ナショナル・トレジャー リンカーン暗殺者の日記(アメリカ映画・2007年) |
<試写会・リサイタルホール>
2007年12月14日鑑賞
2007年12月21日記
リンカーン大統領暗殺の際に残された一片の日記の謎と、新大陸の黄金都市伝説の謎。先祖は暗殺者という汚名を晴らすための暗号解読の旅は、パリからイギリスへ、そして遂に合衆国大統領誘拐にまで発展!数々のキーワードを解き明かしながら進むスリリングでスピーディーな冒険の旅は、楽しさいっぱい。映画は楽しければそれでいい!そんな映画の「王道」を突き進む、最もハリウッドらしい映画をタップリと楽しもう。
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監督・製作:ジョン・タートルトーブ
製作:ジェリー・ブラッカイマー
ベン・ゲイツ(ベンジャミン)(天才歴史学者、スゴ腕トレジャー・ハンター)/ニコラス・ケイジ
アビゲイル・チェイス博士(才色兼備の古文書専門家)/ダイアン・クルーガー
ライリー・プール(天才ハッカー、ベンの親友)/ジャスティン・バーサ
パトリック・ゲイツ(暗号解析のスペシャリスト、ベンの父親)/ジョン・ボイト
エミリー・アップルトン博士(言語学教授、ベンの母親)/ヘレン・ミレン
セダスキー(FBI捜査官、謎のマスターメイソン)/ハーヴェイ・カイテル
ウィルキンソン(謎のトレジャー・ハンター)/エド・ハリス
アメリカ合衆国大統領/ブルース・グリーンウッド
2007年・アメリカ映画・124分
配給/ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン
<これも2匹目のどじょう狙いだが・・・?>
2007年の興行収入トップとなった『パイレーツ・オブ・カリビアン ワールド・エンド』(07年)は、ジェリー・ブラッカイマーが製作した人気シリーズの最終章。そのジェリー・ブラッカイマーがニコラス・ケイジの主演で大ヒットした『ナショナル・トレジャー』(04年)に続いて2匹目のどじょう狙いに・・・。さて、その思惑は・・・?
前作は1ドル札の謎とアメリカ合衆国「独立宣言書」に仕組まれた暗号の解読がポイントだったらしいが、今回は1865年のリンカーン大統領暗殺にまつわる、「リンカーン暗殺者の日記」「逆向きの鷲の国璽」「大統領秘密文書」などの暗号が次々と登場。ニコラス・ケイジ扮する、冒険家にして天才歴史学者のベン・ゲイツがそれらを解読していくのは、ベンの先祖が「リンカーン大統領暗殺の真犯人」とされた汚名を晴らすため。さて、そんな冒険の旅の行方は・・・?
<消えたリンカーン暗殺者の日記とは・・・?>
映画の冒頭は1865年4月14日、南北戦争終結直後の時代だ。酒場の奥に座っているのはゲイツ家のトレジャー・ハンターの祖、トーマス・ゲイツ。そこに近づいてきたのは、ジョン・ウィルクス・ブースとその仲間のマイケル・オローリン。彼らはトーマスに対して皮綴じの日記の暗号解読を依頼するためにやってきた男たちだ。しかし、暗号解読に時間がかかると知ったブースはオローリンを後に残して、リンカーン暗殺のため劇場に向かい、リンカーンは射殺されることに。
他方、トーマスが途中まで解読した暗号には「連合」「黄金」「ゴールデン・サークル騎士団」の文字があったため、オローリンがゴールデン・サークル騎士団の一員だと覚ったトーマスは、財宝が彼らの手に渡るのを防止するため、日記の一部を破って暖炉の中へ投げ込むことに。それを見て慌てたオローリンは、暖炉から燃えている日記の半分をつかみ出すとともにトーマスを射殺。
これによって、消えたリンカーン暗殺者の日記は、永遠に歴史の闇に消えてしまったかに思えたが・・・?
<ベンは今何を・・・?彼のライバルは・・・?>
トーマス・ゲイツの子孫であるベン・ゲイツは今出版記念のサイン会を開いているが、本の売れ行きはイマイチ・・・?この本は、ジェファーソン要塞沖で見つけたゴールデン・サークル騎士団の遺物を証拠に、リンカーン暗殺犯と秘密結社の関わりについての自説を展開したもの。
そこに登場したのが、ベンのライバルとなるウィルキンソン(エド・ハリス)だ。彼は、トーマスが撃たれた酒場の主人の子孫で、暖炉から拾い集めた日記の一部を持っていると主張。さらにその日記には、暗殺の共犯者としてトーマス・ゲイツの名が記されていると主張したから大変。そして、その衝撃的な新事実がマスコミの知るところとなったため、ベン・ゲイツの祖先は大統領暗殺者だという汚名を着せられることに。
「これは明らかにウィルキンソンの陰謀だ」「俺の先祖は、財宝がゴールデン・サークル騎士団の手に渡るのを阻止するため犠牲になったのだ」と信じるベンは、これ以降先祖に対する汚名を晴らすための冒険の旅に出ることに。
<才色兼備の古文書専門家は、私の大好きな・・・>
先祖の汚名晴らしのための冒険の旅を応援するのは、ベンの親友で天才ハッカーのライリー・プール(ジャスティン・バーサ)。また、暗号解析のスペシャリストである父親のパトリック・ゲイツ(ジョン・ボイト)と、古代言語や少数民族の言語を研究しているパトリックの元妻であった言語学教授のエミリー・アップルトン博士(ヘレン・ミレン)。
そしてもう1人は、ベンの恋人(?)でワシントンD.C.の国立公文書館の責任者をしている才色兼備の古文書専門家であるアビゲイル・チェイス博士。このアビゲイルを演ずるダイアン・クルーガーは前作にも登場して注目を浴びたらしいが、私が絶賛したのは『敬愛なるベートーヴェン』(06年)におけるダイアン・クルーガーの美しさ(『シネマルーム12』277頁参照)。そんな私の大好きなダイアン・クルーガーが、この映画でも大活躍!
<暗号解読の旅はあなた自身で・・・>
この映画は次々と新しい暗号が登場してくるうえ、その解読と次の目標に向かうスピードがメチャ速いため、ついていくのが大変。また、2時間を超えるそんな冒険の旅を1つ1つ紹介していくことは到底できないので、暗号解読の旅はあなた自身が直接スクリーンで楽しんでもらいたい。
この冒険の旅に登場する興味深い人物の1人が、FBI捜査官にして謎のマスターメイソンというセダスキー(ハーヴェイ・カイテル)。「18世紀初めにイギリスから世界中に派生した理性と博愛を理念とする秘密結社」であるフリーメイソンの存在は有名だが、セダスキーはこのフリーメイソンの第33級マスターメイソンであり、フリーメイソンしか知りえない機密事項を知る貴重な情報源。もっとも、彼がベンに協力するのはフリーメイソンの利益となると判断した時だけだから、さて、ベンはその情報を有効に生かして目標にたどり着くことができるのだろうか・・・?
<後半は、合衆国大統領も登場!>
バッキンガム宮殿にあるイギリス女王の私室にあるレゾリュート・デスクに隠されていた木片は、黄金都市への地図の半分。そして残りの半分は、アメリカ大統領執務室に隠されているとのこと。そんなダイナミックな展開の中、ベンとアビゲイルは大統領執務室に侵入し、ついに大統領秘密文書の存在まで解明を進めていくことに。
そこで、ついに登場するのがアメリカ合衆国大統領だが、大統領秘密文書を手に入れるためには直接大統領と話をして聞き出すしか方法がないが、そんなことは到底不可能。しかし、そんな不可能を可能にしたのは、ベンが提案した大統領誘拐という超非常手段。「そこまでやるか!」という脚本だが、今やジェリー・ブラッカイマー製作の冒険モノは何でもあり!
さあ、ベンとアビゲイルは合衆国大統領を誘拐して、大統領秘密文書にたどり着くことができるのだろうか・・・?そして、また無事リンカーン大統領暗殺犯という汚名を晴らすことができるのだろうか・・・?
<歴史に隠されたキーワードがいっぱい!>
この映画は、リンカーン大統領暗殺と新大陸に眠る黄金都市伝説を巧みに組み合わせながらナショナル・トレジャーの活躍をスリリングに描いているが、その内容をホントに理解するためには1度だけではムリ・・・?それは、2、3度観なければ到底ムリだと思うほど、謎が多く、またテンポが速いから。
必ずパンフレットを買って勉強する必要があるのが、リンカーン大統領暗殺の謎を解く、歴史に隠されたキーワードの数々。プレスシートには4ページにわたってそれらが詳しく解説されているが、これを読めば読むほど興味深いし、その理解が深まれば深まるほどこの映画の楽しみ方も深まるはず。とりわけ南北戦争では北軍が勝利したわけだが、ゴールデン・サークル騎士団や南部連合の埋蔵金についてのお勉強は不可欠。
他方、新大陸に眠る幻の黄金都市伝説の研究や世界のトレジャー・ハンターたちの存在も興味深いところ。また、1865年のリンカーン大統領暗殺と1965年のケネディ大統領暗殺がちょうど100年違いであるのと同様、①はじめて下院議員に選ばれた年(リンカーン1846年、ケネディ1946年)、②二人にはジョンソンという名の副大統領がおり、彼らの生まれ年も100年違い、③リンカーンはフォード劇場、ケネディはフォード(車)上で頭を撃たれ、④暗殺日はどちらも金曜日、などの類似点があるとの指摘も興味深い。
もっとも、あまりそういう謎めいた話に深入りすると、ひょっとしてあなたにもフリーメイソンへの入団のお誘いがかかるかも・・・?
2007(平成19)年12月21日記