望郷(日本映画・2017年) |
<テアトル梅田>
2017(平成29)年10月7日鑑賞
2017(平成29)年10月12日記
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監督:菊池健雄
原作:湊かなえ『夢の国』『光の航路』(『望郷』文春文庫所収)
平川夢都子/貫地谷しほり
大崎航/大東駿介
田山佐代子(夢都子の母)/木村多江
大崎正一郎(航の父)/緒形直人
平川聡/森岡龍
畑野忠彦/浜野謙太
平川夢都子(幼少期)/伊東蒼
三浦真衣/川島鈴遥
大崎航(幼少期)/荒木飛羽
大崎洋子/片岡礼子
田山高雄/相島一之
田山セツ/白川和子
2017年・日本映画112分
配給/エイベックス・デジタル
■□■ショートコメント■□■
◆原作が湊かなえの『望郷』であると聞き、こりゃ必見と思ったが・・・。
『望郷』は瀬戸内海に浮かぶ小さな島・白綱島(しらつなじま)を舞台に、愛憎半ばする複雑な心模様を描いた6つの短編集から成る小説。そして、そこでは、全編を貫くテーマが「愛すること、憎むこと、赦すこと、そして――闘うこと。」とされているらしい。本作はその6つの中から『夢の国』と『光の航路』の2つを映画化したものだ。ちなみに、公式ホームページのイントロダクションには次の通り書かれている。
『告白』『白ゆき姫殺人事件』『リバース』など数々のヒット作を生み出すミステリー作家・湊かなえのベストセラー『望郷』が、主演に貫地谷しほりと大東駿介を迎えて完全映画化。
『ディアーディアー』(第39回モントリオール世界映画祭正式出品)、『ハローグッバイ』(第29回東京国際映画祭・日本映画スプラッシュ部門正式出品)などを手掛ける菊池健雄が監督を務め、全編因島を中心とした瀬戸内地方にて撮影された映像に「直接見るよりも、カメラ越しに見た海のほうがハッとさせられる景色」と湊かなえも唸るほど、その手腕を光らせている。
主演2人を支えるキャストには木村多江、緒形直人ら、実力派俳優が名を連ねる。これまでの湊かなえ作品とは一線を画す、親子の感動ミステリーが誕生した。
しかし、私に言わせればこの「完全映画化」はちょっとインチキ。なぜなら6つの短編のうち2つを取り上げただけでは、全体を貫くテーマが徹底されないのでは・・・?
◆『夢の国』では、島から出て行かない(行けない)まま島の学校の教師になった夢都子(貫地谷しほり)と、その母親(木村多江)そして祖母(白川和子)との確執が、湊かなえ流の残忍さ(?)で描かれる。公式ホームページによると、そのストーリーは次の通りだ。
古いしきたりを重んじる家庭に育った夢都子(貫地谷しほり)は、故郷に縛られ生活をしていた。彼女にとって幼いころから本土にある“ドリームランド”が自由の象徴だったが、それは祖母や母(木村多江)のもとで暮らす彼女には決して叶わない“自由”であった。月日は流れ結婚をし、幸せな家庭を築く中、ドリームランドが今年で閉園になるという話を耳にする。憧れの場所がなくなる前に、彼女はずっと抱えてきた想いを語り始める――。
ドリームランドは私も小学生の時に両親に連れられて見学したことがあるが、当時それはまさに「夢の国」だった。ドリームランドが廃園になると聞いたとき、私もヒロインと同じような感慨を覚えたものだが、そんなドリームランドのネタだけでこれだけの短編を書けるのだから、湊かなえという小説家の発想の豊かさには感服!
◆他方、『光の航路』では、島の教師だった父親と同じように、島で教師となった主人公・航(大東駿介)が、教え子のイジメに直面して苦悩するサマが、これも湊かなえ流の残忍さ(?)で描かれる。公式ホームページによると、そのストーリーは次の通りだ。
転任の為9年ぶりに本土から故郷に戻った航(大東駿介)のもとには、ある日、亡き父(緒形直人)の教え子と名乗る畑野が訪問してくる。彼は、航が知らなかった教師としての父の姿を語り出し、父親のことを誤解していたと知るが――。
◆小説では『夢の国』と『光の航路』という2つの短編がどのように繋がっているのか知らないが、本作ではこの2つの物語が微妙な接点を持って作られている。そのため総合的に『望郷』とタイトルされたのだが、その点に私にはかなり大きな違和感が・・・。
2017(平成29)年10月12日記