、ある日ちょっとしたきっかけでクリスタ(ヘイリー・ルー・リチャードソン)と親友になれたのはラッキー。以降ネイディーンはクリスタにだけ心を許し、今は同じ女子高生として日常の生活を送っていたが・・・。
◆17歳といえば、恋に勉強にそして友人に進学にと悩み多き年頃だが、本作では導入部に登場するネイディーンの担任教師ミスター・ブルーナー(ウディ・ハレルソン)の個性とその存在感が面白い。「これから自殺しに行く」とわざわざ告白にやってきたネイディーンに対してミスター・ブルーナーが見せる対応は?今どきの日本の高校では、そんな危機(?)に際して、ここまでウエットに富んだ対応ができる教師は少ないと思うので、こりゃ大いに参考に・・・。
◆他方、小さい頃から「優秀な兄」と「出来の悪い妹」という対比で、仲の悪かったネイディーンとダリアンの関係(仲の悪さ)は今も同じ。ところが、よりによってネイディーンの唯一の親友であるクリスタが、ある日ネイディーンは、ダリアンとベッドインしている姿を目撃したからビックリ!これが何かの間違いならともかく、その後もクリスタとダリアンの仲が深まっていくばかりだったからアレレ・・・。さらに、「私と兄とどちらを選ぶの?」という究極の問いかけに対するクリスタの答えは・・・?
◆新聞紙評に見る本作の評論は比較的良好。さらにチラシによると、ヘイリー・スタインフェルドは、ゴールデングローブ賞の主演女優賞へのノミネートをはじめ、さまざまな賞を受賞している。しかも、本作のキャッチコピーは「誰もがこじらせて大人になった」と、「共感率100%“あの頃”のリアルなイタさを描く 愛すべき青春こじらせ映画!」というもの。なるほど、なるほど、本作を観ていると、その売りがよくわかる。
しかし、私は今年既に68歳。もちろん、そんな私にも17歳の時はあったし、その当時のこじらせぶりは今でもハッキリ覚えているが、残念ながらそれを懐かしく思い出し、回顧する気持ちになれないのが、今の気分。したがって、映画自体はそれなりの出来だが、どうしても気持ちが入っていかないままスクリーンを観ることに・・・。
◆本作に見る、父親死亡後の母親モナ(キーラ・セジウィック)の生き方や生活ぶりにはいささか納得できない。つまり、父親の遺産は一体いくらあったのだろううか?とつい勘ぐってしまうわけだが、あえて本作にそんな現実的視点を入れる必要はないのかもしれない。しかし、父親の死亡にもかかわらず、経済的にはなお十分恵まれた環境におかれていたのだから、ネイディーンはそれだけでも幸運。本作に見るネイディーンのこじらせぶりは興味深いが、それによって大きく成長できたのは確かだから、自殺したかったことを含めて、結果オーライだ。
◆中盤以降、クリスタがダリアンの良き恋人的存在だけになってしまい、全く個性が発揮できなくなっているのは残念だし、少し不思議だが、それも主役のネイディーンにハイライトを当てるためなら仕方なし?他方、ネイディーンが自然にクラスメイトのアーウィン(ヘイゼン・デトー)を恋人にできたのもごく自然なストーリーかもしれないが、これって予定調和が過ぎるのでは・・・?。
2017(平成29)年5月2日記