LAW DE SHOW [30] 『ブレス』 |
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新聞記事 大阪日日新聞2008年5月掲載分
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吐息に見る極限の愛の世界は?
韓国では公開しない! そう宣言した韓国の天才監督キム・ギドクが、オール海外資本、低予算、短期間で14作目を完成させた。原作頼みの映画が多い昨今、映画は企画と脚本が勝負! この意欲作にはそんな主張が明快だ。
死刑囚に扮した台湾の珠玉、チャン・チェンが、セリフゼロ、韓国滞在10日だけの撮影で表現した、監房の中で息づ吐息(ブレス)とは?
自殺行為を繰り返すチャンとの面会に赴くのは縁もゆかりもない主婦。夫の浮気に苦しむヨンが彼に不思議な同情を覚えたのは一体なぜ? 自身の幼い時の臨死体験を告白したヨンが、仕切り越しに交わす吐息はチャンにどう伝わるの?
ヨンがチャンに贈るのは春夏秋冬。面会室に春一色の壁紙を張り、春服で春の曲を歌い踊るヨンの姿にまずビックリ。夫の妨害を排除しそれが夏秋冬と続いていく展開は異様だが、ヨンは真剣。そんな交流の中チャンの心に芽生えたのが生への執念だが、実はそれは死の恐怖の裏返し! そんな二人をモニター越しに観察する保安課長はギドク自身? その目には人間の、そして男と女の本質がくっきりと!
映画が描くセックスシーンは数多いが、手錠のまま、看守が見守る面会室の中でのそれは本邦初公開! 同室の若い同性愛者の求愛を拒否し続けたチャンが、ヨンにぶつける性的欲望の激しさは圧巻! 生ける屍状態だったチャンの吐息とヨンの吐息が交差した時に生まれる極限の愛の世界は、映画史上に残る名シーンだ。
しかして、生と性をここまで燃焼し尽くした二人に待つものは?
通常版の評論もぜひどうぞ!! ⇒ 『ブレス』