太王四神記 第2話 チュシンの星(韓国ドラマ・2007年) |
<梅田ブルク7>
2008年1月2日鑑賞
2008年1月7日記
チュシンの王を待ち望む高句麗の人々は、神の子の誕生を待つユダヤの民と同じ(?)だが、3日違いで2人の男児が誕生したからややこしい・・・。王位継承の争いは、『十戒』(57年)とよく似たイメージだが、それ以上にドロドロした人間ドラマの序曲をしっかりと。もっとも、真の戦いはここではなく、次の次・・・?
本文はネタバレを含みます!!
それでも読む方は下の「More」をクリック!!
↓↓↓
ここからはネタバレを含みます!!
読まれる方はご注意ください!!
↓↓↓
監督:キム・ジョンハク
タムドク(少年時代)/ユ・スンホ
スジニ(少女時代)/シム・ウンギョン
キハ(少女時代)/パク・ウンビン
ヨン・ホゲ(ヨン・ガリョの息子、少年時代)/キム・ホヨン
ヤン王(オジジ)(タムドクの父、ソスリム王の弟)/トッコ・ヨンジェ
ヨン・ガリョ(貴族の長、ヨン・ホゲの父)/パク・サンウォン
ヨン夫人(ヨン・ホゲの母、ソスリム王の妹、ヨン・ガリョの妻)/キム・ソンギョン
ソスリム王(17代高句麗王)/チョン・ソンファン
ヒョンゴ(ゴルム村の村長)/オ・グァンロク
火天会大長老/チェ・ミンス
2007年・韓国ドラマ・63分
<チュシン国の真の王の誕生は・・・?>
映画『マリア』(06年)はイエス・キリスト誕生の物語を史実に沿って忠実に描いたものだった(?)。そこでも描かれていたように、ペルシャの三博士が、星座の分析から神の子の誕生を予測していたのは有名なお話。
それと同じように、高句麗の人々は数千年の間ずっと自分たちはチュシン帝国の子孫であると信じてチュシンの真の王の誕生を待っていた。そして今、夜空にチュシン王の星が浮かびあがり、明るく光り輝く中、生まれた1人の男の子は・・・?それが、ソスリム王(チョン・ソンファン)の妹の嫁ぎ先である大貴族ヨン・ガリョ(パク・サンウォン)の息子ヨン・ホゲ(キム・ホヨン)だ。
星座が一致する中、馬小屋の中で生まれたイエス・キリストはたしかに成人してから神の子としての行動を示したが、さてヨン・ホゲは・・・?チュシン王の星が輝いた日に生まれただけで、ホントに高句麗の真の王になれるの・・・?
<火天会が大暴走・・・>
第2話で注目されるのは、火天(ファチョン)会とその大長老(チェ・ミンス)の登場。火天会の狙いは、チュシン王の末裔に天の力を持たせないようにするとともに、その力を自らの手中に収め、この世を支配すること。そのためには、チュシン王の末裔と四神の神器をすべて支配下に置く必要があった。チュシンの星が輝いた今、神器も眠りから覚めたはず。そう考えた火天会の動きは素早かった。第2話はそんな火天会の暴走(?)から始まる。
他方、水を司る神である玄武をキープしているコルム村も、他の神器を探す旅に出発することに。そして、コルム村は火天会から襲われることはなかったが、鉄を司る白虎を護ってきた鍛冶村も、木を司る青龍を護ってきた村(チン城)も火天会によって襲われることに。もっとも、この両村とも村人たちの決死の行動によって、村は焼かれ多くの村人たちは殺されたものの、神器は守られ、結局火天会の襲撃は失敗することに。しかし、火を司る朱雀を護る村は・・・?
<朱雀を護る村は・・・?キハは・・・?>
今、火天会に襲われている村は、火の神(=紅玉)の朱雀を護ってきた母親が住むサビ城。その娘キハは今5歳で、キハの妹はまだ生まれてから1年も経たない赤ん坊だった。村人たちが次々と殺され、村が焼かれていく中、母親はキハに対して「妹をしっかり守って生きていけ」と言い残して息絶えることに。そして、紅玉を持ったキハは火天会に拉致されてしまったが、甕の中に隠されていた妹は、サビ城にやってきたコルム村の救助隊によって救われることに。
火天会に拉致されたキハは、火天会の烙印を押された瞬間、過去の記憶を失ってしまったらしい。しかし、火天会やその長老にとって、紅玉を持ち火の神を司るキハは大切な存在。もっとも、今は彼女の力は封じられ、わずかに消えたローソクの火を灯したりする程度だったから、本来の力を呼び戻すことが不可欠。しかし、そのための方策は・・・?
<他方、キハの妹は・・・?>
他方、到着したコルム村の救助隊は甕の中でオギャーと泣いていたキハの妹である赤ん坊を救助。これを最初に発見したのは、当時15歳だったヒョンゴ。コルム村にこの赤ん坊を連れ帰ったヒョンゴたちだったが、赤ん坊の額に黒朱雀の印があったと主張する救助隊員の声を聞いて、村長は直ちにその赤ん坊を殺せと命じた。しかし、第1発見者であるヒョンゴは、最初に自分が見た時には黒朱雀の印はなかったと主張して、赤ん坊を殺すことに断固反対。その結果下った村長の裁定は、殺害の中止だった。
ただし、そこでヒョンゴに与えられた任務は、四六時中この女の子の監視をすること。そして、もし一瞬でもその子に黒朱雀の気運を見つけたら、その子を殺せというものだった。そこで、この赤ん坊につけられた名前がスジニ。なるほど、15歳のヒョンゴとまだ赤ん坊のスジニの出会いがここにあったわけだ。すなわち、以降ヒョンゴとスジニは師匠と弟子の関係となり、その十数年後の2人の姿が第1話の冒頭に登場していたわけだ。
<スジニはどんな女の子・・・?>
スジニはコルム村唯一の女の子として育てられたから、彼女が普通の女の子のようにならなかったのは当然。第1話に登場する少女時代のスジニは、師匠に対して口が達者なだけではなく、好奇心旺盛で利口そう。また少々先走るが、第3話、第4話では、情報収集や賭博、スリにも達者な女の子として大活躍することに。そのうえ、スジニは子供のクセに酒が大好きというケッタイな女の子。そんなスジニがこれから成長していけば、一体どんな女に・・・。
そして、そんなスジニにも数千年前の因縁が絡んでくるのは当然だが、それはひょっとして、あの第1話に登場した熊族の女セオの転生・・・?
<もう1つのポイントは王位継承をめぐる権力闘争>
他方、ヨン・ホゲ誕生の3日後、ソスリム王の弟であるオジジ(トッコ・ヨンジェ)にも息子が誕生していた。その名はタムドクだ。
第2話のもう1つのポイントは、今その死期を覚っているソスリム王の王位継承をめぐる権力闘争。すなわち、ソスリム王は王位継承者として弟のオジジを指名するのか、それとも妹が嫁いだ貴族ヨン・ガリョの息子で、今や高句麗の戦士と名高いヨン・ホゲを指名するのかが焦点。その成り行きをヨン・ガリョは静かに見守っていたが、ここで騒ぎまくるのが、ヨン・ホゲの母親であり、ソスリム王の妹であるヨン夫人。王位継承者はあの日のチュシン王の星が示したとおりヨン・ホゲにするべきだ、と彼女は直接ソスリム王に強く進言したが・・・。
<ライバル物語あれこれ・・・?>
ヨン・ホゲとタムドクは誕生日が3日違うだけの同級生だが、少年期のヨン・ホゲを演ずるキム・ホヨンと同じく少年期のタムドクを演じるユ・スンホとは、明らかに年齢差がありそう。つまり、キム・ホヨンの方がユ・スンホより数歳年上であることは明らかだから、私にはこの配役に大きな違和感がある。面白い人間のストーリーは常にライバルが存在する中で生まれてくるという鉄則を生かしたストーリーづくりは出色だが、このキャストだけは少しミス・・・?
ライバル物語としては、『ベン・ハー』(59年)におけるベン・ハーとメッセラや『十戒』(57年)におけるユル・ブリンナー扮するラメシスとチャールトン・ヘストン扮するモーゼが有名。そして、『太王四神記』におけるヨン・ホゲとタムドクは、『十戒』におけるラメシスとモーゼのライバル物語とよく似ている。『十戒』では同じエジプト王の息子として育てられたラメシスとモーゼだったが、実はモーゼはユダヤ人の生まれであったことが判明し、物語は一変していくわけだが、さて『太王四神記』では・・・?
<継承指名は予想外の弟オジジに・・・>
開かれた総裁選挙を目指した自民党が、それによって大成功したのは2001年4月の総裁選挙による小泉純一郎の選出。これによって、2005年9月11日の総選挙での歴史的大勝を含めた5年半にわたる予想外の小泉長期政権が続くことになったわけだ。他方、自民党では長老たちの密室での協議によって意外な継承者が決まったことも多い。その典型が、1974年の椎名裁定による(クリーン)三木首相の継承決定。これは意外な成功例だが、逆に失敗例が2000年4月の「5人組」(森喜朗、青木幹雄、村上正邦、野中広務、亀井静香)による森総理総裁選出の密室劇。そんなワケのわからない選出の仕方があるか、と総スカンをくったうえ、森首相の「神の国」発言によって森政権はわずか1年の命に。
『太王四神記』における、ソスリム王によるオジジの継承者指名は、これと同じような全く意外な決定。とりわけ、ヨン夫人にとってはそうだった。したがって、ソスリム王が死の直前に招集した大殿会議で、重臣たちの目の前に登場したオジジとその息子タムドクを指さしながら、次期の王をオジジにすると宣言したことに対して、ヨン夫人が取り乱して異議を唱えたのもわかるような気が・・・。もっともそれが、チュシン王の星の下に生まれたわが子ヨン・ホゲこそがチュシン国の真の王であると確信するヨン夫人の命とりになるのだが・・・。
<ヤン王(オジジ)の思いは・・・?>
『太王四神記』は全24話×60分という壮大なドラマだけに、主要人物のキャラはそれぞれ特徴があるが、第2話で突如浮上してきたオジジのキャラもかなり特異。
第1に、オジジは、ソスリム王の弟でありながら、それまで政権の中枢とは全く無関係に田舎で馬を飼うという生活をしていたが、それは一体ナゼ・・・?
第2に、オジジは王の継承者指名を受けて王位に就いたものの、それはあくまでショートリリーフと割り切っていた。つまり、彼は自分の息子タムドクこそが真の王であり、今はまだ少年期にあるタムドクが成人し王になるまで守っていくことこそが自分の任務であると確信していたが、それは一体ナゼ・・・?
ちなみに、この2つの疑問に対するアバウトな答えは次のとおりだ。第1に、タムドクはたまたまヨン・ホゲの3日後に生まれたから良かったものの、ヨン・ホゲと同じ日に生まれていれば殺されていたはず。だって、高句麗の真の王は1人で十分で、2人は必要ないのだから。
第2に、これは第3話で明らかになることだが、オジジの出生の秘密。さて、それは・・・?
<目立たぬように・・・>
ヤン王がタムドクに命じたのは、ひと言で言えば、目立たぬようにということ。王の息子は次の王。誰もがそう考えるはずだから、その次の王が優秀だとわかれば、それに比例して敵対勢力が増えるはず。したがって、逆に次の王は病弱で凡庸、したがって知恵も武力もダメと理解させれば、それを倒そうという勢力も生まれないはず。そう読んだヤン王は、息子のタムドクに対して、決して知恵をひけらかせるな、対外的には病弱で凡庸な男になれ、それがお前が生き延びていくための唯一つの道だと命じたわけだ。なるほど、なるほど・・・。
そんな訳で、タムドクは城内から一歩も外に出ることもできないことに。そのうえ、大学にも行けず、友人をつくることもできず、1日家の中にこもっている病弱な男というイメージが確立していったから、ヤン王の作戦はとりあえずは大成功・・・。
<少年タムドクの前に、少女キハが登場!>
第2話では、時々白い服を着た神官(司祭)たちの姿が登場する。国内(クンネ)城の天地神堂に神官(司祭)になるための見習いとして、15歳から入っている少女がキハ(パク・ウンビン)、すなわち5歳の時火天会に拉致されたあの少女だ。
キハとタムドクの最初の出会いは、蔵書閣(図書館)の中。対外的には病弱でアホバカ少年を装っていたタムドクは、実は夜毎図書館で勉強していたのだが、そこで偶然出会ったのがキハ。
見習い中のキハは人と話すことを禁じられていたため、タムドクの疑問を受けてとっさに「私は書棚に対し話しかけています」との前提で話し始めたキハの言葉は実に適切なもの。そんな出会いによって、他に誰も心を許せる話し相手がいないタムドクはキハを信頼し、以降大切な話し相手になるとともに、次第に恋心が。といってもその展開はまだまだ先の話・・・?多分それはキハも同じだろうが、この出会いには数千年前からのある因縁があるはず。すると、ひょっとしてキハは第1話に登場した火の信女カジンの転生した姿・・・?
2008(平成20)年1月7日記

でも弁護士さんのお話し聞いてるとホゲが先??ですか?DVD何回見てもタム・ドクが先に生まれているのですが。。では、また。