50年後のボクたちは(ドイツ映画・2017年) |
<シネ・リーブル梅田>
2017(平成29)年9月23日鑑賞
2017(平成29)年9月26日記
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督:ファティ・アキン
原作:ヴォルフガング・ヘルンドルフ(『14歳、ぼくらの疾走』小峰書店)
マイク・クリンゲンベルク(14歳)/トリスタン・ゲーベル
チック(ロシアからの転校生)/アナンド・バトビレグ ・チョローンバータル
イザ(家出少女)/メルセデス・ミュラー
マイクの母(アルコール依存症)/アニャ・シュナイダー
マイクの父(ヨーゼフ・クリンゲンベルク)/ウーヴェ・ボーム
ヴァーゲンバッハ先生/ウド・ザメル
大家族の母/クラウディア・ガイスラー=バーディング
裁判所の判事/アレクサンダー・シェアー
ノーマ村の警官/マーク・ホーゼマン
弁護士/フリデリーケ・ケンプター
2017年・ドイツ映画・93分
配給/ビターズ・エンド
■□■ショートコメント■□■
◆チラシに見る、本作の謳い文句は次の通りだ。
かつて14歳だったすべての大人たちへ贈る、疾走感と切なさがつまったロードムービー
あの夏の日を、おとなになってもずっと忘れない――
タイムカプセルのような、まぶしくてノスタルジックなひと夏の冒険。
◆また、公式サイトに見る、本作のストーリーは次の通りだ。
マイクは14歳。クラスメイトのタチアナに片思い中だが、臆病者で話しかけることができない。クラスでははみだし者で、授業でアル中の母親についての作文を読むと、同級生から「変人(サイコ)!」と笑われ、先生から大目玉を食らう始末。
ある日、担任が転校生を連れてやってきた。チチャチョフという聞き慣れない名前。
「どこの出身か自己紹介を」
「面倒くせえ」
どうやらロシアのかなり遠い所から移住してきたらしい。目つきが悪く、変な髪型で二日酔い。とんでもない奴がやって来たと、転校生・チックの噂はすぐさま学校中に広まった。
夏休みが始まった。
ある日突然、チックが青いオンボロのディーゼル車“ラーダ・ニーヴァ”に乗って家にやってきた。
「盗難車か?」
「借りただけさ あとで返す」
「捕まるぞ」
「俺は14歳だ 刑罰は15歳からさ」
恐る恐る、車内を見渡すマイク。
「ドライブに行こうぜ」
そして2人はチックの祖父が住んでいるという“ワラキア”を目指して旅に出た。
トラブルに遭遇しながらも旅の途中でいつくもの出会いと別れを繰り返していく。やがて無鉄砲で考えなしの旅は、マイクとチックにとって一生忘れることのできないものになっていく――。
◆私が何よりも惹かれたのは、本作の邦題。それは、かつて1967年3月に愛媛県松山市にあった愛光学園(中学・高校)を17歳で卒業した私が、2017年の今年5月に大阪で開催された高校卒業50周年記念同窓会で約40人の同級生と再会し、50年前の思い出を語り合ったばかりだったからだ。
50年も経てば、人間も世の中も大きく変わったのは当然。私たちが17歳から67歳まで生きた50年間は、自由で平和で、前向きのいい50年だった。しかして、本作に見る14歳の少年マイク(トリスタン・ゲーベル)とチック(アナンド・バトビレグ)が生きる2016年の社会も、自由で平和で豊かで前向きだが、さて家出少女のイザ(メルセデス・ミュラー)を含めた3人が約束した「50年後の再会」は本当にできるの?また、再会した時の社会と彼らはどうなっているの?私は、そこに大きな不安を感じたが、さて・・・?
◆面白いロードムービーはたくさんある。しかして、本作は多少踏み外しすぎ感が強いものの、2人の主人公の瑞々しさが際立っているから、大人から子供までその楽しさを満喫することができる。そして、旅を終えた後のマイクの処罰の受け方もホドホドで、「少年院送り」とまではいかないところがミソ。これくらいの手痛い失敗なら、きっと失ったものよりも得たものの方が大きく、夏休みを終えたマイクの今後の成長が楽しみだ。
とりわけ、夏休み前はあれほどまぶしくてどぎまぎした態度しかとれなかったクラスのマドンナに対する見方も、家出少女のイザとキス寸前までいったことによって大きく変わり、自信たっぷりの男に成長していたからすごい。かつての山口百恵の大ヒット曲『ひと夏の経験』では「あなたにあげる、“私の大切なもの”とは何か?」が大きな話題となったが、マイクが「ひと夏の経験」で得たものとは・・・?
◆誰にでも、10代の時の忘れ得ぬ思い出、忘れ得ぬ経験はあるもの。しかし、大人になるにつれてそれを忘れ、現実に順応し、冒険から距離を置いていくものだ。そんな「必然」の中、「あの夏の日を、おとなになってもずっと忘れない――」を謳い文句にした本作を鑑賞すれば、再度あなたの中に何かが芽生えるかも・・・?
2017(平成29)年9月26日記