地上5センチの恋心(フランス、ベルギー映画・2006年) |
<東映試写室>
2008年3月6日鑑賞
2008年3月7日記
人気のラブロマンス小説家と彼に憧れる中年の主婦。そんな組み合わせのおしゃれな中年ラブコメディが登場!それにしても、なぜフランス映画では中年女が魅力的なヒロインになれるの・・・?人間はオプティミストとペシミストに大別されるが、さてあなたは・・・?人間の幸せってこんなところにあるんだ!そんな実感をこの映画で!
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監督・脚本:エリック=エマニュエル・シュミット
オデット・トゥールモンド(主婦)/カトリーヌ・フロ
バルタザール・バルザン(ロマンス小説の作家)/アルベール・デュポンテル
ルディ(オデットの息子、美容師)/ファブリス・ミュルジア
オラフ・ピムス/ジャック・ウェベール
発行人/アラン・ドゥテー
スー=エレン(オデットの娘)/ニナ・ドレック
2006年・フランス、ベルギー映画・100分
配給/クレストインターナショナル、ヘキサゴン・ピクチャーズ
◆ ヒロインは若くてキレイな方がいい。誰でもそう思うはずだが、フランス映画では50歳前後のそれほど美人じゃないおばさん(失礼?)でも魅力的なヒロインになれるし、おしゃれなストーリーに仕上がるから不思議。
◆ 人間はオプティミストかペシミストに大別されるが、夫と死別し、現在は息子と娘の3人で生活しているヒロインのオデット・トゥールモンド(カトリーヌ・フロ)は、典型的なオプティミスト・・・?
◆ 他方、たくさんのラブロマンス小説を書き、世のおばさま族からの圧倒的支持を受けているハッピーな作家がバルタザール・バルザン(アルベール・デュポンテル)だが、彼は典型的なペシミスト・・・?
そんな2人の出会いと奇妙な同居(居候?)、そしてある「事件」を契機とした別れ、と物語は続いていくが、最後は意外な大団円に。そこであなたは「ああ、こんな幸せがあったんだ」ときっと思うのでは・・・?
◆ ネット情報によると、フランスでは1999年、事実婚や同性愛のカップルに対し、税控除や社会保障などについて、結婚に準じる権利を付与するパクス(連帯市民協約)法が制定されたことにより、結婚や家族の考えが大きく変わったとのこと。またフランスでは、2006年に生まれた婚外子の割合が50.5%になったとのこと。そんなフランスだから、当然同性愛にも同性婚にも寛容・・・?
そんなフランスの実情が、オデットの家庭を見ればよくわかる。同性愛者の息子ルディ(ファブリス・ミュルジア)は正々堂々と男を家に連れ込んでくるし、おしゃれに関心のない妹のスー=エレン(ニナ・ドレック)もいつの間にかケッタイな男を引っ張り込んでいたが、オデットはそれをすべて容認。日本ではとてもこうはいかないはず。すると日本では、こんなストーリーがそもそも成り立たない・・・?
◆ 日本でも近時「癒し系」が大はやりだが、オデットは癒し系の権化みたいな存在・・・?したがって、自信を喪失したバルタザールの再生はもちろん、自信喪失の原因となった不貞妻とバルタザールとの復活劇まですべてオデットが成し遂げることに。だって、オデットにとってバルタザールは恋愛の対象ではなく、あくまで憧れの存在だったのだから・・・。
◆ 中年おばさんのダンスとセミ・ミュージカルなど観たくない!そういう人はこの映画に拒否反応を示すかもしれないが、アメリカ生まれの黒人女性歌手で、フランスで大活躍したジョセフィン・ベイカーやその曲を知っている人にはこの映画は必見!バルタザールやバナナを腰蓑にぶら下げただけのバルタザールの一人息子まで巻き込んだセミ・ミュージカルシーンは、理屈抜きの癒し系の典型・・・?
◆ いったんはオデットのことを諦めたバルタザールだったが、さすがロマンス小説の大家・・・?かつてオデットの家で同居(居候?)していた時、いい雰囲気の中でオデットにキスをしようとしてひっぱたかれたバルタザールだったが、それはオデットが「運命の人は死亡した夫1人だけ」と考えていたから。
ところが、エリック=エマニュエル・シュミット監督が描くおしゃれなフランス流中年ラブコメディでは、意外な展開を経て何とも意外なハッピーエンドに。もちろん、そんな結末はあなた自身が観てのお楽しみだが・・・。
2008(平成20)年3月7日記