近距離恋愛(MADE OF HONOR)(アメリカ映画・2008年) |
<ソニー・ピクチャーズ試写室>
2008年5月23日鑑賞
2008年5月24日記
遂にラブコメの世界にも「maid of honor」=花嫁付添い人(映画の原題は『MADE OF HONOR』)が登場!しかも、今回は男の花嫁付添い人というからビックリ!全く異質の「結婚観」を持つ、水と油のような男女になぜ深い友情が・・・?他方、理想的な大富豪との結婚を決めた女が、そんな男を花嫁付添い人に指名したのは一体ナゼ・・・?意外に純情だった(?)元プレイボーイが、今チャレンジする一発逆転のシナリオは・・・?そして、意外な結末についてのあなたの賛否は・・・?
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監督:ポール・ウェイランド
トム/パトリック・デンプシー
ハンナ(トムの親友)/ミシェル・モナハン
コリン(ハンナの婚約者、スコットランド人)/ケヴィン・マクキッド
ジョーン(ハンナの母親)キャスリーン・クインラン/
トーマス(トムの父親)/シドニー・ポラック
2008年・アメリカ映画・101分
配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
<なるほど!うまい邦題を!>
「遠くて近きは男女の仲」ということわざがあるが、逆に「灯台もと暗し」ということわざも・・・?
最近「花嫁付添い人」を主人公とした映画がやたら目立つ。花嫁付添い人という言葉を私がはじめて知ったのは『いつか眠りにつく前に』(07年)を観た時だが、『幸せになるための27のドレス』(08年)の主人公はその極端版・・・?そして、今回の『近距離恋愛』ではじめて知ったのは、男性の「maid of honor」(花嫁付添い人)(映画の原題は『MADE OF HONOR』)がいるということ。『幸せになるための27のドレス』を観ていると、花嫁付添い人は花嫁の身の回りのすべての世話、したがって式直前のトイレの世話までしていたから、ホントにそんな役割が男性につとまるの・・・?
この映画の原題は、例によって何とも直截的な『MADE OF HONOR』だが、その邦題は『近距離恋愛』。なるほど、うまい邦題をひねり出したものだ。こりゃ、上記の2つのことわざの見事な融合・・・?
<なぜ結婚式が3回も・・・?>
この映画はやたら結婚式のシーンが多い。「花嫁付添い人」を主人公とした映画では、結婚式のシーンが重要な役割を果たすのは当然だが、なぜかこの映画ではそれが3回も・・・。もっとも、そのうちの1つは、主人公トム(パトリック・デンプシー)の父親である、結婚と離婚を何度もくり返してきたという変わったキャラのトーマス(シドニー・ポラック)が挙げる6度目の結婚式。
もちろん、この映画のメインとなるのは、トムが花嫁付添い人をつとめる、花嫁ハンナ(ミシェル・モナハン)とスコットランドの大富豪コリン(ケヴィン・マクキッド)との結婚式。ハンナはそんな理想の男性との結婚が決まり、他方、男性ながらトムはハンナの10年来の親友として花嫁付添い人に指名されたのだから、コリンを含めて三方万々歳のはず。それなのに、なぜこの映画では3度目の結婚式が・・・?しかして、3度目の結婚式は一体誰と誰の結婚式・・・?それが、この映画の面白いところだが・・・?
<男女間の友情は・・・?>
トムとハンナの出会いは10年前にさかのぼる。プレイボーイであるトムの恋愛ゲームにおけるルールは、「デートは2晩続けない」「女を家族に紹介しない」「もらった電話番号は24時間後にかける」など。そんなプレイボーイでも見た目がグッドなら、女はいくらでも引っかかるらしい。
大学時代の彼は、寮の新入生たちと片っ端からベッドインしていた様子。そして、トムとハンナの出会いは最悪で、他の女の子とまちがえて、トムがハンナのベッドに侵入したというものだから恐れ入る。ところが私がビックリしたのは、そんな男と女の間に「正直さ」をキーワードとした揺らぎのない友情が成立したこと。
大学を卒業したトムは、熱いコーヒーカップで火傷しないためにカップにつけるカバー「スリーブ」の発明によって大金持ちになったが、ハンナとの友情はそのまま存続中。しかし、今でもプレイボーイのトムは、父親の影響もあって、「結婚」をハナから信用していない男だ。他方、ハンナは美術館に勤めながら、理想的な結婚を夢見る日々。
こんな2人の友情は永遠かと思われたが、ハンナが名画の買いつけのため6週間のスコットランドへの出張に出かけていくと、トムの気持の中にある異変が・・・?
<遠く離れてはじめて気づく、あなたへの想い・・・>
「遠く離れてはじめて気づく、あなたへの想い」。これは、いかにも松田聖子作詞・作曲のラブソングの歌詞みたいだが、アメリカの現代青年トムにもそんな歌詞がピッタリだったとは・・・?
そんなトムを見ていると、プレイボーイというのは彼のホンの一面だけで、根は真面目な、血液型もA型の青年・・・?今やっと彼が気づいたのは、トムにとってハンナは不可欠の女性、ハンナなしの人生なんて考えられない、ということだったが・・・?
<ハンナの選択は当然!>
ところが、スコットランドから帰ってきたハンナには、同伴するコリンの姿があったからトムはビックリ。コリンは、スコッチの名門メーカーの御曹司で公爵の称号を持ち、スポーツ万能、そのうえインテリジェントでセクシーというからまさに完璧。ハンナの理想の男性だ。
トムのハンナへの熱い想いを知ったトムの友人たちは、コリンの難点探しを試みたが、いくら資料を調べても残念ながら何ひとつケチのつけどころなし。これではハンナの選択は当然で、トムの敗北は明らかだ。そこで、トムとトムの友人たちが立てた戦略は、花嫁付添い人の仕事きっちりつとめる中で、ハンナにホントの気持を告白し、コリンからハンナを取り返すというものだが・・・?
<略奪愛、略奪婚は最高だが・・・?>
映画後半の見せ所は、コリンのお城で展開される結婚式に向けたスコットランド式儀式の数々。王侯貴族のしきたりを今なお守っているらしいその姿は圧巻だが、どこまでホントかは私には・・・?
日本で略奪愛、略奪婚と言われた男の典型は、市村正親を奪った(?)篠原涼子や布袋寅泰を奪った今井美樹らが有名だが、今トムが狙っているのは、花嫁付添い人としての仕事を完璧にこなす中で、コリンからのハンナの略奪愛というきわめて困難なもの。パーティーの中で交わした2人の熱いキスによって、ハンナの中に「ある動揺」が生まれたのはたしかなようだが、それによって今さらコリンからトムに乗り換えるという決断などできるはずはない。そんなハンナの最終決断を聞いたトムは、遂に花嫁付添い人の任務を続けるのはあまりにもつらすぎるとして、その役目を放棄したのだが、私に言わせればそりゃちょっと無責任。そんな傷心のトムは、今1人帰路に向かったが・・・。
さあ、ここからクライマックスに向けて、9回裏の逆転サヨナラ満塁ホームランはありうるのだろうか・・・?そんな略奪愛、略奪婚が実現すれば最高だが・・・?
2008(平成20)年5月24日記