「カンフー・ヨガ(功夫瑜伽/Kung Fu Yoga)」(中国、インド合作映画・2017年) |
<TOHOシネマズ西宮OS>
2017(平成29)年12月23日鑑賞
2017(平成29)年12月28日記
タイトルだけ見ても何の映画かサッパリわからないが、冒頭のド派手なCG映像でテーマが明示。そして、『インディ・ジョーンズ』シリーズばりの「秘宝探し」の旅の中、見事にカンフーとヨガを融合しつつ、楽しいジャッキー映画が大展開!なるほど、こりゃお正月映画にピッタリだ。
カンフーは男女共だが、ヨガはやはり美女の方が!しかして、本作ではジャッキーのカンフーと共に、3人の中国・インド人美女のヨガに注目!
ストーリーは?結末は?ある意味、本作ではそんなものは無視!最後は楽しく歌って踊って大団円に。たまには、とりわけお正月には、そんな本作がピッタリ!
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監督・脚本・製作・アクション指導:スタンリー・トン
ジャック(西安市にある兵馬俑博物館の考古学者、カンフーの達人)/ジャッキー・チェン
ジョーンズ(トレジャーハンター、父親がジャックの親友)/アーリフ・リー
シャオグァン(ジャックの助手の大学院生)/レイ(EXO)
ランドル(謎の集団を率いるインドの大富豪)/ソーヌー・スード
アスミタ(インドの考古学者、ヨガの達人)/ディシャ・パタニ
カイラ(アスミタの助手)/アミラ・ダスツール
ヌゥオミン(考古学を研究する大学院生、ジャックの助手)/ムチミヤ
配給:KADOKAWA/107分
■□■イントロダクションは?■□■
公式ホームページによれば、本作の「イントロダクション」は次の通りだ。
■□■ストーリーは?■□■
公式ホームページによれば、本作の「ストーリー」は次の通りだ。
■□■この男は、演技もカンフーも映画製作能力もなお健在!■□■
毎年年末年始に必ずテレビで放映されるのが、『ドラゴン危機一髪』(71年)、『ドラゴン怒りの鉄拳』(72年)、『ドラゴンへの道』(72年)、『燃えよドラゴン』(73年)等のブルース・リー(李小龍)が主演する映画。『ドラゴン危機一髪』で一躍世界の寵児となった、香港生まれの中国武術家・武道家・俳優・脚本家・映画プロデューサーであるブルース・リーは、1973年に32歳の若さで亡くなった。
「求道者」のような生き方をした、そのブルース・リーとカンフー能力は同レベルながら(?)、映画の中でのキャラクターと生き方はまるで正反対で、ギャグ的要素満載の俳優、ジャッキー・チェンは、2014年に還暦を越えたが、その演技能力もカンフー能力もなお健在。今年10月に開催された第19回中国共産党大会によって習近平の権力集中と独裁体制を強めた中国は現在「一帯一路」構想を推し進めているが、その中で近時強まっているのがインドとの摩擦。そのため政治・外交・軍事的に中印関係にはさまざまな問題が起きているが、映画は娯楽!そんな時こそ中国のカンフーとインドのヨガを融合させた、楽しくぶっ飛んだ映画をつくらなくちゃ。それが今回のジャッキー・チェンの思惑らしい。そう考えると、この男は映画製作能力もなお健在!
そのジャッキー・チェンが「列車モノ」で「列車アクション」に挑戦した最新作『レイルロード・タイガー』(16年)は、「韓荘大橋の爆破」という大変な任務の達成物語と、仲間・家族たちの友情・愛情物語だったが、そこではまた、反日・抗日色をバランスよく配置したうえ、ラストの感動は『誰がために鐘は鳴る』(43年)に迫る面白い映画になっていた(『シネマルーム40』172頁参照)。
■□■かつての天竺と唐との争乱が「お宝」の源泉!■□■
私は歴史ものが大好きで、ローマ帝国の物語やハンニバルの物語、そしてギリシャのアレキサンダー大王の物語等が大好き。地図上も古代ローマのあったイタリアから東の方へ進み、ペルシャ、インド方面に向かってくると、どうしてもその時代の中国と対峙することになる。インドは昔天竺と呼ばれていたが、中国の唐の時代、その二国の間にどんな争乱があったの?寡聞にして私はそれを知らなかったが、本作冒頭には華麗なCG技術の中、象の大軍を含めた天竺軍VS唐軍の「死闘」が描かれる。インドは暑い国。中国も西の方は砂漠で暑い国。そういうイメージが強いが、崑崙山脈等の高地は寒く、冬は雪と氷におおわれてしまうのは当然だ。
そして、時代は転じて現代。考古学者のジャック(ジャッキー・チェン)は学生たちに考古学の講義をしていたが、どちらかというと教室の中より現地での秘宝探しの方が向いているようで、これまでも多くの実績をあげているらしい。そんなジャックを訪ねてきたのは、同じ考古学者でヨガの達人でもあるインド人美女のアスミタ(ディシャ・パタニ)。冒頭に登場した天竺軍VS唐軍の激突の中、雪と氷の中で凍死した将軍たちの大量のお宝が埋まっているらしい。その調査、発見、発掘は、国家の重要任務。そう考えた真面目な考古学者のジャックは協力を承諾したが、そのお宝探しを狙うのは真面目な人種だけ・・・?
ここまでのストーリ展開を見ていると、まるでハリソン・フォードが主演した『インディージョーンズ』シリーズそのもの。たしかにその通りだが、ジャッキー・チェン映画になると、雰囲気がメチャ明るいものになる。ちなみに、本作導入部ではジャッキー・チェンのカンフー能力とアスミタのヨガ能力を小手調べ的にみせてくれるので、それにも注目!
■□■西安からドバイへ!車、ライオン、美女たちに注目!■□■
私は2001年8月に西安旅行に行ったが、今世界的に注目されているドバイには行ったことがない。天竺VS唐の戦い伝説に絡まる本作で、何故ドバイが舞台になるの?それは秘宝へと導く“シヴァの目”を探す、たった1枚の古い地図を巡る謎のためだ。とは言っても、本作では基本的にストーリー展開やその根拠はどうでもよく、ただただ巨大都市ドバイで登場するカーアクションとライオン、そして、美女たちに注目したい。去る11月23日に観た、2017年の中国の最大ヒット作、『戦狼2 ウルフ・オブ・ウォー2』(16年)では、アフリカの某国で展開される「戦車アクション」に驚かされたが、本作ではドバイの街を疾走する計70台の高級車のカーアクションとジャックの車に同乗する(?)ホンモノのライオンにビックリ!
他方、私がインド映画が好きなのは、そこにたくさんのインド人美女が登場してくるため。本作冒頭に登場するインド人の美人考古学者アスミタを見るとついそう考えてしまうが、中国とインドの合作である本作には、さらに、ジャックの助手である中国人美女・ヌゥオミン(ムチミヤ)や、アスミタの助手であるインド人美女・カイラ(アミラ・ダスツール)らが次々と登場してくるので、それにも注目!本作の予告編を見た時は『カンフー・ヨガ』というタイトルを含めて単なる「おバカ映画」と考えていたが、実際に観てみると、さにあらず。ジャッキーが見せるカンフーが魅力的なら、これらの若い美女たちが見せるヨガも魅力的だ。チラシに躍る「全編見せ場で全世界280億円突破!」「中国人とインド人23億人がブッたまげた、」「正月No.1の超ハチャメチャで超ハイテンションなスーパー・アクション・アドベンチャー、ここに爆誕!!」等の見出しがまさにピッタリの娯楽作品になっている。そのお楽しみを、まずはドバイで!
■□■氷の下にはどんなお宝が?悪人たちは?■□■
石油採掘の苦労に比べれば、氷に大きな穴を開けてその中へ入っていくのは朝飯前。本作を見ていると、そのことがよくわかる。しかし、そこから始まる『インディ・ジョーンズ』シリーズと同じような雰囲気の冒険物語が、本作中盤以降のお楽しみとなる。そこに「介入」してくるのが、「ここで発見されるお宝はすべてインドのもの」、また、「それは発見した俺のもの」と主張するインドの大富豪、ランドル(ソーヌー・スード)だ。ランドルは悪人役だが、ジャッキー映画では悪人もトコトン悪人にならないのが特徴。しかも、ランドルを演じるソーヌー・スードはハンサム男だから、それが余計際立っている。本作ではそんなランドルに対して「もし、お宝を発見すればそれは個人のものではなく、政府のものだ」と諌めるジャックの優等生的発言が目立つが、ひょっとしてこれは、10月の第19回共産党大会での習近平演説を考慮したセリフ?そう思わせるほど、本作のジャッキー・チェンは政府に対して優等生だ。
それはともかく、氷の中はメチャ広く、ご一行が到達するお宝も宮殿もチョー立派だから、中盤から後半にかけてはそこでのお宝探しの旅と、ジャックご一行様VSランドルご一行様の対決をしっかり楽しみたい。
■□■歌って踊って大団円!そこでのジャッキーの存在感は?■□■
近時はフィリピン映画の第3黄金期で、去る11月9日に観た『立ち去った女』(16年)は凄かった。インド映画も9月5日に観た『裁き』(14年)(『シネマルーム40』246頁参照)は本格的法廷モノだったし、『マダム・イン・ニューヨーク』(12年)(『シネマルーム33』38頁参照)や、『めぐり逢わせのお弁当』(13年)(『シネマルーム33』45頁参照)等は、「歌なし、踊りなし」のシリアスで面白いインド映画だった。しかして、中国・インド合作となる本作では、お宝探しが完了した後はいきなり歌と踊りの大団円になるので、それに注目!
このラストシーンでは、それまで敵同士だったジャックとランドルが並んで踊るので、舞台やミュージカルのラストと同じような雰囲気だが、さすがにそこでは60歳を越えたジャッキーの存在感が弱い。ダンスのキレは申し分ないのだが、何といっても年齢を感じさせるわけだ。そう考えると、本作にはせっかくアスミタ、カイラ、ヌゥオミン等の美女が3人も登場しているのだから、ラストの大団円のシーンでは、ジャッキーとソーヌー・スードは一歩引いて、インドと中国の美女たちを前面に出した方が良かったのでは・・・?
ちなみに、2017年の日本のシングルCD売上1位はAKBの『願いごとの持ち腐れ』だが、アルバムの第1位は安室奈美恵の『Finally』。さらに、今年の紅白歌合戦には9月に2018年のツアーをもって引退すると宣言した安室奈美恵が登場し、20分間にわたってその魅力をみせつけてくれるらしい。近時、紅白歌合戦をまともに見ることがなくなり、部分的にしかチャンネルを回していなかったが、今年はこの安室奈美恵の出番だけは必見!そう考えると、やはり本作ラストの大団円は、3人の美女を前面に押し出した方がよかったのでは・・・?
2017(平成29)年12月28日記