太王四神記 第3話 毒薬の因果(韓国ドラマ・2007年) |
<梅田ブルク7>
2008年1月2日鑑賞
2008年1月7日記
「急いては事をし損ずる」と「女の浅知恵」を地でいくのが第3話。権力争いに毒薬の活用は世の常だが、こんなミエミエのやり方では・・・?それにしても、少年タムドクの真相解明の手法と処置は鮮やかだったが、それがかえって次の争いの芽を・・・。
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監督:キム・ジョンハク
タムドク(少年時代)/ユ・スンホ
スジニ(少女時代)/シム・ウンギョン
キハ(少女時代)/パク・ウンビン
ヨン・ホゲ(ヨン・ガリョの息子、少年時代)/キム・ホヨン
ヤン王(オジジ)(18代高句麗王、タムドクの父、17代高句麗王の弟)/トッコ・ヨンジェ
ヨン・ガリョ(貴族の長、ヨン・ホゲの父)/パク・サンウォン
ヨン夫人(ヨン・ホゲの母、17代高句麗王の妹)/キム・ソンギョン
ヒョンゴ(ゴルム村の村長)/オ・グァンロク
火天会大長老/チェ・ミンス
コ・ウチュン将軍(王の近衛隊長)/パク・ジョンハク
サリャン(薬売り)/パク・ソンミン
2007年・韓国ドラマ・60分
<ヨン・ホゲは戦士で優秀・・・?タムドクは病弱で凡庸・・・?>
目下のところ、ヤン王(トッコ・ヨンジェ)が世間に対してわが子タムドク(ユ・スンホ)を病弱で凡庸な少年に偽装しようとした作戦は大成功・・・?他方、チュシンの星の輝きの下に生まれたヨン・ガリョ(パク・サンウォン)の息子ヨン・ホゲ(キム・ホヨン)は、後燕との戦で武勲をたて戦士としての名声を高めていた。そんなヨン・ホゲはタムドクに対して槍の扱い方を教えてやったりして余裕しゃくしゃくだったが、そのタムドクは実は図書館で毎夜勉強中・・・?
そのうえ、火天会から天地神堂に派遣されている少女キハ(パク・ウンビン)と図書館で接触したことによって、さまざまな知識を吸収中。したがって、タムドクをあまり甘くみているとヤバイのでは・・・?
<これは女の浅知恵か・・・?>
現在はヤン王が即位しているものの、先王の妹ヨン夫人の嫁ぎ先であるヨン・ガリョはヤン王よりも多くの私兵を持っているうえ、貴族たちの支持も圧倒的。したがって、仮に王位争奪戦が武力闘争になれば、勝ち目は当然ヨン・ガリョの方に・・・。ヨン夫人はそう読んでいたから、ヤン王の方からケンカを売ってこないかナと期待していたかも・・・?しかし、自分の任務はショートリリーフと自認しているヤン王は慎重で動かない。そこで焦ったヨン夫人が我慢できずに仕掛けたのが、ヤン王の毒殺計画。
時代が4世紀ともなると、毎日少しずつ飲ませれば1~3カ月かけてジワジワ死に至るという便利な毒が開発されていたようで、ヤン王の侍医を買収して暗殺計画がジワジワと・・・。もちろんこれはヨン夫人の独断で、ヨン・ガリョもヨン・ホゲも知らないことだが、ヨン夫人はその毒薬を一体どこから入手・・・?
それを探るヒョンゴとスジニの動きを含めて、第3話はそんなヤン王の暗殺計画をめぐる物騒なストーリーがメインだが、ヨン夫人のこの仕掛けはひょっとして女の浅知恵かも・・・?
<暗殺計画の解明は・・・?>
父親が日々衰弱していくことに疑問をもったタムドクが、医学の知識のあるキハに質問し調べてもらったところ、現在ヤン王が日毎に弱っているのは、古代の呪術師が使用していたある毒による症状であることが判明。しかし、火天会から天地神堂に送り込まれているはずのキハは、なぜそこまでタムドクに対して協力を・・・?しかも、キハは秘かにヨン家に出入りしていた毒売りの男に対して解毒剤まで要求したが・・・。
ここまで筋が割れれば、毒のルートを断つことは簡単。そして、ヤン王の近衛隊長であるコ将軍(パク・ジョンハク)が犯人を捕まえてしまえば、あとは芋づる式に首謀者のヨン夫人まで一気に。他方、こんな大変な暗殺計画の全貌を把握したものの、難しいのはその対応。さあ、タムドクはそこでどんな対応を・・・?
<タムドクの処置 その1は・・・?>
ヤン王の暗殺計画が実行されていた当時のタムドクとヨン・ホゲの年齢は12歳くらい。ちなみに、スジニも同年代で、その姉キハは4~5歳年上。しかし、前述したように、ヨン・ホゲを演ずる俳優キム・ホヨンの年齢が少し高すぎるうえ、キハが4、5歳も年上には見えないから、この年齢設定は少しわかりづらい。
それはともかく、暗殺計画の首謀者を確定できたタムドクが、そこで近衛隊長のコ将軍にヨン家と戦ったらどうなるのかと確認したのは、12歳の少年とは思えないクールさ。もっとも、キハに対しては、自分の父親が毒殺されかかっているのに犯人を捕まえることさえできないと嘆いてみせたが、さてそれもどこまで本心やら・・・?
これに対するキハの答えも「斧を片手に虎を追うのは勇気じゃない。無知だから怖がらないだけ。怖がるのは知恵がある証拠。知恵のある者は斧でなく、罠を仕掛けて虎を待つ」という立派なもの。4世紀の高句麗のエリートたちが12歳頃からこんな知恵をつけていたとすればホントにすごいこと。今ドキの日本では、大学生はもとより弁護士や国会議員だってこんな知恵はとてもとても・・・?つまり、タムドクの処置その1は、武力戦にはもっていかないということだったが、これぞまさに賢明な選択。
<タムドクの処置 その2は・・・?>
タムドクの処置その2は、ヨン・ホゲの身柄をとりあえずキープしておいたうえで、ヨン夫人を直接尋問することだが、この尋問の見事さには34年近く弁護士をやっている私もビックリ。タムドクが持つ物証は毒薬そのものと侍医に与えられた金塊、そして書証は「ヨン・ホゲの指示だった」と記載した侍医の自白調書。それらを駆使したタムドクの尋問術は実にお見事。
さらに決め手となったのは、現在の刑事手続ではありえない物証としての侍医の生首。これによって逃げ場を失ったヨン夫人は、自ら毒をあおって自殺することになったが、ここでヨン・ホゲに対して残したヨン夫人の2つの言葉(遺言)が今後のストーリー構成を決定することに。
それは第1に、「あの子はヘビのように狡猾よ」ということ。そして第2に、「チュシンの国を再建し、王に・・」ということ。こんな母親の姿をじっと見ていただけのヨン・ホゲの悔しさは・・・?
<タムドクの処置 その3は・・・?>
侍医の首とヨン夫人の自殺によって、ヤン王毒殺未遂事件を終結させようとしたタムドクが、次にとった処置はヨン・ガリョへの報告。これも12歳の男の子とは思えぬ堂々としたもので、こんな解決によって王家とヨン家との武力衝突を避け、しかもヨン家全体には何の傷もつかないことになったのだから、ヨン・ガリョとしては頭を下げざるをえないことに。そして、これによって明らかになった今後のストーリー構成の枠組みが次の2つ。
それは、第1にタムドクがこんな見事な処置を見せたことによって、ヨン・ガリョはタムドクが病弱で凡庸な少年だと騙されていたことを悟ることになったこと。その結果、ヨン・ガリョはヨン・ホゲに楽に次期王位が転がってくるわけではなく、ヨン・ホゲが真にタムドクよりも実力をつけなければダメなことを、ヨン・ホゲに対して言い渡すことに。
もう1つは、これによってヨン・ホゲの性格が一変し、タムドクを母親の仇と思い詰めたこと。その結果、目下は父ヨン・ガリョの言うとおり従うものの、「自分が国王になれば、タムドクをどのように始末してもいいのですね」と念を押すことに・・・。おー、恐い、恐い。
2008(平成20)年1月7日記